2004年07月25日(日)

1209, ヘーゲル ー哲学について−20
 ーヘーゲル

マルクスの後になってしまったが、近代哲学でヘーゲルが基点になる。
ヘーゲルは、「現実世界とその歴史は精神的な発展していく姿ー現象と考え、
それは自己認識に到達するための歴史的プロセスである」と考えた。

心や精神は無機質の自然から生まれたのではなく、それ自身が存在の中心的な構成要素であり、現実を構成する
歴史的プロセスの主体と捉えた。この全プロセスを現におこっていると認識しているもの(存在の究極的な本質)を、
ドイツ語で「ガイスト」と呼んだ。 この意味は「精神」と「心」の中間のようなものであった。
ヘーゲルにとって、ガイストは、存在の核心、存在の究極の本質であった。
ガイストが自己認識を目指して発展する姿であった。それが達成されると、全ての存在は調和をしてひとつのものになる。
それをヘーゲルは「絶対者」とよんだ。 それが「絶対的観念論」である。

ヘーゲルには3つの理論がある。
1、さっき述べた現実とは歴史的なプロセスであるという考え方
2、二番目には、歴史は合理的な構造を持っており、その構造を理解するために
  必要なのは変化の法則、すなわち弁証法(正・反・合)であるという考え方 
3、三番目には、疎外についての理論である。
  人間は、文明を築くプロセスの中で色いろな組織や規則や思想や宗教を生み出してきた。
  それが逆に人間を抑圧するようになって、自分で作ったものなのに自分のものでなくなってしまった。
  宗教が、その端的なものと考えた。神を自分の投影として作っておきながら
  それとは異なる存在、正反対の存在として考えてしまうようになった。

ヘーゲルの思想のいま一つの特徴は、「国家への崇拝」がある。
{人は全存在を国家に背負っている}と考えた。それがヒットラーなどに利用され
右翼的な民族主義者とみなされた。また共産主義者からもその国家観を利用された。

現在の哲学思想の四大潮流、ヘーゲル哲学・マルクス哲学・実存哲学・分析哲学
は、ヘーゲル以後の哲学史そのものといってよい。

[ヘーゲル弁証法]とは、
ー出発点の第一段階は、「テーゼ(正)」とよばれ、これに刺激をされて生まれる
対立的な反応が第二段階で「アンチテーゼ(反)」で、この二者の対立がやがて解消されて
そのどちらものりこえた新しい状態が生まれる。それが第三段階の「ジンテーゼ(合)」
になる。しかし、この第三段階は新しい状態なので
新しい対立を内包して、テーゼになる。
そして、ふたたびテーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼという三段階が始まる。
この変化は途切れることなく変化し続ける。
これは宗教、科学、経済、社会などの内側からの変化として現れることになる。

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