2002年10月06日(日)
541,幸福と本当の仕事

何気なく本を読んでいて、自分が事業を通して得た実感が、ずばり書いてあることがある。
そのうちの一つが下記である。山本周五郎の「青べが日記」の一節である。
ー幸運を望むものよ、お前は3つの事しか為さないのに10の結果を望んでいる間は、幸運は来ない。
幸運を望む男よ、お前が2つの結果を得る為に、10の事をしたら必ず、幸運は来るぞ。
貧乏をしても、出世していく友に遅れても、本当の仕事(為事)をこつこつやっているこの力強さ。
白蟻が大黒柱を如何にしてガランドウにするか己が知っているー

事業をしていると、この闘いだ。2の結果を得る為に10の努力をしてもマイナスになるのが事業の恐ろしさだ。
「しない方がずっと良かった」という結果との闘いである。「本当の仕事」をしているつもりが、虚の仕事をしてしまう。
「本当の仕事」をきっちり見つけなくてはなるまい。 知識と情報と経験不足から、それらは起因する。
新しい事態に対する判断を、常に不足状態の能力の中で求められる。経営は相撲の喩えでいうと「14勝1敗より、8勝7休」
でなくてはならない世界であり、一敗は致命傷になることが多い。
情報と方向が正しいなら、1の努力でで10の結果を得る事が可能な時代でもある。
情報化社会でその傾向がより強くなっている。現代の不幸は最小の努力で最大の成果
ー効率を求められることである。人間の気持ちまでも効率を求めてしまう事が、不幸にしてしまう。
好きということは最大の努力に対して、それ自身が楽しいことだ。 
好きという事と有利という事を混同してしまうことが、人間を不幸にする。好きの事を有利にする事は可能だが。

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