議論に絶対負けない法 −4      ー読書日記
 
 物語を作るとは、争点に対して依頼者側の有利になるストーリーの筋書をつくることだ。
その筋たての準備を可能な限りエネルギーを入れなければならない。
それを著者は全米で一番忠実に実行してきたので、全米一位の弁護士になったのである。
これは全てのことに言える。 言葉の力は恐ろしい、言葉の中から光ってくるのは真実である。
以下の部分も、短い文章の中に、人生の要点が書いてある。 議論の方法などではない、人生の生き方、
人生の筋書つくりと、それに対して地道に努力して生きていくことの重要性が書いてある。
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p−172
法廷内でも法廷外でも、夕食を食べながらでもコーヒーを飲みながらでも、どんな場合であっても、
議論は一つのストーリーに変えることができる。議論には、そう、三匹の子ぶたへの家の同じように、骨組みがある。
オオカミに激しく息を吹きかけられて家が崩れ落ちるかどうか、吹き飛ばされるかどうかは、その家がどんなふうに
建てられたかにかかっている。すべての議論にとって最も強い骨組みは「ストーリー」である。
「さあ、お話をしましょう」 ストーリーを話すというのは、大昔から互いに教え合う大事な手段だ。 
たとえば焚き火を囲む集まり。一族が皆、焚き火を囲み、目をまん丸にした子供たちが大人の後ろからのぞき込んで
一心に耳を傾けている。過ぎた日々の物語を語る長老の乾いた声が聞こえてくるだろうか。人々は物語から何かを学んだ。
サーベルタイガー(剣歯トラ)を取り囲んで殺す方法、はるか遠くの森でマストドンの王を仕留めた話、
そして長老がいかにして嵐を生さ抜いたか。愛の物語もあれば、特別な秘薬の発見の物語
隣の種族との恐ろしい戦いの物語もある。人間の知識はすべて、太古にはストーりーの形で伝えられてきた。
ストーリーを話す生きものは、私たち人間だけだ。ストーリーを話し、それを聞くという行為は、
人間という種と他の生物との最も大きな違いだ。子供のころ聞いた物語は大切な経験として心のなかに残り、
大人になった時に物事を判断したり決定したりする際の拠り所になる。
意識のなかにも無意識のなかにも永遠に植え付けられる。私たちが楽しむ映画やテレビドラマ・芝居・これらは高度に
進化した形のストーリーだ。一番効果的なテレピコマーシャルは、三十秒あまりの小さなストーリーだ。
ジョークも小さなストーリーだ。世に名を残たと偉大な教師はストーリーを使って教えた。
キリストの讐え話もストーリーだ。
p−180
ストーリーの議論はなぜこんなに力強いのだろうか。それは人間本来の言語形態で語るからだ。その構造が自然だからだ。
話し手が「心の底」から、気楽に正直に力強く話せる。 興味をかき立てる。ストーリーは、どんな議論にも混入される
恐れのある「停滞」という名の最悪の毒に対する解毒剤なのだ。私たちはストーリーに心を動かされる。
ストーリーは、私たちが常に決断を下す、柔らかく無防備なところ、すなわち「感受性」に触れるからだ。
わりに作られる。自分自身に「自分は何を望んでいるのか」と聞いてみなさい。
危険な道路を拡張してほしいという希望を郡行政委員会に推し進める論題は「郡行政委員会には人々を守る義務がある」
ということだ。裁判官に相手方の訴訟を却下してほしい。
論題は「相手方が訴訟を起こしたのは、裁判所が紛争に判決を下す前に、土地を略奪するためだ」ということだ。
欠陥ブレーキに殺された父親の家族のために正当な償いがほしい。
論題は「私の依頼人が死亡したのはメーカーのもうけ主義のせいだ」ということだ。
議論の核心である論題がはっきりしていれば、望みどおりの結果を得ることができる。
だから、議論の準備をはじめる時には、次に記すような簡単な質問を自分自身にすること
・何を望んでいるのか
・土台となる主な主題は何か
・なぜ望んでいるものを勝ち取らなければならないのか・つまり、論題の土台となる事実、
 理由、正蓑にはどのようなものがあるのか。
・最後に、このような主彊のすべてを最大限に生かすためには、どのような「ストーりー」にすればよいか・・・
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後記)秘境ツアーから帰ってくると、旅行記を書いている。これも物語にして、自分の記憶の中に深く刻み込む行為である。
 写真も残るが、それ以上の整理になるし、跡として残る。物語化は感受性に触れるから、新鮮なうちに書くことだ。
 それぞれの民族に神話があり、永年にわたって受け継がれてきた。神話が民族の民族たらしめている所以は、
 それが民族の心であるからだ。その心の底が端的に現れるのが神話ということは、このことからも納得できる。 
  私の人生、筋書をもっと念入りにすべきだったのか? 

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