2007年10月11日(木)
2382, 私の嫌いな10の人びと −1

「私の嫌いな10の人びと」 中島 義道 (著)
             ー読書日記
          。っω-)..。oо○オハヨウ
この本の要点は「『いい人』の鈍感さが我慢できない」に言い尽くしてある。
なるほど、言いえて妙であるが、『いい人』にも色いろある。
中島の嫌う『いい人』というのは世間的な「いい人」である。
それに対し『良い人』とはカントのいう『良心』を持った人ということである。
生活していると、積もり積もってゆく世間の重圧がある。
それらに押しつぶされている人達は、良心を足蹴りにしても世間的慣習を優先する。
笑顔を強制されたり、感謝を要求したり、善意を押し付けたり、前向きにさせたり、
けじめを教えこんだり、世間的「いい人」であらねばならないという脅迫観念に、
全神経をすり減らしている。

この本の目次を、そのまま書いても、その「世間的いい人の型」が見えてくる。
「何時も笑顔を絶やさないで、感謝の気持ちを忘れないこと。そして周囲を喜ばせ、
何ごとも前向きに、自分の仕事に誇りを持ち、けじめを大事にして、
喧嘩をする人がいたら宥めて、人の嫌がることは言わないようにして、
卑下することなく、悔いないように生きていくこと、それが人生の目指す姿である。」
まあ、何処でもいる人格円満を演じている市会議員か、地方名士の仮面の姿である。
自分自身からして笑顔と感謝の心は心がけているし、前向きに生きようとしている。
更に、『人生に悔いなし』と自分の生き方を正当化しようとしている。
問題は、それが自分の生きてきた中で練られ、良心から出ているどうか、
人格円満結構、それが仮面かどうかである。 
仮面でも必要なこともあるが! (必要なら、ふりをしろ、ふりを!)
                エッ、そんなのいつもしているって!

 まずはー目次ーから・・・
1 笑顔の絶えない人
2 常に感謝の気持ちを忘れない人
3 みんなの喜ぶ顔が見たい人
4 いつも前向きに生きている人
5 自分の仕事に「誇り」をもっている人
6 「けじめ」を大切にする人
7 喧嘩が起こるとすぐ止めようとする人
8 物事をはっきり言わない人
9 「おれ、バカだから」と言う人
10「わが人生に悔いはない」と思っている人
   ーーーー

この本のーみんなが喜ぶ顔が見たい人ーの中で、
著者は夜回り先生の水谷氏に、まずは疑問を呈する。
水谷氏は、夜の世界で薬物、売春などでずたずたになっている若者に、
昼の世界に行くことを勧める。 まじめに学校へ行く、働く、家族を大切にする
というような昼の世界が幸福を与えてくれることを、水谷氏は信じているようだ。
しかし著者から見れば、それは当然のことではないという。 
著者のもとにやって来る若者たちは、昼の世界に幸福を見出していない人、
愛されたことのない子供時代の絶望の体験を持つ人、
仕事を失って家族を養うことができない親の焦燥感を持ったことのある人、、
病気や障害を持った家族を持つ人、
そして将来への不安を体験した人は、
平凡な幸福というものを、普通ということに
「それじゃ、やはりつまらないんじゃないのかな」と呟いてしまう。
彼らは実はこの呟きから出発している。
そのつまらなさを知った人に、それでは何も答えを出してないことになる。
中島は次のように述べている
「私は自分の頭で考えることができず、自分を内省的に振り返ることもせず、
 自分の生き方を人に押し付けるようなタイプの人間が嫌いだ」と。
「悔いのない人生」に対しては、両親の晩年を身近で暮らし看取って、
人生を燃焼しきった後姿から得た生きかたである。
しかし目指すのは良いが、最後まで思わないことを言いたいのだろう。
次は、気になる「常に感謝の気持ちを忘れない人」を取上げてみる。
                          つづく
                 w(´・з・`)バァイ
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