2003年10月16日(木)
 925、「おん宿かわせみ」

 ホテルのフロントにたっていると、色いろな人生垣間見みれるという一宿一飯のサービスと部屋貸しの商売である。
色いろな人が泊まっているのは当然である。7割がリピータで、何らかのカタチでその人の事情が見えている。
 年に2~3回は、当ホテルの通報で犯罪者が逮捕される。フロント内に指名手配の写真が数枚張ってあるのだ。
その功績で表彰状と金一封ー5千円を貰ったことがある。

 一月ほど前は広島の詐欺師で、通報をしたら7~8人の刑事が来て連行していった。 
ホテルからの通報ということを知らさない為か、違う捜査で各部屋を調べているように装って、
偶然みつけたようにしていた。お礼で3千円ほどのケーキを貰ったが。
 
 ロシア人を捕まえようとしたら、一瞬の差で窓から逃走してしまったこともあった。
大体が、通報があった場合、外に出てくるのを待って逮捕する。
こういう時代のため、最近は得体の知れない人が10人前後はいる。
どう見ても泥棒としか思えない人もいるという。あまり派手なたちまわりはない。
誰もそうだが、自分の居場所では大人しくしているものである。

 三日前には、5月2日より長期で泊まっていた老人が部屋で亡くなっていた。
偽名で泊まっていたが、警察が所持品で調べたら身元が分ったという。
家出をしていたらしく、親戚が三人駆けつけてきた。
最近になり身体全体が浮腫みはじめていて、コンビニに一日一度出かけるのも大変そうだったという。
推測するには、癌か何かの宣告を受けて死を覚悟で家出をしたのではと?
どういう気持ちで泊まっていたのだろうか。 死は直視することはできない!

・・・・・・・・