2003年07月21日(月)
838, アメリカの世界戦略を知らない日本人
                 ー読書日記ー
イラク戦」後、時代はこう動く  日高 義樹 (著) 出版社: PHP研究所 ;
ー感想文ー
 新たなる世界大戦の序幕が切って落とされた。 中東、北朝鮮、中国、そして日本は…。
ブッシュ政権要人の肉声から読み解く驚愕のシナリオをシビアに書いてある本だ。
この本を読んでいると、今の世界の流れの一部が見える錯覚?に陥ってしまう。
日高義樹はNHK記者時代を通じ、アメリカの専門家として有名で、その著書も数多く出版されてる。
この本は、イラクへの武力攻撃が懸念される2月始めに出版されたものだが、

先日、図書館で借りてきて一気に読んでしまった。
主軸通貨を利用して、ドルと国債を世界にばら撒いて物資を集めてくれば良いのだから、
やはり帝国主義そのものでしかない。特に日本はいまだに属国から抜け出ることができない。
そして、紙切れー国債を押し付けられている状態だ。今までは、毒饅頭ー大衆消費社会ーを与えられ、
骨抜きをさせられた。 ソ連よりはズットましだっただろうが。

ー印象に残ってところを抜粋してみる
・ヨーロッパは終焉してしまった。 一見「EUの発足」で力の統合が始まったように見えるが
・中国は恐れるに足りない。いずれ分裂するとみている。
・日本の平和主義は終わった。 ー日本が核武装をしようがしまいがどうでもよい。
イラク戦争アメリカの狙いは中東石油支配。ーこれは時間が経てばたつほど露骨に現れてくるだろう。
 
ーさらに詳細に抜粋すると
・9月11日の同時多発テロ以来アメリカは変わった。
「冷戦後の世界で、一番先に変わるのがアメリカであり、他国に先駆けて変化するのがアメリカの特徴である」。
 自発的に変化することを苦手にしているのが日本であり、憲法改正有事法制も先送りしながら
日米安全保障条約だけを頼りにしている。北朝鮮の脅威が現実のものとなった以上、「アメリカが助けてくれる」
ことを期待を込めて信じるだけでは、国として無責任すぎる。 北朝鮮拉致事件も、見方を変えれば、
宣戦布告なき戦争であり、日本は国民の生命と財産も守れない国ということになる。
日本も今までのように安穏としてはおれず、現実的な選択を迫られている。

・第4次世界大戦”に、既に突入した(第3次大戦は米ソの冷戦)。
 それはアメリカなどの民主主義を奉ずる先進諸国とテロリストの国や組織との戦争。
 今までの戦争とは全く異なり、ITや大型輸送機を駆使し、少ない人員で遠隔地まで直接効率的且つ
 破壊力に富んだ攻撃を可能な戦争になる。 ーその第一幕が今行われているイラク戦。
・ついで起きるのが2005年頃と考えられる北朝鮮との戦い。
 このとき北朝鮮は日本を人質にとってアメリカと交渉しようとする可能性は大きい。
 ブッシュは“悪”とは決して妥協しようとしないから北朝鮮は日本攻撃に追い込まれる
 可能性がある。その際、日本が当然アメリカが守ってくれると期待するのは甘い。
・冷戦の終了と共に日本はアメリカにとって重要性を失っている。 
 後は日本の古い金融体制を不良債権整理と共に破産させてのっとることくらいが関心事。
 資金の裏打ちの無い“強いドル”を維持するために日本の円を自由にして 取り込もうとしている。

 [コメント]
 この原稿が書かれたのは昨年12月。(イラク問題は一進一退だが・・・)。
著者は、アメリカ政治に精通している著名なジャーナリストで、アメリカに関する著作は多い
(私も何冊か読んでいる)。歯切れの良い文体とちょっと過激な論調は、結構ファンも多いはずだ。
著者の結論は、ブッシュ政権は近日中にイラクと戦争を行い、第四次世界大戦の幕を切って落とし、
中東情勢が落ち着けば(アメリカの思惑通りに)、再選に向けて動く。
再選後、北朝鮮金正日体勢を武力をもって崩壊させるといシナリオである。
確かに、ブッシュ大統領も、危険分子(危険要因)の排除ためには、先制攻撃も辞さないことを
明言している。9月11日の同時多発テロ以来、「アメリカは変わった」ことを認識すべきである

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