読書日記 ~『自由のこれから』

読書日記 ~『自由のこれから』

    * 再び、分人主義とは?
 「分人」たる言葉、聞いたことがあるのでHP内検索をかけると、5年前に、
平野啓一郎「私とは何か ―個人から分人へ」久垣啓一の書評で取上げていた。
 分人主義をオサライすると… 【人間を「個人」という「分けられない」一つの
単位としてでなく、複数の人格――「分人」――の集合体としてとらえる考え方だ。
 図書館から先日、借りてきた<『自由のこれから』平野啓一郎著>がある。
その前に、おさらいをすると、
 ~まずは、『分人主義』の意味を掘下げた個所の引用から(ネット検索)
≪ ◉ 人間には、いくつもの顔がある。 ~私たちは、このことをまず肯定しよう。
 相手次第で、自然とさまざまな自分になる。それは少しも後ろめたいことでない。
どこに行ってもオレはオレでは、面倒くさがられるだけで、コミュニケーション
は成立しない。だからこそ、人間は決して唯一無二の「(分割不可能な)個人
individual」ではない。複数の「(分割可能な)dividual」である。
たとえば、「クライアントとの打ち合わせをしているイケダ」と
「娘と遊んでいるイケダ」では、表面的に見るとまったくキャラが違うわけ。
 前者では「うーん、そうですね。○○だから、やっぱり○○だと思いますよ。
どうですか?」とか言ってる一方、後者では「あぶあぶあぶー!おとうちゃん
やどー!」とあぶあぶやっています。
◉ 全然違う人格なわけですが、これは両方嘘偽りのない「自分」であることは
間違いありません。「キャラを使い分ける」というより、自然にスイッチが切り
替わるという感じです。
 人間は誰しもこうした「自然と切り替わる様々な自分」を持っているものです。
分人主義とは、ひとりの人間のなかに詳細な「分人」が存在する、と捉える新しい
世界観といえるでしょう。≫
 ―
▼ これを書き続け、過去の忘却の彼方の文を読む返すたびに、全く違う?
 人格者たる未知、いや無知の自分に直面する。成るほど、「分人」である。
日々刻々、体質も、環境も、知識も、行蔵も変化するため。 リタイア後の、
一日のスカジュールのユニットは、節目ごとに、分人が違っている。だから、
一日一日が新鮮に思えて、飽きることがない。あとは、5年前のとおり。

・・・・・・
2014年08月31日(日)
4917,「個人から分人へ」 ですか!
   * 永遠の問い、「私とは何か」
  平野啓一郎「私とは何か ―個人から分人へ」の久垣啓一の書評が解りやすい!
≪ この本の主張は、人間の単位を考え直すことだ。個人という意味で使っている
individualは、これ以上分けられないという意味であるが、本当にそうか。
そして本当の自分なるものがあるという
考え方が間違いのもとではないか、というのがこの本の問題意識である。平野は、
人間は分けることが可能な存在であり、人間は対人関係ごとに複数の顔を持っており、
一人の人間は複数の分人のネットワークによって成り立っているという。そして
個性とは、その複数の分人の構成比率によって決定されるというのだ。
・誰とどうつきあっているかで、分人の構成比率は変化する。その総体が個性。
・自己の変化とは、分人の構成比率を変えるしかない。それはつきあう人間を
 変えることだ。
・自分という人間は、複数の分人の同時進行のプロジェクトと考えよう。
・自分探しの旅とは、欠落している新しい分人を手に入れて、新たな個性を
 創出しようとする行為だ。
・私たちは、複数の分人を生きているからこそ、精神のバランスを保っている。
・自分が気に入る分人を少しづつ増やしていくことができれば、自分に肯定的に
 なっていける。
・片思いとは、お互いの分人の構成比率が、非対称な状態である。それが許せず
 に自分向けの分人を大きくしようと、異常な行動にでるのがストーカーだ。
・分人主義は、人間を個々に分断させず、単位を小さくすることで、きめ細かな
 つながりを発見させる思想である。
・帰属するコミュニティが一つであることがアイデンティティであったが、
 今後重要なのは複数の分人を使って複数のコミュニティに参加することだ。
 むしろ矛盾する複数のコミュイティに参加することが大事なのだ。個人を複数
 の分人のネットワークとしてとらえると新しい視界が開けてくる気もする。
 分けるというより複数のレイヤー(層)によって重層的に個人が形成されて
 いると考えることもできる。ヨコに分けられているのではなく、タテに
 つながっているのではないか。≫
▼ 「わたし」は、わ(我)の最小単位が、たし(足し)で加わって私になって
 いる。だから、人生を振り返ると、その時々の出会いとか、経験で、分人を
増やしている自分が存在する。創業には、その分人たる主体たる自分が、厳然と、
そこに存在している。 秘境旅行で、各地に旅をしている自分も、旅行先に溶け
込んでいる分人である。旅行を続けることは、旅先に溶け込んでいる分人を
増やす行為である。個性とは、過去の経験の総体の構成比率とは、言いえて妙。
自己の変化とは、付き合う人間を入替えることだ。それも、森の生活のうち。

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2007年08月31日(金)
2341, 「私」とは何か?        〔● ォ'`ョゥ○〕ヽ(・д・`●)
  「狂人三歩手前」-中島 義道 (著)       -読書日記
   ー「私」とは何か?ー
「私」について、その構造について、過ってこの読書日記で書いたことがある。
成る程と合点がいったが・・ 常に考える時、「私」は何々・・と一日、数百回も
自問自答しているのに、その「私」とは何ぞや?と考えたことがない。それを知って
いると、いないとでは、思考の根本が違ってくる。
 ー「私」が無になることーのコーナーの「私」についての説明が解りやすい。
  ある哲学書で「私」についての説明があった。
{「いま・ここ」の主観を私とは言わない。 土手を歩いていて振り返った時、
さっきの橋を歩いていた主観が「私」として飛び出してくる。云々}と。
成る程と思いつつ、解ったようで理解できないモヤモヤが残っていた。
過去を振り返った時に「私」が初めて発生するということ?垂直に縦にある
「いま・ここ」の主観は、まだ私になってないということ? ところが彼は、
この本の中で、その「私」をみ砕いて解りやすく説明をしている。
  -p.86
「いま・ここ」に存在するものを「私」だと思い込んでいるのだ。
だが、そうであろうか? いま両肩から下に頭部を欠いた独特の身体が広がって
いるが、なぜこれが「私の」身体なのだろうか? そこに独特の感じがするから? 
だが、なぜその独特の感じが「私の」感じなのだろうか? こう問いつめていくと、
この方向に答えは見いだせないことがわかる。「私」とは知覚とは別の独特の作用
によって端的にとらえられるものではないか? いや、そんな独特の作用など見い
だせない。「私」とは知覚しているときに、同時にそこに感じられるものではないか? 
いや、胃がきりきり痛い時にそれと並んで独特の「私」という感じなどない。
そもそも「私」とは作用の対象ではなく、作用の絶対的主体なのではないのか?
多くの哲学者はそう考えた。そして、それを「純粋自我」とか「超越論的統覚」
とか名付けた。だが人間としての「私」がそんな抽象的な発光点のようなもので
あるはずがない。あれもこれも否定して、振り出しに戻ったわけである。
ここで、別の視点から反省してみるに、「私」とははじめから異なった時間における
同一なものと了解されている。「私」とは過去のあの時も同一の「私であった」もの。
しかも、その同一性は二つの対象を見比べて判定するのではなく、現在の側から
一方的に過去のあの者を「私であった」者と判定するのである。「私」は、過去と
現在との関係において登場してくるのだから、現在の世界を隈なく探しても見い
だせないのは当然。過去自体はすでに消えている。過去の記憶だけが残っている。
現在の知覚される世界ではなく、過去の想起される世界を探究することによって
はじめて「私」は身を現わす。ここにきわめて重要なことは、過去のあの時に私が
不在であっても「私」の同一性は保たれるということだ。夢の場合で考えてみよう。
夢を見ているあいだ「私」は自覚されていない。「私」は、夢から覚め
「私は夢を見た」と過去形で語る時にはじめて自覚される。まさにその時、あれが
「私の」夢であったことが忽然と了解され、遡ってあの時「私が」夢を見ていた
ことになるのである。夢ばかりではない。この構造は広く普遍化できる。
「私」は仕事に没頭している時や、夢中でボールを追いかけている時や、ぼんやり
もの思いに耽っている時など、いわば消えている。 しかし、あとから
「私は~していた」と語れる限り、その時「私」は存在していたことになるのだ。
夢中で小説を読んでいた。ふと気がつくとあたりが薄暗く、電気をつけてみるともう
三時間も経っている。私は小説の内容を細部に至るまでありありと覚えている。
一体誰が読んでいたのか?ほかならぬこの「私」である。
ーーー
夢を例にした説明が、理解しやすい。夢見ているうちは「私」は成立してない。
じゃあ、夢の中で私は何々、云々といっているのは何だろうか?ただ夢の中で
過去のことを考えただけで何の問題は無いか!まだ夢の中で成立してない純粋
何とかいう未成立の?が、夢の中で成立した「私」として過去からの流れの何か
を考えていた! ということになる、ただそれだけだ。 そういえば、
また夜半にリアルな夢をみた  

 

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