希望格差社会 −1

    ー希望格差社会山田昌弘著・筑摩書房

著者は「若者が危ない」という。
そして「若者が社会的弱者になりつつある」「やがてこの弱者たちが社会に危険をもたらすであろう」と。
統計をみると、
・親と同居している未婚成人(その過半がいわゆる「パラサイト・シングル」)は1200万人。
・離婚数は年間29万組(結婚75万に対する数値だから結婚したカップルの40%が離婚)
・結婚75万のうち、「できちゃった婚」(婚姻届提出後10ヶ月以内に出産)は15万。
・フリーター(未婚若年アルバイト雇用者)は200万人。
 失業中、未婚派遣社員を入れると未婚若年不安定雇用者数は400万。
・「引きこもり」については正確な数値がないが、推定50万人。
・義務教育期の不登校は13万。
児童虐待児童相談所が把握しているだけで年間2万件。
・「将来、自分の生活がよくなる」と考えている若者(25−34歳)は15%。
・中学生の70%が「将来、日本は今以上豊かにならない」と考えている。

どうして、こうなったか? 著者は、その理由を「リスク社会」の出現という。
 ー「リスク社会」とは何か、

「リスクをとることを強制される社会」、「選択を強制される社会」のことである。
「自分のことに対しては、自分が決定する。これが自己決定の原則である。
そして、自分で選択したことの結果に対しては、自分で責任をとる、これが『自己責任』の原則である。
リスクの個人化が進行するということは、自己決定や自己責任の原則の浸透と表裏一体である。
リスクに出会うのは、自分の決定に基づいているのだから、そのリスクは、誰の助けも期待せずに、
自分で処理することが求められている。失業したり、フリーターになったりするのは、自分の能力の問題である。
離婚したのは、離婚するような相手と結婚したからである。 リスクが避け得ないものとなると同時に、個人は、
そのリスクをヘッジすること、そして、生じたリスクに対処することを、
個人で行わなくてはならない時代になっている。」
 (46-47頁)
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私事になるが、20歳で自分で事業を立ち上げることを決意。
26歳から立ち上げに専従してきたので、リスクをとること当たり前の日々であった。
自己責任と、自己決定が裏表で、中途半端な人の見えない部分が広く見えることもあった。
そこでまず必要なのが、孤独である。人に頼らないで、情報の質を高め、判断をする。
フリーターは、親掛かりの人が多いのは、その環境の甘さである。
少子化も、その背景にある。中国は、強制的に一人っ子政策をして、両親が子供に期待をかける。
小皇帝と言われるほど、親の人生をかけて育てる。 日本の親は、それだけのハングリーさは無い。

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