2004年11月02日(火)
1309, 23歳の日記 −2
社員教育が終了して、現場初日の日記である。

当時の澄んだ視点と、不安一杯の気持がそのまま出ている。 それと、冷静に見ているところが面白い。
当時は、高度成長期の真っ盛り。大卒の新入社員を確実に確保する為、一ヶ月前の3月1日に新人教育に入っていた。
卒業式の休暇はもらえたが、その辺のことも日記に書いてあった。 遥か彼方の記憶へタイムマシーンにのって、
当時に、よみ返ったような気分である。全てが新鮮で、毎日がドキドキ・ワクワクの連続であった。
しかし、激務と変化の連続で、限界を遥かに超えていたようだ。
とにかく気持を書きのこすという事は、何か深い意味があるようだ。

ー1969年3月5日ー
現在、四日市市内の駅裏から歩いて10分位の男子寮にいる。
同室は、「魚職人の寡黙の男の人」と、「同志社卒の一年アメリカに遊学してきた大人しそうな堀田という人」だ。
この人とは、いやに気が合う。 虚無的な、それでいて一言一言が哲学的な味のある男である。
一人でワインを買ってきて、フランスパンを食べている。何かホッとした。
今朝は、8時に起床をして、寮での食事後、会社へ出発。初仕事である。
始めは主任会議に出席して紹介される。その後、全社員の前で辞令を交付される。
自分でも驚くほど緊張をしてしまった。午前中は、本店店長の説明がある。
午後は、管理係長の説明、その後の15時半より実施訓練。全神経を使ったためか、疲れてミスを重ねる。
直接の上司の松又さんという人は温厚で面倒見が良い。初めから良い人に当たり幸運だ。 しかし、それに甘えないこと。
湯の山の研修にしても、昨晩にしても最低の失敗をしてしまった。
何か自信が無いのか背伸びをしているようだ。関大出の倉谷という同期に帰りの喫茶店で批難される。
「お前は、硬く考えすぎだ、そしてコチンコチンだ」と。 まあそうだろう。 敵を作らないことだ

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