「暴走する「世間」―世間のオキテを解析する」佐藤 直樹 (著)
    * 「格差」拡大による「そねみ・ねたみ」の肥大化
  建前が平等の社会にあって、格差が拡大すると、自分より上に対する「そねみ・ねたみ」が拡大する。
 逆に下に対して、陰湿な苛めなど差別をするのが人間の性である。それが世間様というもの。その互いに
 発する毒の共同幻想で実は本人たちの脳がやられる。問題は自覚できないこと。 ーその辺りからー                       
≪ つまり自分と同じ」だと思っていたお隣さんが、ある日突然ベンツを買ったとすれば、それは自分と「同じ」
 ではなくなる。ビミョーな「格差」が生まれたときに、他人にジト−ッと嫉妬する独特の心理が生まれる。
 この日本人特有の嫉妬について、正高信男さんは以下のようにいう。
【 いかに時代が変わろうと、日本人は基本的に非常に嫉妬深い。いじめも、モンスーン気候の風土と正比例
 するように、ジメジメしている。だから、分よりも注目されている人間に対しては、いくら口先で褒めても、
 内心はムカツク要素を秘めている。昔でいえぽ、胸くそ悪いとでもいうのか。単に不愉快ではすまない。
 いつまでも梅雨が上がらないようなしつこい陰湿さがある。嫉妬心も消えない。(『他人を許せないサル』)】
 ・・(略)自分は自分、他人は他人という個人主義ではないから、自分が他人に比べて損をしていないか、
 得をしているかがいつも気になって仕方がない。横並び一直線で暮らしていた時代は成功した者とそうでない
 者のデコボコの差がほとんどないから、嫉妬の質も深刻ではなかったかもしれない。が、現代のように、
 勝ち組、負け組の区別がはっぎりして、所得格差も以前よりひどくなり、社会システムがより欧米化されると
 反応は過敏になってくる。】
▼ 地方では勝組は少ないが、大都会は中国などの勝組の観光客も相まって、歴然とした格差が現前している。
 それが面白い!と言えるのは、余裕のある立場の人たち。そこは一度沈んだら、二度と立上がれない世界。
 他人事ではないが・・ 日本は国家として明らかに負組になってきた。その結果、国内には、ジメジメした
 空気が漂い、今まで無かったような殺人事件が多発する。そして、それを揶揄して楽しむ歪な空気が漂う。
 そこに欧米のような個人主義でないが故に生じる共同幻想で集団で脳をやられる。
 江戸末期の「ええじゃないか!」の馬鹿踊りが形を変えて出てきたのが、『東京オリンピック』である。
 この共同幻想を楽しみながら、最期の宴を国家とともに終るのもオツナモノか。
・・・・・・
4630, 閑話小題 ー相棒 〜国民的刑事ものシリーズ ー2
2013年11月19日(火)   
   * 相棒 ー愛人と共謀の夫殺し 
 昨日の『相棒』は、二回完結型の後半もの。概略は
《 有名女優が、内縁の夫の作家を愛人のマネジャーと共謀して撃ち殺す。強盗の仕業にするが、右京が
 追い詰める。ところが調べているうちに、内縁の夫は女優の実の父であることが判明。子供の頃に両親が離婚。
 亡くなった母親が残したアルバムから、半年前に知るが、父は、そのことを知った上に、女優と内縁の関係に
 なっていた。そのことに同情したマネジャーと共謀して・・ しかし、そこには二人の純愛があった。
 逮捕をされる時、マネジャーが相棒二人に、結婚届けを託すラストシーンが、涙を誘う。》
話は、これからである。 ああ終わったか、とチャネルを回そうとすると、TV局も、視聴者心理をしってか、
冒頭から、ニュースの触りを持ってきて、引きとめようとする。ところが、冒頭のニュースが、これに似ている
裁判の内容。「裁判で、被告が突然、自分は主犯でなく、殺害した被害者の奥さんと共謀してやった」と主張、
その奥さんは、証言で、「ストーカーの被告が勝手につくった物語」と、両者の言い分が対立、と報じていた。
被告の証言で、「以前、奥さんから、本人がつけている香水をもらった」と、それを提出したのに対し、
奥さんは、・・まあ、テレビドラマそのもの。偶然としてもTV局は、してやったりのタイミング。
奥さんらしき人の写真が流されていたが、被告も、奥さんも普通の感じ。今週のマスコミは、この問題で
大騒ぎだろう。『相棒』の話題、軽いので、テーマとして迷ったが、こうなると、良かったことになる! 
それにしても、視聴者の多くは、主犯は? 二人共言い張れば、通る?
   * 何もする必要が無いのが、御隠居生活
 思いのほか、御隠居生活に馴染んでいるが、準備期間を含めた事業人生から解放された気楽さがある。
大きな成功を必死に求めていた自分が、可愛らしく思えるのが御隠居の視線である。以前も書いたが、家内が
不思議そうに、「毎日、単調な生活で刺激も無いようだし、つまらなくない?」と聞いてきた。 
その答えは、「実際に、事業をしていると、寝ても覚めても極度の緊張状態。それは良いこともあるし、
嫌なこともある。現在も、同じこと。これはこれで、淡々として良いし、逆に詰らないこともある。
どっちも同じこと」が、偽わざる気持ち。滑り台に例えると、早朝が一番上で、就寝が一番下。寝起きに、
この随想日記の添削をして、アップ。30分の瞑想、ポタリングへと続く。そして朝食とり、八時またぎで
TVを見て、風呂に入り、九時半からパソコンと読書に二時間、費やす。そして、・・と、淡々と何時もの
とおりの習慣を繰り返す。重要度からすると、徐々に、下がっていくから、楽といえば楽。午後からは、
スポージム、読書、ドラマの視聴といった流しになる。面倒なら飛ばせば良い。どれもこれも誰に頼まれた
訳でない。 森の生活では、少し不安だったサバンナも、慣れてしまえば、これはこれ。
50年近い、読書習慣が支えである。
・・・・・・
4265, この非常事態に、万一の備えがあるの? −2
2012年11月19日(月) 
 私の場合、記憶が1歳の頃からある。そして両親の商売の一喜一憂が、そのまま普段の生活に直に
伝わっていた。終戦直後で、新しい事業を両親が模索していた時期のため、今から振り返ると、何とも
いえない張り詰めた緊張感があった。「どこどこが倒産した」「店を出したが、少し良くなると天狗になり
夜逃げをした」などが、日常会話。それもあってか、自分が瀬戸際に直面した時に、不謹慎だが、デジャブ
というか、その自分を冷笑し楽しんでいる視線があった。現在も一部それがある。それらの幼児体験もあり、
万一の備えを無意識に次々と重ねていた。悪化と同時に、自動的に手順を打つのが自然の道理。
30年間(事前の準備期間を入れたら45年間になるが)、創業から整理までの起承転結の一サイクルの
経験をしてみて、手じまいも、事業の最大のイベント。 最悪に見えた経験も、奇妙な感情が支配していた。
あと講釈だから、言えるのだろうが。15年以上かけ準備をし立ち上げた事業を、その衰退を見届け、
自分の手で潰すのも事業経営の一環であり、後悔も無念の感情も残らないのも道理。
 で、この本体の経済崩壊の大津波、地方では既に到来している感がする。大方は茹で蛙状態で、
知ってか知らぬふり? 年末の選挙前後辺りにクラッシュの可能性の仮説はたてておくべきだ。年越しの
可能性もあるが、遅かれ早かれ恐慌は起きる。 日本で、この2千年の間に4回の東日本で震度8クラスの
地震があった後、10年以内に、いずれも首都圏で直下型地震が連動して起こっていた。 西日本では
18年以内にM8クラス以上の巨大地震が起きている。経済の7割が集中している太平洋ベルト地帯が
破壊されてしまうのである。恐ろしいが日本には失われた20年で経済が壊滅的状態。そこに少子化もあり、
分かっていても、資金が追いつかないのが、現実である。それと世界的恐慌と、デフレの問題がある。
ある日突然、何かの切っ掛けで、世界は機能不全に陥ってしまう危険がある。そうすると、弱い国に矛先が
向かう。その弱い国が、日本となる危険が非常に強いのである。 バフェットが、一度売り抜けた金を再び
大量購入をした。 イスラエルが、先手をうってガザ地域で戦争を仕掛けている。イランへの攻撃が始まるか? 
 ・・・・・・
3890, ギリシャ/イタリアの次は・・
2011年11月19日(土)
 ギリシャが何とか目先の命を繋いだが、これも解決したわけでなく問題の先送りをしただけ。その直後に、
待ってましたとイタリアがマナ板に上がり、IMFの管理下に置かれて徹底的な国家の合理化が図られる。 
イタリアには一度就職をすると簡単に人員整理が出来ない法律がある。イタリア人は、それを逆用して
働かないで給与を貰う体質が染み付いている。 グローバル化の世界では競争力がなくなり破綻するのは当然。
IMFの厳しい合理化にイタリア人気質が耐えられるか?というと、非常に難しい。ギリシャ、イタリア、
スペイン、ポルトガルという一時代を築き上げた国が次々と国家破綻の瀬戸際になっている。
 リーマンショックがキッカケで、世界の多くの国が積年の矛盾が噴出し、一挙に激変の様相になっている。
それに対して指導者は、その対策が全く立たない事態で、その場限りの対処しか考えられないのが現状。
あとは何時何処で火を吹き出すか。1999年からG7にロシアを加えた蔵相会議が開催されてきたが、リーマン
ショックを契機に世界の主な国の12ヶ国を加えたG20が年に1〜2度のペースで開催され、その対策が
検討されている。そこで何とか恐慌を食い止めているが、それも秒読みになってきた。イタリアに続いて
スペインの国債利回りが7パーになろうとしている。ここもIMFの管理国になるのだろうか。
 ギリシャ危機の9月のギリシャ国債のりまわりが136パーセントというから驚き。現在の32パーも、
危機ラインを遥かに超えている。日本だったら1千兆の利回りだから、329兆円の利回りになる。
国家収入の10倍になる。そのギリシャと程度が同じで、数年後には、似た状態になるとしたら、
ここで叫び続けていることは、まだ楽観的範疇。 例の国の国債の利回を見て、呆然。近未来が見えている。
 <10年もの国債の利回>   ぷかぷか煙草を吸いながら川辺で車に寄って引き潮を見ていた
東北大震災の被害者の姿が目に浮かぶ。
・ ギリシャ    32.29%      
・ ポルトガル   11.52%
・ アイルランド   8.22%
・ イタリア     7.28%         
・ スペイン     6.43%   たまたま、この数年来の同月同日に予告編?を書いていた。
・・・・・・・
3525, 死に至る地球経済
2010年11月19日(金)
  [死に至る地球経済」浜矩子 著
ー内容紹介ー
 ギリシャ危機に端を発するソブリンリスクを抱えたEUや、人民元の動向が注目される中国など混迷が
続く世界経済。長期低迷を続ける日本経済も、デフレ、資源価格の高騰、財政危機というトリプルショックを
迎えている。今、進むべき道はどこにあるのか。グローバル経済の新しいあり方を視野に入れ、
現状を分析し未来を模索する。
(第1章)では、G20サミットの苦悩にみる政策主導型成長の限界を論じ、
    「成長に優しい財政再建を目指すこと」の困難さについて述べている。
(第2章)ソブリン・ショック=国家破綻の脅威についてで、グローバル時代の恐慌は、いったん始れば
    国家財政で押さえ込むスケールを遥かに越え広がり、セスキュー隊員を遭難させ、
    その隊員の遭難が更に恐慌を深める
(第3章)終焉近い基軸通貨体制 ートリフィンのいわゆる「流動性ジレンマ」論を踏まえての基軸通貨
    システムへの代替論の提示)、どうしても「地域通貨」に一つの解答を見出したくなるという
(第4章)ポスト・リーマンのグローバル金融の模索、ー再暴走か、大縮減かの瀬戸際に立つ緊迫状態
(第5章)中国は果たして救世主になれるか? 世界経済における中国の存在意義とそれが生み出す諸問題、
    経済活動は、成長と競争と分配を三辺とする三角形。中国は、はなはだ歪で成長だけの一輪車。
(第6章)そしてわが日本はどうすべきか。総中流に向けて忙しく働き、皆が豊かになっていく時代の状況は
    変わってしまった。「下流社会」という言葉も出ている中、誰もやらないことをやるのが政策の仕事。
▼ 著者は、辛口の経済学者として著書、雑誌で度々みかけ、その論調も痛快である。エピローグで、ここで
 再び世界を不安感が覆いはじめていると警告。その不安を呼び覚ましている言葉を二つあげている。
その一つが「財政破綻」。二つめが「二番底」という。財政破綻は、国家破綻を意味している。
その二の「二番底」は「死に至る危機」が襲う恐ろしいこと。これは当初からあったが、目先の緊急措置で
当面の間、乗り切ったに過ぎず、根本問題の先送りをしただけ。その先送りの問題が、再び立ち上がっている。
「国家財政破綻」これが、恐ろしいのである。欧州では、理想的なEUが発足されたが、さっそく、
この金融恐慌で、その脆さが出てしまった。先行き、真っ暗で、世界恐慌への引き金を引きそうな事態に。      
・・・・・・・・
3150,「要は如何受け止めるか」である!
 2009年11月19日(木)
   「いやな気分の整理学」―論理療法のすすめ  岡野 守也 (著)
 最近、どうもこうも不機嫌なことが続く。年齢的からみて通らなければならない60歳前半の欝症だろうか。
それまでは、いやな事があっても次の事象が起これば直ぐに切り替えが効いたのが、年齢的な衰えからから、
以前のように切り替えに時間がかかり何時までも引きずってしまう。
 いやな出来事A(失敗・陰口・争い)→ 結果C(落ち込み・腹立ち)が生じると、それは失敗や陰口と
思いこむ。しかし論理療法のABC理論は、AとCの間にB(Belief)を入れる。
出来事・A →  考え・ビリーフ・B →  結果としての感情・Cとする。
「いやな出来事と感情の間に、それに対する受け止め方・考え方があり、それが感情的な反応を決める」
要は「どう受け止めるか」である。Bで肯定的思考に変えることで、暗い性格から、明るい性格に換えてしまう。
 論理療法の創始者エリスは「ねばならない」「であるべきだ」「であってあならない」「はずがない」
という非合理な思い込みが、不健康な否定的感情につながると指摘。「絶対にうまくやらねばならない」
「私の人生は完璧であるべきだ」「こんな不公平があってはならない」という思い込みが、いやな出来事Aを
いやな気分に変換してしまうとする。そこで、論理的な対話型セラピーによって、非合理的考え方、
イラショナル・ビリーフを解消するのが論理療法。
*「私はまったく無力です」という人には「歩いてここまで来られたのですから、歩行能力があるんですよね?」
 と話を持っていき、ご飯を食べたのだから咀嚼力も消化力もあるし、目が見えているから視力もあるじゃない
 ですかという風に誘導。 人間の心はおもしろいもので、「自分は無力だ」と考えると、無力感が襲ってくる。
「微力としても、力はある」と考えると、少し力が涌いてくる。 思い込みの内容を意識して言葉として
 表出させて、論理的な説得を繰り返すことで、感情の自己コントロールが可能な性格に変えようと持っていく。  
 肯定的思考法に似ているが、マイナス思考を無視するのではない。
*「落ち込み癖」を治すには
・「ダメな私」=自己非難 ・「かわいそうな私」=自己憐憫 ・「かわいそうなあなた」=他者憐憫を、
 まず止めること。 夫婦で慰めあっているのがいるが、「可哀想な貴方たち」ということだ。 そのうち、
互いにダメな貴方になるが。そのためにはミッション・ステートメントなど、自分の信念を箇条書きにして、
それをビリーフにすればよい。「出来事のうけとめ方」とは「自分で自分を説得すること」で、気分を合理的に
整理する方向に持っていくことになる。他にも気分を整理する働きとして、般若心教に、ウォーキング・セラピー
(こんな言葉はないが)に、日記に、カラオケに、秘境ツアーに、あげれば限がない。私の場合は、嫌な気分の
原因を集中して考え続けていると、ある時点で、消えていく。その時間査定も、その中でしてしまう。
初老性欝症状は軽く終わりそうだが、あと半年? その後は、慢性老人欝症かいな?
・・・・・・・・・
2785, 恐怖指数
2008年11月19日(水)
 11月17日付の読売新聞・一面の「編集手帳」が面白い。 
【 アメリカで4年に1度、注目を集める経済指数がある。大統領選の行方を占う指標とされる
 「ミザリーインデックス」である
◆日本語訳は「悲惨指数」「窮乏指数」と悲壮感が漂うが、要は物価上昇率と失業率を足した数字のこと。
 これが10を超えると、米国民は経済失政に怒り、政権交代を望むという。
 8年ぶりに民主党オバマ氏が大統領選を制した今年、指数は6月から10を超えている。
 歴代大統領では、指数が高かったフォード、カーター両政権は短命だ
政権交代との因果関係は定かでないが、指数が上がると政府の無策を嘆く人が増えるのは間違いない。
 実は、日本も6を超え、1980年代前半以来の高さになっている。経済政策への不信感は、相当に
 強いに違いない (以下、字数の関係上、カットー2008年11月19日)