H0905  魂が万代橋の上を彷った話

 第2新館の役所の検査の直前の話である。
担当の設計士が顔をひきつらせ青い顔をして言うには、“今回の検査はパスしない!...”
一瞬耳を疑ったが、次の瞬間頭の中は真っ白、地獄の底へつきおとされた思いであった。
“それが本当であれば、あの建物は単なるゴミの山、そして私は?、会社は?...”パニック状態である。
それも夕方の飲み会の直前である。まあ明日の話として、頭も冷やすという事も含めて、
そして焼け酒という事で浴びるほど飲んだ。その夜は満室という事で事務所の長椅子に仮眠した。
恐らくそこが不安定という事と、頭がパニック状態という事と、酔いを含めて妙な夢になってしまった。

魂が身体より抜け出し、さっきまで飲んでいた古町より万代橋まで、目線が5m位の高さでプカプカ浮遊しているのである。
“ああ自分は浮いている。それも魂が”という感覚であった。そして目が覚めて!魂が浮いていたのはたしか夢か!
でもあの話は本当である!それも夢であってほしい!”と念じた事を今でもはっきり覚えている。
その2〜3日後に設計士の思いこみでしかない事がはっきりしたが、本当に長い氷つくような時間だった。

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H0905 私を生かして下さい!  <H8.7.24の日記より>

 今朝、病院に日課どおり母の様子を見にいくと、母が私の事を担当医と勘違いをしたらしく
“先生、私を生かして下さい!”と両手で拝まれた。本能的な生への執着の言葉である。
何とも言えない気持ちになってしまうと同時に、その言葉の重みに圧倒されてしまった。
死の間際にあっても、“生”への執着のことば、そして死の不安を自覚している事実である。
“これでよい、いやこれだ!”生きる事への執着こそ人生で一番大事の事と思い知らされた。
それにしても、あの担当の若い医師には呆れる思いだ。人間の生き死にを扱っているのに何もわかってない!
目の前の病気をなおそうとして母体そのもののことを考えていない!。 薬は反面、毒である事を!。

これが今の医療の大問題の一面なのだろう。彼等は技術者であって医師・医者ではない。
それが若いから許されていいのだろうか?。自分は判ったつもりでいるから始末が悪い!。
これから何年もの経験を重ねるうち今の誤りを気づくのだろうか?

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