2003年07月25日(金)
842, エンドレスの巡礼

 先日、殺人未遂で逃げ回っていたお爺ちゃんが、エンドレスのお遍路さんでTVに出演をして、
たまたまTVを見ていた刑事に正体がばれて逮捕されてしまった。 当地では「エンドレスお遍路」
で有名の人だった。TV出演を拒否すればと思ってしまうのだが、そこが人間の持つ浅ましさだ。

 実を言うとこのエンドレスの老人の存在を知っていた。
『到知』という月刊誌で、俳優のショーケン萩原健一の文章に登場していたのだ。
ショーケンは、お遍路を年中恒例にしており、その詳細を書いていたのだ。
その文章でエンドレスのお爺ちゃんの存在を知って
「70歳を過ぎたら、こういう生き方も良いのかもしれない」と感心をした。
すべてを失い駅などでホームレスをしなくてはならない時が万一きたら、
思い切ってエンドレスのお遍路も良いじゃないかと考えた。絶望をして、死にたくなった時でもよい。
実際に、お遍路の道中に行き倒れて死ぬのも、病院で管に繋がれてのた打ち回って死ぬよりはずっと良い。
その最後のよりどころを、この老人は儚くも潰してしまった。
「歳とっての逃亡」でしかエンドレスの巡礼はできないのかもしれないが。

 「巡礼は自分の過去に向かって歩いていくこと」と聞いたことがある。その行き先のまた先が神仏なのだろう。
まだ巡礼をしたいとは思わないが、いつか駆り立てられる日がくるかもしれない。
母が80歳を過ぎ痴呆症の現象が出始めの頃に面白い夢をみた。母が5~6歳の巡礼姿で玄関口にいる。
その姿をすでに亡くなっていた母の妹がじっと見つめているのだ。恐ろしい悲しい神秘的な夢であった。
人生はエンドレスの旅路なのかもしれない。

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