2004年07月22日(木)
1206, 「半落ち」ー 映画感想

30万部を越すベストセラー記録を樹立した横山秀夫ワールドの最高峰
半落ち』が映画化され、今年の1月に公開された。そのDVDが、もうレンタルショップにあった。
さっそく借りてきた見たが、素晴らしい内容であった。 見おわった時、涙が知らずと溢れ出ていた。
あとで家内から聞いたが、みた人のほとんどが泣くという。 私の感想文は、最後に書いてある。

ー解説と内容(ホームページよりコピーしたもの)を貼り付けておきます。
 ー解説ー
愛する妻を手にかけた、元捜査一課の敏腕警部。彼が自首するまでの
「空白の2日間の謎」を追う幾多の人々。
が、この作品は、警察というフィールドで展開されるまぎれもない
ヒューマン・ドラマである。年齢を重ねるにつれ、人はさまざまな理不尽を
呑み込んで生きていかねばならない。
その現実に対峙し、何を、どう選ぶのか?状況に流されず、自らの生き方を選び
取っていくのは容易ではない。アルツハイマーの病状が進む妻に懇願され、
嘱託殺人という重罪を犯した主人公・梶聡一郎。その心の襞を探っていく物語は、
いつしか彼を取り巻く人々の心のうちまでも照らし出していく。
半落ち』に仕込まれた'合わせ鏡'の見事さは、登場人物たちはもとより
観る者をも巻き込んで、自分の<今>のありようを見つめさせるのだ。

ー内容
「私、梶聡一郎は、3日前、妻の啓子を、自宅で首を絞めて、殺しました」
梶聡一郎が最寄の警察署に出頭してきた時、捜査一課強行犯指導官、志木和正は、連続少女暴行犯人の自宅を
朝駆けで急襲する最中だった。梶の取調べを命じられて、何ヶ月も追ってきたヤマから最後の最後で引き剥がされ、
警察署へUターンする志木の胸中に去来する複雑な思い。

半年前、アルツハイマー病を発症した啓子の看病の為、自ら刑事を辞して警察学校で
後進の指導にあたり、広く敬愛を集めてきた梶が、なぜ殺人を犯したのか。
取調室で向き合う梶の視線の奥が、あまりに澄んでいることに驚く志木。

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< 感想>
母をアルツハイマーで5年半、看護した経験があったので、主人公の深い思いに感情移入をしてしまった。
そして、それに関わる色いろな立場の思惑や利害も、身に憶えのあることばかりで、
主人公の心の壁を探っていく物語は、そのまま自分自身の心の壁を抉りだしている
ようであった。そして、当時の自分の心の姿が浮かび上がってきた。

辛く悲しい母の姿と家族の、それぞれの立場で必死に生きていた当時の日々
がリアルに浮かんできた。しかし、そこには底知れぬ暖かさがあった。
アルツハイマーの身内を抱えた崩壊一歩手前の家族が、どういう気持ちで毎日を過ごしているか、
この映画は深く入り込んではいなかった。 それも、しかたがないが。

高齢化社会の、大きな問題がアルツハイマーである。どこの家庭でも、ぶつかる大きな問題でもある。
いまの寝室の寝ているところが、母の寝ていたところである。
アルツハイマーになった母が夢で月に二回は出てくる。 母は今でも私の中では生き続けている。

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