オバマという人物を、いま一つ解らない部分がある。
父親がケニア人で、母親がアメリカの白人。 しかし経歴といえばアメリカ社会のエリートコースを登りつめ、
史上初の大統領にまでなった人物である。しかし何か得体の知れない危なげな匂いを感じもする。
そのことを産経新聞の「世界を斬るーオバマアメリカ」の岡本行夫佐藤優の対談で、
 佐藤が次のような見方をしている。
 
ーまずは、その部分である。ー
オバマさんはキメラ(多様な要素を併せ持つギリシャ神話上の生物)だと思います。
何者でもあるし、何者でもない。よい目つきで見ると、エリートの要素も、低い要素も、すべてを備えているように見える。
国民の能動性を引き出すのもうまい。勝利演説でネットで5ドル、10ドル、20ドルを入れてくれた人に感謝していますね。
政治参加する人は少額でも、100万ドル、1000万ドル払う人と権利が全く同じだと。
アメリカ人とは何かという根本的なところで、アメリカを思い、アメリカのために行動する人がアメリカ人だと。
新たな統合原理をつくることに今のところ成功していると思う。
 実は1930年代当時の日本の国際情勢の本にはニューディール政策の解説があり、
ルーズベルト政治を「ファシズムの一類型」と説明している。 
要するに、自由主義的な資本主義から離れて社会格差を是正していこうという運動で、イタリアのファシズムに近いというわけです。
人種神話はなくて、ナチズムとは全く別の思想ですよ。1920年代の初期ファシズムは「イタリア人とは何か」の問いに始まるんです。
イタリアを思い、イタリアのために行動する人がイタリア人で、老いも若きも男も女もない。一握りの資本家が太って、
庶民が街頭で職にあぶれているのはおかしいと。オバマさんも「ウォール街だけが潤っているのはいけない」と、
ムソリーと同じ表象を使っている。このファシズムがナチズムと融合さえしなければ、福祉国家的思想になったかもしれない。
そういう構造が今《アメリカで起きてることと似ている。ロシアの現象とも似ているんですね。 
歴史は反復し、資本主義が格差拡大で行き詰まると修正が出てくる。
そういう観点でアメリカを見ていくことも重要だと思いますね。】
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ムッソリーニを応用して戦略を立てたのだろうか、それともあくまで偶然であり、時代の要請だったのだろうか。
アメリカ大統領は世界に大きな影響を与える立場にある。 彼に不気味なマイナスを感じるのは私だけだろうか。
それとオバマ政権が元クリントン大統領の内閣のメンバーが多いのも気になる。日本にとって、厳しい対応になるだろう。

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