* 再び、多次元宇宙論
 6年前に、8回にわたって要約していたテーマ。内容は遠大で、当時の驚きが
そのまま伝わってくる。自分の死など大したことはないと、宇宙科学に面前に
突きつけられたようだ。
<我々の宇宙は10の500乗分の1個でしかない!>という科学的事実?の前に、
プーチン、習主席、金、トランプが、それが如何した? 一兆、100兆、千兆円
が何んだ? 人生の一大命題の「死」の問題も、些細でしかなくなるような思い
に誘う破天荒な説である。6年前、ここにビッグバンが137億年前とあったが、
数年前に、正式に1億光年がプラスされた。1億光年といえば、気の遠くなる数値。
半世紀前の学生時代に「ビッグバン」を知り、驚いた。宇宙の外側があるか?が、
そこに、多元宇宙論である。6年前も、驚きそのままを書いていた。この本を読む
までは、宇宙は拡大するにつれて、密度が薄れていき、最後は縮小に転じて消滅
するとあった。観測からして、薄れてないという。他宇宙からループ状の管から
我々の宇宙に素粒子が注ぎ込まれており、永遠に拡大し続けるという。私たちは
三次元世界に生きているが、宇宙には7次元、8次元の世界があるという。三次元
世界からは考えられない次元というと、私たちは、宇宙も、世界も殆ど知らない
ことになる。子供じみたような、異次元宇宙の知的生物の管理下にあるのでは?
という説がまことしやかに語られている。それを否定する実証が不可能とか。
 論理の飛躍は、ここで止めておくが、孔雀の羽根のデザイン? 高度の知的
レベルの…と考えたくもなる。自己の存在を含めて、世界は、宇宙は不思議である。
私たちは何処から来たのか?=ビッグバン。 
何処に 行くのか?=いったん消滅。
はたまた多宇宙の一つに? 生残りし者の心の内? 宗教めいてきたか!
 重油で燃やされ、永遠の彼方に消滅するのが現実? 
…で、魂とは何ぞや? このブログに残した魂を込めた言葉。
私の両親をみると、娑婆に残した愛情。 心残りだったのだろうが…

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3987, 宇宙論コペルニクス以上の大転換     
2012年02月24日(金)
               宇宙は本当にひとつなのか ー1
  * 我々の宇宙は10の500乗分の1個でしかない!
 2003年を境に宇宙論は、コペルニクス的大転換に匹敵する以上に大きく
変わった。コペルニクスが地球が宇宙の中心と思っていたところに、実は太陽
が中心で、その周りを地球が周っているに過ぎないと主張した以上の大きな
衝撃的進展という。それは、観測の結果から宇宙全体のエネルギーの内訳が
明らかになった。星や銀河、それを形作るすべての元素のエネルギーは宇宙
全体の4・4%で、目に見える星や銀河は、宇宙の中のほんの一部分でしか
ないものだった。ここで、残る96%は何か? というと23%が暗黒物質で、
約73%が暗黒エネルギー。それを合わせると、残りの96%になり、元素の
エネルギーを合わせると100%。しかし、その正体は殆ど分かってなかった。
つまり、宇宙の殆どが分かっていなかった。ところが、その暗黒物質が分かる
一歩手前まで来たのである。
この暗黒物質の研究から出てきた考えが、宇宙はもっと沢山、もしかしたら
10の500乗個もあるかもしれないという宇宙多元論。たくさんある宇宙の
「たまたま」真空のエネルギーが十分小さかったものがわずかあり、私たちの
宇宙は、その一つだったという説。殆んど宇宙のことが分かってなかった事実と、
我々の宇宙は、気の遠くなるような多くの宇宙の一つでしかない裏ずけがで始め
てきた。
 学生時代にビッグバンとブラックホールの理論を知ったときの新鮮な驚きを
今でも憶えている。その後の科学の飛躍的進展で、宇宙のことが格段に知られる
ようになった。その一つにブラックホールの先が違う宇宙への入り口ではないか
という説。それが2003年を境にコペルニクス的大転換以上に変わったという
のを最近、知ることになった。哲学が宇宙の外があるかどうかを論じているが、
科学は、宇宙はもっと多くあり、10の500乗もある可能性を論じている。 
科学が哲学を遥かに超えたことになる。 永遠の中の有限の存在を知った人間
が、その苦しみを緩和するためつくり上げた神も、多元宇宙論を知ると、所詮は、
そこまでということが分かる。 私にとっても、衝撃的大転換である。
137億年前のビッグバンで我々の(今度から、我々の、を付ける)宇宙が
出現し、その広がりには千から2千億の星からなる銀河が、100億もある。
そこには星の消滅の時に生じる空間の歪みが、ブラックホールになり、周辺の
星を吸い込んでいる。それは、どうも他の宇宙に通じる通路と思われる。
これが、私の知っていた宇宙である。それが、気の遠くなる数の多くの宇宙の
一つというと、根本が変わってくる。
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3995, 宇宙は本当にひとつなのか ー2
2012年03月03日(土)
           「宇宙は本当にひとつなのか」村山斉著
 先日、「宇宙論コペルニクス以来の大転換」について書いたが、
そのタネ本が、この「宇宙は本当にひとつなのか」。私にとって、世界観が
ひっくり返るほどの驚きである。オーバーにいえば夜半に目がさめ、これを
考えると息苦しくなるほど。宇宙の果てがあるかどうか、時間の始まりがある
のか、神の存在は、自由とは何か、どこまで自由になれるのか?などの問いは、
この本を読んでしまうと根底から揺らいでしまう。 前提が宇宙がひとつ、
だったのが、10の500乗の宇宙の存在の可能性を突きつけられれば、
今までの宇宙論と、世界観は何だったのか?になる。コペルニクスの地動説が
事実と知ったキリスト教徒のようなもの。 
 これは万物の存在に根底から問い直しを迫った宇宙論になる。
「 宇宙で原子でできている目に見える物質は5 %に満たず、残りの約23 %は
正体不明の暗黒物質ダークマター)と、73 %の暗黒エネルギーが占めている。
それが、どうもあるらしい。ということは、宇宙の約96%は正体不明で、それら
は他の宇宙から、私たちの宇宙に流れ込んできている 」という途方もない説。
 まず、「 第一章 私たちの知っている宇宙 」から、幾つか書き出す。
   * 私たちの知っている宇宙
・ 地球が太陽の周りを回る速さは、秒速 30 km。
・ 星の成分は光を分析することで解る。温度が高い場所ではどんな物質でも
  ガスになる。光がガスの中を通るとガスにより決まる波長が吸収される。
  このスペクトラムの欠けで元素がわかる。
・ 宇宙の年齢は137億年。宇宙が膨張して38万歳のときに電子と原子核
  くっついて光が真っ直ぐ進めるようになる(宇宙の晴れ上がり)。
  このときの光が宇宙背景放射である。 地球の年齢は約46億年
・ 2006年8月に冥王星は惑星から準惑星に格下げになった。光の速度で4時間。 
  月は7分。 太陽系の中で恒星は太陽だけ。次に近い恒星はケンタウルス
  プロキシマ星で4.2光年。我々の天の川銀河には約2000億個の星がある。
  太陽系は中心から28千光年離れた端に近い場所にあり、天の川銀河では、
  まだ若く星や惑星が生まれている。太陽系は銀河の中心を秒速220kmで
  動いている。
・ 銀河団より広い6.6億光年でみると、銀河は一つの点になり、
  線のようにつながったフィラメント構造と空洞になった泡になる。
  これを宇宙の大規模構造という。
・ 60億光年くらいの範囲で見ると、宇宙はだいたい均質で同じような性質を
  もっている。 これを宇宙原理という。
・ スイス・ジュネーブ郊外の地下一周27kmの世界最大の加速器
 「大型ハドロン衝突型加速器」でビッグバンを再現する実験を行なっている。
  ここでは、ブラックホールをつくる計画があり、できれば4次元以外の次元、
  つまり、異次元があるという証拠になる。そうすれば、異次元の中を
  運動する物質の暗黒物質の正体もわかるかもしれない。
 ▼ この数年来で最も面白く、ショックを受けた本である。このところ、
  ショックのことが多い。異次元世界、いや異次元宇宙があるとはね。
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3998, 宇宙は本当にひとつなのか ー3
2012年03月06日(火)
          「宇宙は本当にひとつなのか」村山斉著
暗黒物質ダークマター」「暗黒エネルギー」「多次元宇宙」
「多元宇宙」が、この本のキーワード。
まず、「暗黒物質ダークマター」から取り上げてみる。
  * 「暗黒物質ダークマター」とは?
 目で見えなくて正体不明だが重力を持つように観測されるものを
暗黒物質と呼ぶ。銀河は遠くに行っても星やガスの速度は遅くなっていない。
このためには、見えない物質(暗黒物質)が銀河の端に行くほど増加して
いなければならないことになる。また、遠くの銀河団の光が巨大な重力に
よって曲げられている。これから暗黒物質が存在していることがわかる。
そもそも、この暗黒物質がなければ、地球も、太陽も星も、銀河も生まれ
なかった計算になる。この暗黒物質は何物とも干渉しないので、今この
瞬間にも私達の周辺、身体をすり抜けている。暗黒物質の有力候補が
アクシオンと、超対称性粒子のニュートラリーノであると理論的に予言、
期待されている。
 ニュートリノ観測結果から、銀河系の中にある星はすべて原子できている
と結論。銀河系全体では、その中心からの回転速度の観測から、見えないが
重力を持つもの(暗黒物質命名)が存在し、宇宙進化のシミュレーション
から暗黒物質が存在しないと現在の宇宙は存在しなかったことになる。最新の
宇宙研究の現場では、この「暗黒物質」をつかまえる一歩手前まで来ている。 
現在、仮説としては、「暗黒物質は異次元から来る使者であるという可能性」
が、まじめに議論されている。
  ー以下は、暗黒物質についての箇所であるー
【 私たちは学校で、万物は原子でできていると習いました。ですが、
 その原子は宇宙全体の5%にもならないのです。ここで疑問になるのが、
残りの95%は何なのか。実は約23%は暗黒物質で、約73%を占めるのが
暗黒エネルギーなのです。全部足すと誤差の範囲でちゃんと100%になります。
暗黒物質も暗黒エネルギーも、名前はついていますがその正体はわかりません。】
【 この考え方が最初に提起されたのは1933年のことです。銀河団の中の
 銀河の運動を観測したフリッツ・ツビッキーが、最初にそういった。
 最近の観測では銀河団のほとんどが暗黒物質でできている。どうしてそれが
分かるのか?重力レンズ効果を利用し暗黒物質の分布が分かります。
重力レンズ効果とは、アインシュタインが予言したもので、光は重力に引っ張
られて曲がる。 そのため、遠くにある銀河や星の光は変形して地球に届く。
この重力レンズ効果が、今は正確に測定することができるようになったのです。
暗黒物質の分布地図作りではっきりしたことは、暗黒物質は原子ではない、
つまり宇宙にある物質の8割以上は、原子ではないということ。】
【 暗黒物質は、ニュートリノ以上に、他の物質と反応せずに、地球なども
すぐに通り抜けてしまう物質です。電子やニュウトリノと同じような小さな
粒々の粒子だと思われる反応はしない重い素粒子と想像される。】
▼ ビッグバンから、この宇宙が始まったというが、その元になる素粒子が、
 どうして生まれたかは謎のまま。暗黒物質が、他の宇宙から来たというなら、
ビッグバンの原因が、暗黒物質が来た原因を探し求めていく中で分かってくる
のでは?と思われる。
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3999, 宇宙は本当にひとつなのか ー4
2012年03月07日(水)
 * 暗黒エネルギー
   ー次に宇宙の全エネルギーの73%を占める暗黒エネルギーについてー
【 暗黒エネルギーは暗黒物質と並んで、宇宙を作るものの中で正体がわかって
 いないものです。正体不明のエネルギーなので、暗黒エネルギーといっている。
暗黒物質のほうは10年以内にその正体が明らかになるのではないかと期待が
持てるようになってきたが、宇宙の全エネルギーの73%を占めると考えられて
いる暗黒エネルギーは、まだ糸口がつかめていない。
 今のところ、私たちは暗黒エネルギーを見ることも感じることも出来ない。
しかし、宇宙のエネルギーの約四分の三を占めているものが、どこか一部の場所
に偏って存在するとは考えられないので、私たちの周りに既に存在することになる。
 暗黒物質も、暗黒エネルギーも、それが分かっていないのに、物質とエネルギー
とに分けているのはなぜか。
 一番の違いは、宇宙が大きくなると暗黒物質は普通の物質と同じように薄まる
のに対し、暗黒エネルギーは薄まらない。 暗黒エネルギーを発見するきっかけ
は非常に遠くの宇宙で起きた超新星爆発。 超新星の観測から宇宙は常に膨張し、
その膨張速度は速くなっていることが分かった。宇宙には、目に見える星や
銀河などより、目でみることの出来ない 暗黒物質のほうが多く存在する。
ところが、宇宙が広がっていけば、その分薄まっていきます。そうなると、宇宙
のなかのエネルギー密度が低くなり、宇宙の膨張速度は遅くなると、物理学者は
考えていた。ところが、観測結果はそうでなかった。
 宇宙が大きくなるにつれて、どこからからエネルギーが湧き出てくる。
何故そうなるのか。それは宇宙が大きくなっても薄まらない何かがある。
それを暗黒エネルギーと名づけた。】
【 宇宙の体積が大きくなっても、膨張速度は速くなっている。宇宙が広がる
 たびに増え続けるエネルギーが必要で、そのため考えられたのが暗黒エネルギー。
有力な仮説は、真空も粒子は反粒子が出来ては消えてを繰り返してエネルギーを
持っている説。 この説により真空エネルギーを計算すると120桁も大きな値になり
宇宙は引き裂かれてしまうことになる。そこで、素粒子を点でなく、小さなひもだ
という超ひも理論が登場し、宇宙は1次元の時間、目にできる3次元、小さな異次元
が6次元(カラビ・ヤウ多様体)の10次元ということになる。超ひも理論は重力を
含む力の統一が出来る可能性がある。超ひも理論特異点を持つブラックホール
熱を持つという問題に解を与えた。アインシュタインの重力理論はまちがっていて、
宇宙は加速膨張しないとする人たちがいる。
彼らは超ひも理論の一つにより泡宇宙となるとの提案をしている。】
▼ 「宇宙の体積が大きくなっても、膨張速度は速くなっている。
宇宙が広がるたびに増え続けるエネルギーが必要で、そのため考えられたのが
暗黒エネルギー。 有力な仮説は、真空も粒子は反粒子が出来ては消えてを繰り
返してエネルギーを持っている」という説が分かりやすい。真空の中にエネルギー
があるというと仏教の「空即是色」が思い浮かぶ。 この本をキッカケにし、
「宇宙オタク」のブログを幾つか見たが面白い。 広大な宇宙に興味を持つと、
シャバの世事に囚われている自分が見えてくる。
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4002, 宇宙は本当にひとつなのか ー5
2012年03月10日(土)
           「宇宙は本当にひとつなのか」 村山斉著
 * 多次元宇宙論と多元宇宙論
     ♠ まずは多次元宇宙論
◇ 多元宇宙という言葉はあまりなじみがないと思いますが、この言葉には
大きく分けて二つの意味が込められています。 一つ目は多次元の宇宙。
次元というのは時間や空間の広がりを表すもので、私たちの目には宇宙空間は
三次元に見えています。私たちは上下、左右、前後と三つの方向に動くことが
できるので、三次元空間といっていますが、実は、宇宙には私たちが気づいて
いない方向があるかもしれません。つまり、三次元以上の次元があるという
考えを多次元宇宙といいます。これは、あくまで、宇宙は一つという前提です。
◇ そして二つ目が多元宇宙。多次元と多元。文字が一つ違うだけで言葉の
 意味が大きく違ってきます。多次元宇宙は、宇宙空間に今まで知られていな
かった次元があるということで、次元が増えても、「宇宙の数は一つのまま」。
 ところが、多元宇宙というと、宇宙がたくさんあるかもしれないという
考え方なのです。 私たちは、宇宙は一つしかないと思って生きてきたわけ
ですが、もしかしたら、私たちが住んでいるこの宇宙は、たくさんある宇宙の
中の一つで、この宇宙のほかにたくさんの宇宙があるかもしれないということ
をいっています。
◇ まず、一つ目の多次元宇宙から話を進めていきます。そもそも、次元とは
 何かというとところからおさらいをしていきましょう。私たちは日常生活の
中で人といろいろな約束をします。例えば、友だちと映画を見ようという場合
・待ち合わせをするわけですが、 このとき、基本的に四つの数字が必要です。
場所を東京都新宿区の映画館としますと、新宿駅から東へ四分、そして南へ
三分というように目的地までの道のりがあります。ここで二つの数字が出て
きました。目的地がビルの場合、もう一つ、ビルの何階という数字が必要に
なります。これで三つの数字が出てきました。この三つの数字があれば、待ち
合わせの場所を指定することができます。
 しかし、これだけでは友達と会うことができません。あと大事な情報が
抜けています。「いつ」という時間の情報ですね。 今度の日曜日の十時と
時間が決まっていれば、すれ違うことなく出会うことができます。これが
四つ目の数字となります。 ・・・しかし、これ以外に、違った見えない
次元があるかもしれない。・・・空間が3次元であるというのは、人間の感知
能力では3次元までしか感知できないという意味であって、空間が絶対的に
3次元であるということではない(「ひも理論」という最新の物理の理論では
宇宙空間は9次元だという)。4次元以上の空間で働くエネルギーを把握
できていないので、残りの95%は何なのか、分からないのでは? 
・・・・・・
▼ 多次元宇宙は、この宇宙が一つで、その中の異次元宇宙をいう。
 三次元の他にも異次元があるが、三次元の空間では、それを理解できない。
二次元の世界で、三次元を理解できないのと同じ。10年ほど前までは、
異次元というと眉唾ものであったが、2003年を境に宇宙学者が真剣に
研究を始めるようになったという。
・・・・・・
4003,宇宙は本当にひとつなのか ー6
2012年03月11日(日)
         「宇宙は本当にひとつなのか」村山斉著
  * 多次元宇宙論と多元宇宙論 ー2
 ♠多元宇宙論とは  ー 宇宙は一つではない ー
◇「多元宇宙」= 暗黒エネルギーを説明するためには、相対性理論
 量子力学を1つにした新しい理論が必要だ。その最有力候補の超ひも理論
よれば、まだ未完成だが、膨大な宇宙が存在するという結果が出てしまう。
これが宇宙は10の500乗個も作られたという「多元宇宙」という考え方だ。
◇ ー三次元のサンドイッチー
 これまでの話をまとめると、多次元宇宙とは、宇宙自身は一つで、私たちが
見ることのできる三次元空間以外にも別の方向があるというものでした。しかし
多元宇宙は、その前提が大きく変わります。宇宙自身が一つではなくたくさん
あるという考え方が多元宇宙です。多元宇宙というアイデアの一つの例として、
三次元空間がサンドイッチのように何層も存在するというものが考えられます。
これは私たちが生活する三次元空間がいくつもあるのではないかということで。 
しかし、この場合は、たくさんあるといっても全体から見ればひとくくりの
空間の中に収まります。ということは、一つの宇宙の中に私たちが実際に見る
ことのできる空間と同じような三次元空間がいくつもあることにすぎないのです。 
実際、重いものを、この三次元空間の中に置くと、別の三次元空間に影響が
出ます。例えば、私たちの宇宙が図の「宇宙1」だとします。「宇宙2」にある
星や物質は私たちの星や物質とぶつかったり反応したりすることはできません。
しかし三次元方向で近くに来ると重力では引き合います。もしかすると暗黒物質
は重なった別宇宙の物質という説がある

▼ 暗黒物質と暗黒エネルギーは、別宇宙の物質と考えると理にあう。 
ヒモ理論が10次元の異次元宇宙の可能性を説いている。 この本でも述べて
いるが、「人間原理」という、カント哲学風の「宇宙を認識するから宇宙は
そんざいする」という素朴な説が立ち現れる。
・・・・・・
4005, 宇宙は本当にひとつなのか ー7
2012年03月13日(火)
           「宇宙は本当にひとつなのか」 村山斉著
  * 人間原理とは
【 この宇宙の物理法則を見なおして見ると、人間が出現するための条件が
 そろうようにできているのです。例えば、暗黒物質があるおかげで、星や銀河
が生まれましたし、量子力学の法則の存在するおかげで、原子が潰れずに存在でき、
私たちの体も壊れずにすんでいます。また、私たちの世界は三次元空間が大きく
広がっていて、それ以上の次元はとても小さなっていると考えられている。
空間が三次元に広がっているお陰で太陽系が存在できています。太陽系は、
八つの惑星をはじめ、たくさんの天体が太陽の周りをグルグルと回っています。
もし、大きく広がっている空間が四次元以上だったとしたら、太陽の周りを
回るたびに少しずつずれてしまい、同じところをグルグルと回ることができなく
なります。一方大きい空間が二次元しかないと、DNAのこ重らせん構造をつくる
ことができません。生物が存在できるかどうか怪しいものです。・・・
 そのようなことを一つ一つ考えていくと、この宇宙はうまくできすぎている
のです。たくさんの条件をもった宇宙がランダムにつくられていったと考える
にはできすぎているというところから考えられたのが、人間原理です。
 人間原理によると、人間が存在できるように宇宙の条件がそろえられている
のは、ある意味で当たり前のことなのです。宇宙のことを観測するのは人間です。
人間が存在できる条件を満たしていないと、人間が生まれません。人間が生まれ
ないということは、観測されないわけなので存在しない、もしくは存在しない
のと同じです。たくさん生まれた宇宙の中で、ごく稀に条件がそろった宇宙に
人間が生まれ、そのような特殊な宇宙だけが科学の対象になり、私たちが見る
ことができるという理論になっています。・・・ 
 自然法則やその中に含まれる物理定数は、人間のような高度な生命を生み出す
のに丁度適した構造になっている。これはファイン・チューニングと呼ばれる。
人間原理は、このファインチューニングという現象に対する説明を与える。
宇宙の自然法則と物理定数が生命の存在を許す絶妙なバランスを取っている事
の理由を説明する議論には、他に、知的な存在を仮定する宗教的な立場として
創造論あるいはインテリジェント・デザインがある。それに対して、人間原理
超越的な存在を仮定しない自然主義的なアプローチである。 】
 ▼ 人間原理の「人間が現に存在をして認識するから宇宙が存在をする」は、
カントの対象に対する認知の貼り付けの認識論に似ている。宇宙の広ろがりを
知るほど、人間の存在と知能の不思議さを改めて思うことになる。「丁度良い」
が、我々人間にも、住んでいる環境にも言えること。それを再確認するに、
「ありがとう」を口癖にするのがベストになる。宇宙論も、最後は精神論か。
・・・・・・
4006, 宇宙は本当にひとつなのか ー8
2012年03月14日(水)
           「宇宙は本当にひとつなのか」 村山斉著
  * 超ひも理論とは
【 これまで電子などの素粒子は大きさをもたない点として考えられてきました。
 ですが、素粒子をただの点として考えると、つじつまの合わない、ことが出て
くるようになってきたのです。そこで、考えられたのが素粒子は実はひもだった
と考える理論です。これが超ひも理論につながる最初の考え方でした。素粒子
実はひもだったというのは、とても突飛な発想のように感じると思います。
どうすれば、今まで点だったものをひもとして考えられるのでしょうか。超ひも
理論でいっているひもは、とても小さなもので、その長さは一〇の三三乗分の一
マイナスセンチです。小数点の後にゼロを三二個並べた後に一が来るくらい小さい
ものなので、私たちは見ることができません。 超ひも理論では、私たちが素粒
子だと思っていたものは、実は振動して広がっているひもなのですが、あまりに
小さいので点だと思い込んでいたというのです。今まで点だと思っていた粒子の
正体がとても小さなひもだったという超ひも理論が正しいものだったら、宇宙の
姿も大きく変わってきます。まず、宇宙は一〇次元でなければいけないことに
なります。一次元の時間に加えて空間は九次元ということですので、私たちが目に
することのできる三次元空間の他に小さな異次元が六次元あることになります。 
加えて、プレーンと呼ばれる三次元空間の膜も確かに存在して、物質はその膜に
貼りついているということも、理論が正しいことになります。】
▼ 物質をカタチつくっていた素粒子が、実は振動して広がっているヒモ
 だったとすると、モノとは何かという原点から考え直さなければならなくなる。
その超ひも理論が正しいと、宇宙が10次元なければならなくなり、空間が9次元
なければならないという。それから、多元宇宙論が導き出されるという。
「物質は、コトの一時的現象」という話を聞いたことがあった。コトのエネルギー
から生じるのが振動なら、素粒子と思っていたのがヒモ状の振動と同じことになる。
人間の感動も魂の振動。下にコピーしてある,二年前の3月14日のーカントの
神について、どう語ったかーが、宇宙論を読むと符合する部分が多い。
その前年分もか。