2006年03月29日(水)
1821, あちら側の世界 −3  ゚+.(ノ*・ω・)ノ*.オハヨ              
ウェブ進化論ー3
      −ロングテールとはー
 
この本で印象的だったのが、ロングテールというキーワードである。
ロングテールが最大限生かせるようになったのは、情報化のなせる業である。
    最近買う本の半分近くが、アマゾンからの中古本である。
    一度消費者が買って読み終わったというより、出版社か中間流通業者が個人名を
    使って販売しているのではとしか思えない。
ただ同然で買い入れて、それをアマゾンに貼り付けておいて、直接送ってきているのでは?
また、一度買った本ー中古本はロングテールの部類ともいえる。
しかし、それもロングテールの大きさと長さを知らないのだろうか?
    世の中、音をたてて変化している!
   ーー

ーネット世界で利益を稼ぐ「ロングテール現象」とは何か
 ロングテールLong Tail:長い尾)とは?
この言葉は最近少しずつ米国で使われるようになった。

    ロングテールとは何なのか、本という商品を例にとって考えてみる。
    一年間にどんな本がどれだけ売れたのかを示す棒グラフを作ってみる。
    縦軸に売れた部数を取り、
    横軸には左から第一位『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』、
    第二位『世界の中心で、愛をさけぶ』、第三位『バカの壁』……と
    売れた順に一冊ごとに棒グラフを連ねていく。
    横軸には「一冊あたり五ミリ」、
    縦軸には「千部あたり五ミリ」でグラフを書くと、
    本の売れ方の全体像はどんな形状になるか?
 
縦軸は「千部で五ミリ」だから「二百万部で十メートル」になる。
第一位の販売部数はそれを軽く突破する。
しかし第十位になると販売部数は一桁少なくなるから、
グラフ左端の形状は十メートル以上の高さから急降下したような形になる。

このグラフをどんどん右に向かって書いていくとどうなるか。
あるところからは、売れる部数の少ない本が延々と並ぶことになる。
日本での年間出版点数は約七万点なので、三年分並べると二十一万点。
「一冊五ミリ」で棒グラフを書くと「二十万冊で一キロメートル」になる。
第二十万位の本は、売れていてもせいぜい一冊であろう。
一冊の棒グラフの高さは「千部で五ミリ」だから五ミクロン。

    よって横一キロにわたって伸びたグラフ全体は、高さ十メートルから急降下して、
    あるところから地面すれすれを這う。
    そして一キロ先では五ミクロンの高さになるまでなだらかに下っていく形状になる。
    体高十メートル以上で一キロメートル以上のロングテールを持った恐竜。
    それを横から見たシルエットのようになる。
 
本を取り巻く関係者といえば、インターネットが登場するまでは、
出版社と流通業者と書店であった。
皆、店舗や倉庫や在庫といった大きな固定費を抱えるから、
ある程度以上売れる本(グラフの左側)で収益を稼ぎ、
ロングテール(延々と続くグラフの右側)の損失をそれで補うという
事業モデルで長いことやってきた。
 
しかしインターネット書店はこの構造を根本から変えてしまったのである。
米国のアマゾン・コムの本の売上げの半分以上が、販売部数ランキングの四万位から
二百三十万位までのロングテールから上がっているようなのである
(外部の研究者による推定)。

    高さ一ミリ以下で十キロ近く続くグラフ上のロングテール積分すると、
    まさに「塵も積もれば山」、売れる本の販売量を凌駕してしまうのだ。
    リアル書店では在庫を持てない「売れない本」でも、インターネット上に
    リスティングする追加コストはほぼゼロだから、
    アマゾンは二百三十万点もの書籍を取り扱うことができる。
    しかも「売れない本」には価格競争がないから利幅も大きい
    (米国では新刊書にも値引き競争がある)と良い事ずくめになる。
     これがロングテール現象である。
 
このロングテール現象は、特にデジタルコンテンツのネット流通において顕著に現れる。
三月二日、アップルの「iチューンズ・ミュージックストア(iTMS)」での
音楽ダウンロード総数が三億曲を超えたが、アップル関係者によると、
取り扱っている百万曲以上の楽曲の中で一回もダウンロードされなかった曲はないらしい。
ここでもロングテールは長く連なっており、大ヒット依存のリアル世界とは
全く異なる経済原則で事業モデルが成立しはじめている。
 
    ではロングテールの反対概念とは何か。
    それは大組織を支配する「80:20」の法則である。
    「80%の売上げは20%の商品から」
    「80%の利益は20%の大口優良顧客から」
    「80%の成果は20%の優秀な社員から」などなど、
    大組織における「80:20」の法則は枚挙にいとまがない。

この法則は、品質・人事・営業と大組織のいたるところで通用するあまり、
「あらゆる物事において、重要なのは少数であり、大多数は取るに足らぬもの」
という思想に結実し、
「取るに足らぬ80%は無視し、重要な20%にリソースを集中せよ、
それこそが経営の効率を高めるのだ」という考え方が大企業経営の常識となった。

    この「取るに足らぬ80%」とは、まさにロングテールのことである。
    「ロングテールに関わりあっても固定費を賄えるだけの売上げを生まない」
    というこれまでの常識は、リアルな大組織においては今も正しい。

ネット世界とリアル世界のコスト構造の違いが、ロングテールに関する
正反対の常識を生み出しているのである。
アマゾン、グーグル、ヤフー、eベイといった米ネット列強は、
リアル世界が何百年も無視してきたロングテールという未開のフロンティアに
狙いを定めた冒険者たちなのである。                       
     ーー                     
    これが「あちら側の世界」の、典型的な例である。
    ブログの世界でも同じである。
    決して「糸井新聞」の必要性はない。
    それぞれの趣味の連中が集まればよい。
    それを可能にするのが「チープ」の成果である。 
次回はーオープンソース現象についてー                
               .@(-ェ-)@ノ~~~バイ〜
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