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「金融大崩壊」 − 水野和夫著
昨日、半日で一挙に読んでしまったが、歴史的な視点を入れて解りやすい内容である。
5年前から「世界は激変するー資産防衛セミナー」に何度か出て、多くの本を読んできた。
そして、一昨年の夏あたりから、大きなウネリがあり、去年の9月の大激震となり正体が現れてきた。
この本は、その辺の潮流を解りやすく書いてある。
ー要約するとー
・現在の金融危機は「100年に一度の危機」ではなく、16世紀に資本主義が始まって以来最大の危機。
*16世紀からの「近代資本主義」と、
*1968年からの「新自由主義」と、
*1995年からの「アメリカ金融資本主義帝国」の終焉が、この金融恐慌、と看破。
考えてみれば、その資本そのものは傷をついてない。深手を負ったのは国家と国民である。
・16世紀以来の、近代資本主義がつくりあげてきた中産階級ー国民を、資本が破壊した。
近代資本主義下で「大きな物語」を信じて多くの人が中産階級になることが出来た。
それが2008年9月15日に終わってしまった可能性がある。それは同時に「主権国家の時代の終焉」でもある。
・サブプライムローンと新自由主義が、資本・国家・国民の三位一体を断ち切ってしまったことで、
この金融崩壊は後世にその名を残す。
・1995年以降、国際資本の完全移動性が実現したことで、資本は国家と国民に対して優位に立った。
そして資本がぬけがけし地球規模で暴走した。グリンスパン前議長こそ資本の側に立ち、それを容認した。
その結果、1995年から増えた世界の金融資産は1京円(=10000兆円)。
・1970年以前は「大きな物語」が成り立っていたので「大きな政府」が成り立っていた。
新興国が大型の積極的財政に転じても、今後、果たして財政赤字を解消できるのか、
先進国が同じく積極財政をとっても、期待した通りには効果は得られない。
・ポスト・アメリカの世界の象徴がG7の終焉と20Gの始まりであり、これは無極化への流れになる。
そして日本の輸出型経済モデルは新興国の中産階級を相手に据えるべきだとする。
中小企業はこれまでの下請けだけではなく、独自に積極的に海外に出ていくべきだ、と。
ー 以上であるが、結論からいうと・・・・ 次回に続く!
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