*[哲学]

  島田雅彦・対談集「無敵の一般教養」の松井孝典の対談で
  松井孝典が、考える方法として「要素還元論」と「二元論」を解りやすく手短にまとめていた。
  ーまずは、その箇所である。
 〜〜
【物事を深く理解しようと思うと、考える枠組みをよりシャープに細かくとっていかないと、
解くべき問題を設定することすらできない。 それがわれわれの脳の仕組みと合っているのかもしれない。
だから、時代とともに、より細かく対象を分け、より細かい領域で物事を明らかにしてきた。 それが要素還元論です。
しかも自然と人間とを分ける。考える主体と認識される客体を、とりあえず分けなければ思考はスタートしないわけで、
それが二元論でしょう。 現代を生きる人は、これまでの教育でそれを徹底的にたたきこまれているわけ。
「わかる」とは何なのかについて、それ以外の「わかる」ということは考えられないわけです。
ぼくは今、地球学とかアストロバイオロジーとかで、二元論と要素還元主義の枠を超えて、
昔のようにとりあえず現代の知の体系のすべてを認識しましょうということを主張しています。
何か新しい方法論が出てこないと、「生命の起源と進化」という問題は解けないと思うからです。
そういう過激な認識を持っているわけです。 とりあえず、二元論と要素還元主義に対抗する方法論として、
「システムと歴史」という見方で、もう一回すべてを見直そうとしています。
宇宙も地球も生命も人類も文明も全部一緒に論じようとしています。 
数学は言葉です。経験しない現象を語れることばが数学なんです。
宇宙の始まりは過去のことで我々は経験しえない。 
そういう現象を語るためには数学以外に語ることばがない。
いわゆる言語はすべて経験によって意味が裏付けられている。
そういう種類の以外のことばを持たない限り語れないでしょう。】
 〜〜以上である。

なるほど、こういう思考の捉え方があるのには驚いた。
帰納法演繹法」発想法として「KJ法」「テーゼ、アンチ・テーゼ、ジンテーゼ」とか、
情報収集の中での発火(発想)方式などあるが、「要素還元法」「二元法」も、上記の中でしていたことである。
この年齢になって初めて初歩的な知識を得ることの、何か恥ずかしいような、無知の再確認をさせられているようである。
それに加えて、松井教授は、「システムと歴史」という考え方を提示している。これは宇宙、地球システム、人間の歴史、
個人の歴史、全てに当てはめて考えることができる。要素還元法、二元法の限界を、一度「システムと歴史」という
視座に入れて考えると、限界を超えることができるという。「システムと歴史」の意味が理解できなかったが、
人間の歴史、個人の歴史に置き換えて考えてみたら理解できた。「システムと、これまでの始まりとプロセス」ということ。
「数学は言葉です。経験しない現象を語れることばが数学なんです。宇宙の始まりは過去のことで我々は経験しえない。
そういう現象を語るためには数学以外に語ることばがない。いわゆる言語はすべて経験によって意味が裏付けられている。
そういう種類の以外のことばを持たない限り語れないでしょう」など、非常に新鮮に驚かされたことばである。
  
  そうこう考えると、中学校時代の教科書の内容は、全ての基礎であった。
  昨日、図書館で「やりなおし教養講座」-村上陽一郎著 を借りてきた。 
  学校を卒業して、平均2〜3時間は、本を読んできたが、これで、この様だ。
  カントがいうに、「犬は犬の理解しか出来ないように、人間も人間レベルしか理解できない」 というと、
  私は私レベルしか、理解できない!ということ。 悲しいかな・・・やはり、よい大学に入り、よい会社、機関に入り、
  レベルの高い人に接し続けないと、駄目?ということか。 本が呼びかけてきても、気づかないのも、そういうこと?
                                                今更か〜
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