2005年06月11日(土)
1530, わたしの酒中日記−6
金沢ー4   ー1972年3月末日

大学時代の友人の島村君が訪ねてくる。年賀葉書に金沢にいると書いたためだ。
何か金沢というと、東京では憧れがあるようだ。会社の同期の桜井君が訪ねてきた。
寮には社外の宿泊禁止規定があるが,こっそりと泊める。
これだけうるさい会社で、二回も規定違反をするのだからスリルがある。
二人とも、寮に泊めてもらうつもりで来ているから。

夜に落ち合って、香林坊で飲む。金沢の独特の雰囲気にのまれ、行く先々に興奮気味だった。
私の現状はこれ以下ない惨めさである!観光気分の立場とは全く違うのだ。

それにしても、大学を卒業して激しい環境にいたのを島村君と対比して実感する。
丸善石油の総務にいて、ほとんど苦労していないみたいだ。
それに引き替え私は、あまりにも惨めな気持ちである。
居酒屋にしてもスナックにしても、東京の世界とは全く違う。
ただただ目を白黒している。直感的に金沢の異質な世界がわかるようだ。

最後はホテルの最上階のスカイラウンジに連れて行く。
金沢の街が一望に見えるバーカウンターで、学生時代を懐かしむ。
しかし懐かしむほど、惨めな気分になる。サラリーマンは気楽で良いものだ。
「私は独立を目指してここにいる」という気持ちが、現在の自分を支えているだけだ。

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