2007年09月10日
べナレスー7

3、 多くの化身を持つヴィシュヌ神
インドには石造りの壮大な寺院から路傍の祠にいたるまで、様々な神様が祀られている。
それらの中で現在最も信仰を集めているのが、ヴィシュヌ神シヴァ神である。
ヴイシュヌ神は地界から天界まで三歩で踏破したという神話があるように、
太陽光線が神格化されたものと考えられるが、のちには創造神の役割も担うようになった。
四本の手に、チャクラと呼ばれる円盤状の武器、法螺貝、棍棒、蓮華を持ち、
霊鳥ガルダに乗って活躍するが、世界還滅から次の創造までのあいだは大海の蛇王の上に横臥して眠るといわれる。
ヴイシユヌ神の妃ラクシュミーは富と幸運の女神で、吉祥天として仏教とともに日本にも渡来した。
ヴイシュヌ神は民間の信仰と結びつき、それらの神々を自分の化身(権化)として融合し勢力を拡大していつた。
代表的な化身としては幼子や若者の姿で愛されているクリシュナ神や、叙事詩ラーマーヤナ』の主人公ラーマなど
十の神が数えられ、世界が危機に陥ったときに救済のために出現するといわれる。
われわれには奇異に映るかもしれないが、仏教の開祖ブッダもそのなかに含まれている。
一般の人々にとつて、仏教はヒンドゥー教の一派と考えられているのである。
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解)ユダヤ教キリスト教の関係と、ヒンドゥー教の関係が似ている。
 何でもそうだが、必ずその母体があるものである。特に、厳格なものから、弱者の立場に立ったものが・・・
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4、破壊と再生をもたらすシヴァ紳
ヴイシュヌ神と勢力を二分するシヴァ神は、もともと暴風の神であったものが民間信仰と融合し、
次第に破壊と再生を司どる最高神となつた。
その出自を反映して、荒ぶる性格を持ち、蓬髪で首に蛇を巻き付け、三叉の戟を携えた姿で表される。
シヴァ神の寺院に行くと、たいていは直立した男根の形をした石が祀られている。
これは「リンガ」といって、もとの意昧は「象徴」であるが、たんに豊饒・多産の象徴にとどまらず、
シヴァ神の権威そのもの、宇宙の真理の啓示にほかならない。 シヴァ神の妃には、献身的な愛を捧げるサテイーや
パールヴァティーという優しい女神や、血を好み武器を持って魔族と闘うドゥルガーや力ーリーといった
戦闘的な女神たちがいるが、究極的には同一であるとされる。これは先住民の地母神をシヴァの妃という形で取り込みながら、
シヴァ神崇拝が拡大していったという、複雑な歴史的事情を物語っている。
シヴァ神には二人の息子がいて、招福除障と学問を司る神ガネーシャ歓喜天
あるいは聖天として、また戦闘の神スカンダは韋駄天として、日本に渡来している。
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生々しい、何かインド的な神である。破壊と再生を司る最高の神だが、
宇宙の真理というより、人間の奥に潜む欲望、暴力といった臭いがする。

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