1月19日  1969年

11時起床。12時半に、聖心女子大に向けて出発する。明美とトツに会う。
明美から招待券二枚が送ってきて寮の佐藤と出かけた。晴海もチッラと見る。
「アンドロマック」という演劇であった。その中でエルミオレを演じた人が素晴らしい演技であった。
演劇の素晴らしさを知ったようだ。 明美が演出したという。よくあれだけの人を纏め、仕上げたものと感激をする。
おっとりした彼女の中に、あれだけの知性と能力が隠されているのは驚きだった。
終了後、気を使わせない為、会わずに帰ってきた。そのほうが良かったのだろう。
聖心女子大に入ることも初めてで終わりだろう。昨年の暮れ、女らとの合コンを
深井とのトラブルで欠席したが、これで気持の上で納得ができた。いい思い出になった。
17時に帰寮する。 招待状を送ってきた時の彼女(明美)の手紙である引用だが、印象的な言葉があった。
「青年は確実な証券を買ってはならない」ふとこの日記を書いていて思ったことは
「純粋性は手段ではなく、目的にすべきである」今は毎回のイベントが最後の別れになる。 よい人たちであった。