「仮説思考」 内田和成 著  
                         −東洋経済新報社
   実のところ、これを読んでショックだった。
  私の場合、仮説を多用してきたが、ある課題があると、問題点を幾つか探して、対案を幾つか考える。
  その対案を仮説と思っていた。しかし、早い段階の「仮の答え」を仮説というから、驚いた。
  リーマンの倒産直後に、大恐慌が始ったと書いた。 その時は、違うかもしれないが、8割方は間違いないと。
  確信はあったが、それでも半信半疑で、そう書いてしまった。 ところが、その視点で現象を見据えると、
  明らかに恐慌であり、その後の経過から現在は多くの人が、そのトバグチに立っていると信じている。 
 「あと一週間で死ぬとしたら何をしますか?」という問いかけも分かりやすい仮設である。 
  そうすることで、現在の「いまここ」の重要性に気づくことになる。
   間違いなく恐慌と確信したら、現在すべきことは全く違ってくる。
 「まずは結論から言いなさい。そして、その結論に至った理由を三つ分かりやすく説明しなさい」と、よく言う。
  それを思考に使うということだから世界のコンサルトは違うものだ。
   この本は必見に値する。 勘の鋭い人は、この文章だけで充分だが。
  
  ーまずは、この概要をまとめてみた。ー

 仮説思考とは何なのかというと、 情報収集の途中や分析作業以前に持つ「仮の答え」のことである。
『情報の少ない早い段階で結論を出し(仮説)、問題解決の筋道を大体決めてしまえ』というアプローチをいう。
・問題の課題の洗い出しをし 
・課題を発見したときも原因の追求をする、
・そして解決策を考える。
 この3つのプロセスにおいて事前に仮説を構造化していれば、漏れなく、早く、本質を当てることができる。
 大切なことは仮説を立て、仮説を構造化することである。
 仮説を構造化するために  So What?を使用する、訓練を行うために "Why?を5回繰り返す" などがある。
「仮説思考は、頭が良いとか、手法を多く知っているというのとは異なる」。
 誰もが日常生活の中で無意識に行っている思考方法。 それが仕事になると
「右脳的な考え方はいけない。もっと網羅的に理詰めで考えて結論を出さないといけない」とスイッチが左脳に切り替わる。
 だが、経営や仕事においても日常的な仮説思考を行った方がむしろ効率的で良い結果をもたらす。
  著者は「高速道路で渋滞にはまったとき」を例に挙げる。
「左車線は初心者など運転が遅い人たちが多いから、追い越し車線を選ぼう」「そう考える人が多いからここは左車線を選ぼう」
「この先はインターチェンジがあるから、そこまでは追い越し車線を行って、その後左車線を行こう」これは仮説思考そのもの。
  また雨の週末に外食に行こうとして「今日は雨だからすいているだろう」「雨とはいえ週末だから混んでいるだろう」
 と考えるのも日ごろ良くやっている仮説思考として取り上げている。
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 後記)レーガン米大統領が、「報告書には問題と、その問題の構造を大項目三分類、そして中項目を三分類ずつ九項目と、
  分かりやすくまとめたものにしていた」という。 成るほど!と感心したが、早い段階の「仮の答え」とは面白い!
  この効果は2〜3倍ではなく、10倍になるというから、若いうちに知っていたら違う人生を送っていただろう?
  それにしても、今になって知ることが、知ることがあまりに多い。 無知の涙か?・・・
                                          ーつづく
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