図書館で見つけた、「インド盗賊の女王・プラン・デヴィの真実」に、一人の女性の壮絶な人生があった。
   彼女の語った世界には、尋常ならざる悲惨な現実が次から次へと出てくる。
   NHKスペシャルで昨夜もインドをシリーズで取り上げていた。
   グローバル化とは、こういう異質な国とも垣根が無くなるということだ。

   ーあるブログに、この本の簡約した内容があったので、まずはそれをコピーしてみるー

プーランは、1994年、仮釈放となりこの自伝の口述を行った時には、読み書きができない状態、彼女の手記は口述であった。
 カーストは、絶対的神の前に、下層部が上層部にへりくだる事や、自分より更なる下層に倣岸に振舞うことによって
維持されているだけではなく、上層に対する打破不可能な絶望感の前で、同一カースト内部のより弱者をいけにえと
することによって、欺瞞的に延命を画策する、集団的かつ日常的なテロリズムを蔓延化させている。 
アチュート(不可触民)のマッラ階級に生まれたプーランとその家族が、同じ階級のそれも叔父の家族に徹底的に
いたぶられることから悲劇の幕が開けられる。

貧困さゆえに、11歳で既婚暦のある20歳年上の農民との婚姻、日々の重労働と性的暴力。
それからの逃避、結婚して戻ってきた娘プーランとその家族に対する帰省後の郷里の冷笑と村八分
半ば公然と(家族の前でさえ)行われる性的暴力。 かくて、救いのヒンヅーの女神は現れることなく、
いとこから、盗賊団(ダコイット)の汚名を着せられ、最初の収監。収容所での地方官憲の更なる集団暴行。
その後、曲折を経ての帰省後、今度は、そのいとこから依頼された盗賊団に誘拐される。

ダコイット内部でさえ、構成される盗賊の階級によって分化が促される。 誘拐したダコイットの一方の、
同一階級のリーダーに愛されることによってプーランはそこで初めて心の安らぎを瞬時的に与えられる。
だがそれも束の間、愛する人は、ダコイットの他方の、より上位階級に属するリーダーの裏切りによって殺される。
これまでに蓄積された怯えと悲しみが、ここで一挙に憎しみとなって暴発していく様が描かれていく。
彼女はもはや自ら「盗賊の女王」と名乗り、復讐と、貧民への施しのための誘拐、襲撃、簒奪をいとわない。

この著作は、その後、プーランが司法取引をし、刑務所に収監され、何年かの歳月を過ごすところで終わる。
プーランが収監された1983年は、奇しくもリチャード・アッテンボローが『ガンジー』でアカデミー賞を受賞
(オスカーは、E.T)した年でもあった。 プーラン・デヴィがその後、1996年元女盗賊として、インド総選挙に出馬、
当選、その後落選、サマジャワディ党に所属し、社会活動にいそしんでいたが、2001年12月、暗殺された模様である。
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書籍紹介
ジャングルの中を音もなく移動する盗賊たちと行動をともにするうち、
プーランは初めて人間として扱われる喜びを感じていた。だがそれも長くは続かない。
愛する首領ヴィクラムが、彼女の目の前で凶弾に倒れてしまったのだ―。
深い悲しみと激しい憎悪を胸に、彼女はみずから盗賊団を率い、彼女を辱めた男たちへの復讐に立ち上がった。
警察官を含む二十数人の権力者を射殺し、彼女は反逆の象徴として民衆の英雄となってゆくが…。
貧困層から圧倒的な支持を得て、国会議員に当選した元女盗賊プーランが、彼女自身の秘められた生い立ちを語る。
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   以上だが、読んでいるだけで身もよだつ内容が次から次へと出てくる。
  確かに、日本にも格差社会があるが、3000年以上かけての格差社会とは、レベルが違う。
  平等?そんなのは建前! 何を綺麗ごとを言っているのか! が人間社会の実態という事実を
  見せつけられた本である。

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