2005年03月16日(水)  1443, 孤独について−4

「孤独であるためのレッスン」
NHKブックスー諸富 祥彦 (著)を図書館で借りてきた読んだ。

過去に4回、随想日記に「孤独について」書いてきた。
この本はより掘り下げた`孤独であるためのレッスン'が主テーマである。
今流の言葉でいうと、「孤独力のつけ方」が大筋である。

「孤独力」には、
・消極的な意味では、自分が他人の目に左右されずに生きる能力。
・積極的な意味の「孤独力」は、自分自身と深く対話することの出来る能力。
 深さの次元が、ここでは問題になる。
 この「孤独力」が、楽しく生きるための大きな要素になる。

孤独はすばらしい。
孤独こそが人が人として生きる王道だと、孤独を賞賛し、そして孤独を全うするには、
「自分を超えた地点から自分をながめるもうひとつの目を意識して
その目を通じて自分をながめることができること」という。
{年二回の海外旅行は、その目を養うために行っている}といってもよい。

また、「人は孤独なときだけ、精神の深みへ降りていける。
そして、本来の自己を探し当てることができる」と。
さらに、「本来の自己を探し当てた人だけが、真に他者との出会いができる」と。
(逆に言うと、真の自己を見つけ出していない人は真の出会いができない、
ということ)子狐を嫌うのは真の自己の何かも知らない輩だからだ。

だから、「寂しいからといって、ただ単に人と群れていたら、真の自分は見つけられない。
無理に人に合わせていたら、自分を見失ってしまう。群れない自由な孤独人たれ」と。
「ひとりだと感じているあなた。 人の中にはいりこめないと思っているあなた。
わずらわしい人間関係から、逃れたいけど、できないと思っているあなた。
孤独になることを恐れないで。 
ひとりになって、本当に自分のやりたいことは何か、見つけ出して。..」と。
この本が語りかけてくる。

 この中の<孤独であるための8つの条件>がよい。
1:「分かり合えない人とは、分かり合えないままでいい」と認める勇気を持て。
2:人間関係についての「歪んだ思い込み」やこだわりに気づけ。
3:自分の人生で「本当に大切な何か」を見つけよ。
4:「自分はまもなく死ぬ」という厳然たる事実を見つめよ。
5:「たった一つの人生という作品」をどう作るか、絶えず空想しながら生きよ。
6:ソーシャルスキルを身につけよ。 他人の話を聴き、他人を認めよ。
7:「この人だけは私を見捨てない。どこかで見守っていてくれている。」
  そう思える人を見つめよ。
8:自分だけは自分の味方であれ。「自分を見守る眼差し」を自分の中に育め。

人との距離感を適度に保つため、むやみやたらと人に近づかないように、
相手との距離を保つためと考えた方が良いが。

P-172の文章が孤独について、わかりやすい要約になっている。

ー私はこれまで、こう述べてきました。
孤独を恐れるな。孤独は、人生の普遍的な本質であり、人間であることの真実なのだから、
孤独であることを自ら積極的に引き受けよ。
 
 人はみな、ひとりで生きていく。 この真実を深く引き受けたものだけが、
自分自身と対話し、より深い心の知恵を聴きながら、生きていくことが出来る。
自己との対話を絶えず積み重ねることでしか手に入れることのできない精神の厚みを、
増すことができる。

 つまり、孤独な人間だけが、自分自身と対話し、自己と出会うことができる。
また、そのようにして、自分自身と出会い、自分の声を聴くことのできる孤独の
人間同士だけが、深く出会うことができる。

 お互いのつながりや共通点を確認し、他者を排除することで自分の寂しさ不安を
打ち消すような表面的なつながり、もたれあいでなく、お互いの違いを前提とし、
どうしようもない解りあえなさを認め合う中で、それでも少しでもわかり合い、
響きあうような深い心と心の交流を持つことができる。
つまり、孤独な人間同士だけが、心の深いレベルで対話をし、交わり、出会うことができる。

 孤独を癒すことができるのは、人とのつながりではない。
孤独を癒すことができる、ただ、一つの道。
それは、孤独から抜け出すことでなく、より深く、より深く、その孤独を深めていくことだ。
 
 もし、孤独を癒すことのできる人間関係がありうるとすれば、それは、
その関係の中で、お互いがより深く孤独に徹していけるような人間関係、
その関係の中で、お互いがますます深くますます深くひとりになり、
自分自身になりきることができるような人間関係しか、ありえないであろう。
 ーーー
この詩は孤独を恐れている心を励ましてくれる。

【詩】ゲシュタルトの祈り

わたしはわたしのことをやり、あなたはあなたのことをやる。
私はあなたの期待に応えるために、この世にいるわけではない。

あなたは私の期待に応えるために、この世にいるわけではない。
あなたはあなた。 わたしはわたし。

もし偶然にお互いが出会えれば、それは素晴らしいこと。
もし出会わなければ、それはそれで仕方がないこと。

フレデリック・パールズ作 (ゲシュタルト療法の創始者
 
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2003/08/04  孤独について −3
2003/07/16 孤独について −2
2002年09月01日(日) 孤独について −1
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