2004年11月11日(木)
1318, ベスト・エッセイ集ー2

 橋本元首相が、数年前に大手術をしたことは、ニュースで知っていた。
この本の中に、その時の生々しい心情や、具体的な日々が書いてあった。
何かキザな鼻持ちのならない男と見ていた存在が、急に身近な一人の人間に思えてくるから不思議である。
またTV「お宝鑑定団」に出ている中島誠之助のエッセイもあった。
普段あまり知ることのできない骨董品の世界を覗き見ることが出来た。
骨董の世界は本物、偽者が混合している世界。本物の中でも、価値が大きくわかれている深い世界である。
 ー中島のエッセイの印象に残ったところを抜粋してみる。「骨董の世界では、初めから人をだますために作られたものを、
偽者にもおよばない最下級におき、『嫌物(いやぶつ)』と呼んで下げすんでいる。
嫌物は、それをこしらえた人化身であるために、そのもの自体に罪がある。
それに対して偽者は、その人が作りあげたもので、品物自体に罪はないといえる」
著名の作家の書く文章は、何気ない日常の描写が鋭く、しかし、それを思わせないタッチがプロの凄みである。
一流の人は何気ないことでも、その文のタッチで改めて対象を見つめさせてくれる。それが一流の一流たる所以である。
一流の役者が端役を演じると、その役そのものが端役でなくなってしまうから不思議である。何事も魂を込めるからである。
このエッセイ集に選ばれることが、著名なもの書きや、政治家や、エッセイストの大きな名誉となっているという。
 この数年分の「ベスト・エッセイ集」をジックリ読んで勉強してみようか。
  
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