消費社会から格差社会へ −3

                      ー読書日記ー
ー若い人は一人旅は流行らないー

   この本によると、10年ぐらい前までは、「深夜特急」とかいう本に啓発されて若者がパックを背負って
   世界を旅するのが流行っていた。 が、今では全くといってよいほど見られないという。
   いつの間にか時代は変化していたのである。
    まずは、その部分を抜粋してみる。
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以前、ある研究会で旅行関係の仕事をしたんです。聞くところによると最近の若い子が海外旅行に行かなくなったと。
まあお金もないし、頻繁に海外旅行しなくなったと。でもお金の問題だけじゃなくて、どうもコミュニケーションカが
非常に低くなっているんじゃないか、と。 七〇年代初期に 「団体旅行なんてカッコ悪いぜ、デイパック背負って
行く旅がいいじゃん」っていう、「地球の歩き直的なムーブメントがあったけれど、今は「若者だから一人で旅をしろ」
って言っても、もう行かないんです。早大の探検部は今や存亡の危機だそうです。
しかも部長は東京理科大の女子学生らしい。 なぜかというと親が止めちゃう。「今度こんな所に行くんだけど」って
息子が言うと、親が「危ないからよせ」って言う。 それで探検が成り立たなくなったそうです。
日本以外にもっとおもしろい世界があるぞ、なんていう期待も持ってない。
じゃあ、どうやったら海外旅行をしてもらえるか、という研究をして、一つ出た結論が「新・団体旅行」なんです。
一昔前の「農協パック」みたいな団体旅行でいいんじゃないかと。なにしろ郊外の「下流」の若者は「新しい農民」だから。
ただ、まったくの団体旅行ではだめだから「みんなと一緒に行く自分らしい旅」みたいなコンセプトがいいんじゃないかと。
つまり「島宇宙」を用意してあげるわけね。
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  若い人の大半が、金もない、覇気もない、夢もない、ということ。 時代の背景に直接反映している
  インターネットや衛星TVをみれば、世界の映像が直ぐに飛び込んでくる。
  しかし実際に行って感じるのとでは雲泥の差があるのが、わからないのである。
  さらに傾向として結婚からも逃避し出している、ともいう。
  若者はノイズに弱いというが、結婚ほど連れ合いや、子供のノイズは煩いものはない。
  中国は「一人っ子政策」のプラス面がある。 両親が、一人っ子に集中して教育をするからである。
  特に主流を占める貧困層こそ、その脱出手段として、将来を子供にかける。だから底辺の底上げになるのである。
  その若者が、そろそろ社会の中核に出てき始めた。 それに日本の若者が太刀打ち出来るわけがない。
  衰退の最も深刻な現象が、若者たちの無力感である。 ある意味、政治の怠慢の犠牲者である。
                              ーつづく
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