2004年07月19日(月)
1203,実存哲学(2) 
 ー哲学についてー18

マルクス−1
実存哲学が「主体」(自己)をテーマにしたのに対して、
マルクスが「存在の哲学」を主張した。包括的な主体の哲学である。

マルクスの哲学上の最大の発見は、資本主義生産システム分析を通して、
・この社会は合理的に統御不能な存在である、
・人間の「主観」から独自な「主体」(意志)を持つことを見出したことである。
「資本主義社会を根本的に動かしている力は、生命力を無制限発動している無意識(自然)である」
ということを明らかにした。

マルクス主義がみごとな思想体系をそなえている理由は、ドイツ哲学、フランス政治理念、イギリスの経済学という
三つの知的伝統を融合させたものであったからだ。したがって、マスクス主義は哲学には分類できない。
マルクス主義は、そのほとんどがヘーゲルから受け継いだものでしかない。
ある本に、ヘーゲル哲学とマルクス主義の共通する考え方を10に要約していた。
非常に解りやすくまとめてあったので書き出してみた。

1、現実はものごとの状態ではなく、つねに進行中の歴史的プロセスである
2、現実を理解するには、歴史的変化とは何かを理解する必要がある
3、歴史的変化は、無作為におきるのでなく、発見可能な法則にのっとっている
4、この発見可能な変化の法則は弁証法的であり、
  テーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼという三段階のうんどうをくるかえしている
5、この法則を繰りかえす原動力は疎外といわれ、その疎外によって、どのような
  状態になっても内部に矛盾を生じ、それは終わりを迎える
6、このプロセスは人間にはコントロールできず、それ自体が内部にもつ法則によって前進させられる
7、このプロセスは、内部にある矛盾が解決されるまで反復され、矛盾が解決されると
  疎外も解決される。変化をうながす原動力もなくなる
8、このような対立のない状態に達すると、人間は自分で制御できない力によって
  流されることもなくなり、自分で自分をコントロールし、自分自身が変化の決定者になる
9、こうなってはじめて人間は、自由と自己実現を達成できるようになる
10、最後には、自由が謳歌され、自己実現が可能な社会が到来するこの社会は、自由主義者が理想とする、
  個々人がバラバラに活動する分断した社会ではなく、それ々人の人生とは比べものにならないほど
  大きく充実した全体の中に個人が吸収される有機的な社会になる

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