2007年12月21日(金)
2452, 居場所を見つけたときに人間は変わる −1
                  (。´_`)ノおはぁ。
人生の中で、しっかりした家庭で育った人は結局紆余曲折があっても元に戻るものだ。
人間には何があっても、あなたを受け入れてくれる家庭を必要とする。そこが本人にとっての居場所なのであろう。
以下の短い文章の中に、家庭、夫婦、人間に必要なことは何かを考えさせられた。 強い父、優しい母、
そして喧嘩する兄弟が必要である。親、教育者、上司として、考えさせられる示唆が多く含まれている。
そういえば、ヘレンケラーの恩師のサリバン先生の指導に似ている。
そうこう考えると、人間には最低の教養と、暖かい家庭が必要ということだ。
ーーーーーーー  「存在の大地」高史明・芹沢俊介上田紀行
 芹沢:
いまの話にも関わってくるような象徴的な話を聞いたことがあります。  それは、
一人の青年の話なのですが、物を盗んで仕方がない二十歳ぐらいの青年がいて、
月に何回となく物を盗むのです。  それで、何回となく捕まる。
ところが警察はちょっとした盗みぐらいでは刑務所へ送らない。
裁判にまで持っていくことはないのです。 彼も「もう二度とやりません」と言っては、
また盗みをやる。それでまた捕まるということを繰り返していた青年がいました。
この青年に対して、ある施設で、二つの対応策が出てきたのです。

・一つは、警察や裁判所をうまく使って、彼を一度きつい場面へ追い込もうと。
強い規律と訓練と指導とがあるような場所を通過させて、その後に自分たちが引き受けようという
方策を提案した人がいました。ところがもう一人、その案に対して「ノー」と言った人がいるのです。
そして結局、その施設では後の人の案を採用して、青年に対応することになりました。

・彼と対応したのは一人の女性だったのですが、その人が彼にどういう接し方をしていったかと言うと、
とにかく特別扱いをするということをしたのです。その青年は、いまの言葉で言えば非常にキレやすい人なので、
キレたときには、すぐ一対一になってとことん彼の言い分を聞くということがひとつ。
もうひとつ、その青年は人に殴りかかったりすることはないけれども、大声を出したり、
物を投げたり蹴飛ばしたりして人を威嚇することがあるのです。その場合は、とことんやりあう。
つまり、彼が大声を出せば、それに負けないぐらいの大声でどなり返す。
相手が物を蹴飛ばせば、自分も蹴っ飛ばす。要するに、喧嘩の相手をきちっとやる。その二つを徹底するのです。

・そして最後にもうひとつ、これがとてもすごいことなのですけれども、
「あなたのことが好きだ」ということを彼に伝えるのですね。「あなたのことが好きなので、
あなたがどんなことをしても、私はあなたのそばを離れない」というのです。
そういう対応をしながら、その女性は彼の過去を探っていくのです。
そうすると青年が母さんに捨てられたことがわかってくる。生まれてすぐに捨てられ、乳児院に預けられる。
乳児院から養護施設を経て成長していくのですが、記録を見て驚いた。
乳児院と養護施設で代わるがわる彼に関わった10人の職員の中で、誰として彼の長所を挙げた人がいない。
欠点ばかり書かれたデータが残っているだけなのです。あらためて彼女は、彼を特別扱いして一対一で対応することと、
喧嘩をきちっと一緒にやるということ。 そして「あなたのことが大好きで、どんなことがあったって離れない」
ということを伝えるという三つの対応を続けることを心に決めた。さてその結果どうなったかと言うと、
警察に逮捕される回数が激減していくのです。毎月のように何度も捕まっていたのが、
去年は年間を通して四回、今年は10月までに1回といったように、次第に減ってきた。
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以上だが、夫婦関係にも似ている。どんなに喧嘩をしても、何があっても別れない。
相手を必要としている、というメッセージを出し続けることである。 相性の悪いのは、仕方がないが、
しかし少なくとも対話の訓練、いや、相手の話を聞く訓練はしておくべきである。でも、相性もあるか?
後記)たまたま、このテーマを取上げたら、去年の同日、家族について取上げていた。 不思議なことだ!           
            つづく  (。・∀・)ノ゛
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