2007年09月12日(水)
2353.ベナレス・・・9

 12、母なる河ガンジス
日本の文化や精神性を象徴するのが富士山であるとすれば、インドのそれは間違いなくガンジス河である。
ヒマーラヤの山間部ガンゴーツトリー氷河に源を持ち、勢いよく南下して平地に達成するかがわかる。
日本では英語のガンジスの名で親しまれているが、インドではガンガーと呼ばれ、女神そのものもと考えられている。
神話によれば、バギーラタという王が先祖の犯した罪を浄めるため、神々に懇願し苦行を重ねた結果、罪障を洗い浄める
力を持つたガンガー女神が天界から地上に流れ下つたのだとされる。 それ以来、ガンガーはあらゆる人びとの罪障を浄め、
より良い再生をかなえてくれる聖なる河として崇められるようになったという。
ガンジス流域から離れた場所で儀礼を行う際も、その土地の水を入れた壺にガンジスの聖水(ガンガー・ジヤル)を
一滴でも注げは浄められるというほど、この水は霊力を持つと信じられている。
ヒンドゥー教徒はこの河で沐浴するときには母なるガンガーに身をゆだねる安堵感にひたリ、また、
死んだときには母に抱かれてヒマーラヤに帰っていくことを願って、ガンガー女神に篤い信仰を捧げる。
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解)死体を流す川での沐浴。そして、その近くで骨の中から指輪などの貴金属を川の中からあさっている人たちの姿。
なんともいえない悠久の流れがそれらを全て包み込んでいるようであった。
インド、特にベナレスは一度日本人は行ってみるべきである。 死はサシたる事ではないと思えるようになるから・・

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 13、大いなる火葬場
ベナレスには「大いなる火葬場」という別名がある。ヒンドゥー教では浄・不浄を厳しく峻別する観念を持っているので、
ほかの都市では火葬場は人の眼に触れない場所にあるのが普通だが、ここでは人びとのもっともよく集まるガンジスの
岸辺の二か所に火葬場がある。
市街の中心に近いマニカルニカー・ガートはそのうちの大きい方で、二十四時間火葬の煙が途絶えることがない。
ここに運ばれてきた死者は、まずシヴァ神を祀るターラケーシュワル寺院のリンガのそばに安置される。
死者の耳にシヴァ神がターラカ・マントラ(救済の真言)を囁くことで、生前いかなる大罪を犯した者でも解脱できるという。
死者がガンジスの水に浸され、火葬の薪の上に載せられると、喪主が火を付ける。
遺骨は火葬場の仕事をするカーストの人たちによってガンジス河に流される。
ちなみに、子供と出家遊行者は奈毘に付されず、石の重しをつけて河の深みに沈められる。
子供はまだ十分に人生を経験していないから、また出家遊行者はすでに人生を超越しているからだといわれる。
ヒンドウー教徒は墓を持たないが、命日などには祖霊供養を欠かさない。また、遺族が遠方から遺骨を拝参してガンジスに流し、
バラモンに供養の儀式をしてもらつている光景も眼にすることができる。
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解)まあ、私も自分の骨をガンジスに流してもらう遺言でも書いておこうか?
面白いじゃないか、自分も聖なる川に流されると思えば! 変な輪廻に巻き込まれるか? いや、大丈夫である。
それにしても、火葬場の街とは、凄い世界である。この街と、ガンジス川の火葬場と日の出は、実際に見てみないと、
その神聖さと、そこに漂っている死の匂いはわからない。とにかく、ここは一度見ておいた方がよいところである。

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