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閑話小題 ~霊感について ー7
我が身なればこそ、そろそろ御向かいの来る時節ともなれば、心の光の世界
の話も理解しやすい心持ちになっている。心の光の段階を区分すると、幽界・
霊界・神界・菩薩界・如来界・宇宙界というような、意識層になっているそうな。
<法華経は法の存在を教えている><天国と地獄>などが、なる程と合点する。
以下は、何ら抵抗なく、心が受け入れる物語として響いてくる。何も物語を
信じられなくて、虚空の生暖かい時空を彷徨うより、この提示された物語を
信じていた方が良い。宗教とは、そういうこと。胡散臭いのは己の心。
その芯なる魂は、明快で、新鮮である。
…響き、納得した個所を、何回かに分けて考えてみる…
≪・さて、人間の魂には三世がある。過去世、現世、そして来世が 現在、
この地上に自分があるということは、その人には必ず過去世があったのである。
人間は偶然、両親から生まれたのではない。過去世とは、私達が今生活して
いる現象界からいうと、あの世であり、かつて自分が地上で生活した前々世の
ことである。輪廻転生における前世である。私達は苦楽の人生を学習している
が、現世に生まれる前は、実在界すなわち天上で生活していた。
・この現象界に出た先祖達のなかには、地獄界に堕ちて修行をしている者も多い。
この中で、執着の強い者達、すなわち地球上に残してきたものへの執着心が、
地獄霊になったり、憑依霊として、同じような心を持っている人間のなかに
乗り込んで、現象界にも混乱した世相を造り出してしまうのである。
人間の心は、一念三千と仏教ではいっている。
心の針は、その人の思う状態によって、暗い地獄界にも、光明に満ちた天上界
にも自由に通じてしまうものである。
思うこと自体、中道を根本として考えなくてはならない、ということはこの
理由にあろう。それは表面意識の10%で、五官を通して判断するために、次元の
異なった世界を知ることはなかなかむずかしいのである。それゆえに、現象界は、
物質と生命が不二一体の世界であるといえよう。
この物質的現象界は、熱、光、電磁力、重力、エネルギー粒子の集中された
ものと、分散された空間から成り、エネルギーの塊りであるといえよう。
実在界、すなわち天上界においては、90%も表面に意識が出ているために、
他人にも、自分の思っていることが解ってしまう。
それだけに、実在界においては、修行という目的を果たすことがむずかしい。
肉体舟に乗ってしまうと、盲目同様な意識であるため、他人には心のなかを知ら
れることが少ないし、自らの心の世界で正しく判断して行動をしなくてはならない。≫
――
▼ この年齢になると、同級・同窓会で思わぬ出会いがある。40~50年も昔のことは
忘却の彼方の思わぬエピソードを聞かされることがある。刺激的人生経験をして
きたので、完全忘却のことを、今さら言われても、それは、自分の知らないこと。
佐藤愛子の『冥界からの電話』そのもの。極端な不幸系か、幸福系が多い。
~つづく
・・・・・・
7068,閑話小題 ~コロナ禍後は…‘光陰、矢の如し!
2020年07月21日(火)
* 過ぎ去る日々は、実に早い!
今年も半年が過ぎ去った。還暦過ぎてから過ぎ去る日々は、実に早い感が
日々強くなる。変化がない平坦の日々が多いことが、そう感じさせるのか。
一年が、その重なった年齢の数分の1になるため、年々、希薄になっていく。
30歳半ばまでは実に1年が長かった。知識も、実体験も極く少ないこともある。
いや先が見えなく不安定なこともある。 ほんの数年前までは 何をみても、
何をしても新鮮で、好奇心を満たしてくれた。 今も変わりはしないが、有る
のはTV,PCの向う側の出来事! そこから大自然の手つかずの動物の生態も、
人間模様も多彩な彩が見てとれる。
―
* コロナ騒ぎも、10年も経過すれば…
まあ毎日、飽きもせずコロナ禍の話題ばかりで「コロナ禍疲れ」に…
とはいえ、半年、一年で済む問題でもなさそう。交通事故も、年間、数千人、
亡くなっている。自殺も2~3万も死んでいる。それからすると、無為自然に
成るがままに…としたら、直に一億、二億人が… いや人類の半数が消え去る
大問題。そうは甘くない。
―
* 老いの悲しみ
あと変と半年もしないうちに、後期高齢者になる。さすがに自分は充分に
高齢者と自覚せざるを得なくなる。普通免許の返納も、考えるのも、ここまで
生きると、なる程!と納得。とはいえ、現代社会は郊外化で自動車無しでは、
生き辛い。先日、図書館の駐車場から道路に出ようと左右を確認したつもりが、
出した車の鼻先を高速でかすめていった。大参事、一歩手前。「これじゃあ、
免許返納を考えるべし」と… 年齢を重ねるにつれ、利口になる反面、バカに
なっていく。利口に?なるにつれて、過去の経緯の暗黒面が?透けて見えてくる。
バカになるのは仕方がないが… 老人特有の歪みが、ストレートに帰ってくる。
それが斑呆けと掛け合わされると、周囲と摩擦が起きる。夫婦呆けになると…
・・・・・・
6701,閑話小題 ~異常な状態が「通常」になるロジック =世界的異常気象
2019年07月21日(日)
* あと一週間は雨空の予報というが…
このところ続いている雨空も、梅雨時なら、こんなものと思いきや、時節外れ
の台風の接近もあって、あと一週間は雨空が続きそう。これでは、ファッション、
レジャー関係、冷房など夏物の季節モノを扱う商売は上がったりで、それは深刻。
そこで、【世界の異常気象】で検索すると、深刻な大問題を孕んでいる。
この数年来、火山活動、地震、集中豪雨などのニュースで、私たちは何時の間に
感覚が麻痺しているようだ。 ホルムズ海峡の戦争の可能性が高まる中で、大災害
が止まることなく続き、深刻な不況になる可能性が大になる。それらが近隣諸国
とのトラブルを引き起こす切っ掛けに… 日韓関係も、その潮流の一つ。
今年は前半、安定。後半は大荒れと閑念していた。その中で、、エルニーニョ
の影響は意外と少なく終わったが、異常気象による不景気と、世界各国の政権の
不安程度が思いもよらない「ブラックスワン」の到来を感じさせられる。
その危険な「9月・10月跨ぎの時節」に近づいてきた。株価大暴落、戦争、テロ、
大震災? そんな中で、これまで底支えをしてきた隠れ特需「東京オリンピック」
の特需も終わろうと…
★ 『世界の異常気象』の検索結果は
《 =この夏の異常気象は、気候が「予測不能」な段階にきたことを象徴=
◉ この夏も異常気象が止まらない。南フランスでは45℃の熱波を記録し、
スペインでは高温で山火事が発生。米中西部のミシシッピ川流域では未曽有の
大洪水が発生し、メキシコでは異常な量の雹が1m近く積もった。もはや「異常」
であることが当り前になり、新たな「普通」など見つけるべくもない。
そして過去のデータに基づく気候予測は成立しなくなっている──
一方で、南極海の氷はいかなる予測よりも急速に溶けている。米中西部の
ミシシッピ川流域では、1993年の破壊的な大洪水以来、未曽有の規模の洪水に
対処しているところだ。熱波に襲われた北カリフォルニアのボデガ湾では、数千
ものムール貝が強い熱によって死滅した。 異常なのは高温現象だけではない。
メキシコのグアダラハラでは、尋常ではない量の雹(ひょう)が降ったあとに豪雨
となり、この山あいの都市は91cmの氷に埋もれて復旧作業が行われた。―― 》
―
《 =異常な状態が「通常」になるロジック=
「去年の夏、似たような意見をいくつか目にしました。わたしはそういう異常気象
のすべて、嵐や洪水や熱波がどんなふうだったか、いまは忘れています」。
カリフォルニア大学デイヴィス校の環境科学者フランシス・ムーアはそのように
語る。ムーアは気象パターンの変化において、何が通常なのかを人々がどれほど早く
忘れてしまうかに関する論文を、今年初めに発表している。
この現象は一般に「シフティング・ベースライン・シンドローム(基準推移症候群)」
と呼ばれている。長期間にわたり徐々に生じる変化が、人間の愚かですぐに現状に
満足してしまう脳に認識されると生じる現象だ。
「毎年連続して奇妙な夏を経験していると、この症候群に陥ります」と、ムーアは
言う。「異常なのは個々の出来事だとしても、世界中で起きている一連の出来事が
異常であり、その状態が通常になる。そんなふうにわたしたちは考えるように
なってしまうのです」 とはいえ、かつての基準が異常になり、その異常な状態が
現在の通常の基準に変わるという基準推移は、変化への適応を推進する際には実の
ところ好材料となる。変化が生じた世界で人間が安全に生存し続けられるように
するには、基準の推移が役に立つのだ。》
――
▼ 何気なく検索した結果が、この深刻な異常気象の現実。「異常な状態」が
「通常な状態」になってしまった現実。 情報化が成せるワザである。京都の
アニメ会社が精神疾患のアニメ御宅に襲われて、33名の死者が出た。これも、
一月もしない内に、アナザーワンの事件として記憶から遠ざかっていく。
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6338,閑話小題 ~映画鑑賞 『ピース・ニッポン』
2018年07月21日(土)
* 全国200カ所以上で撮影した映像、『ピース・ニッポン』
昨日のシネマは『ピース・ニッポン』全国47都道府県、200カ所以上で撮影
した映像を見てきた。これが思いの外、刺激的、かつ面白い。ドローンの撮影
効果をフルに持たせているからだろうが… 音楽が、若者、外国人を意識して
いるためか、批判が多いが、私は良かったと思っている。 30年間、私にとって
一点豪華主義としての秘・異郷ツアー。その全てが魂の財産として残っているが、
日本にも素晴らしい自然と、歴史が存在していることを教えてくれている。
邦画としては久々の90点!
(解説)
【 「日本人がまだ知らない“本当の日本の美しさ”」をテーマに、約8年間の
製作期間を費やし、全国47都道府県、200カ所以上で撮影した映像を、4K解像度
で映画化。 日本を映像や写真や音声で後世に遺す「ピース・ニッポン・
プロジェクト」の一環として、日本人特有の精神や自然感にフォーカスをあてた
「日本の精神」、豊かな気候風土がもたらす変化をめぐる「日本の四季」、簡単
には出会うことができない奇跡の瞬間を映像で紡いでいく「一期一会の旅」の3部
構成で、日本全国の絶景と日本人の精神の神秘に迫っていく。
旅の案内人として小泉今日子、東出昌大がナレーションを担当。
監督は今井美樹、布袋寅泰、「GLAY」ら数多くのミュージッククリップを手がけ、
映画「TAJOMARU」「SFサムライ・フィクション」などを手がけた映像作家の
中野裕之。】
~ネット感想より~
《 何て美しい日本なんでしょう~😊
数年間に一度だけ、一期一会"でしか出会えない神々が宿る美しい瞬間!
日本に生まれて本当に良かった! こんなに美しいところがいっぱいあって~
まだ行ってないところ多数! 海外も良いけど素敵な日本にばんざ~い。
約8年間の製作期間を費やし、全国47都道府県、200カ所以上で撮影した映像を、
4K解像度で映画化! 空中から迫った動きのある映像は見応えたっぷり!
特にお城と桜 そして流れる水や滝 湖!
雲海の天空の城 鳥取砂丘、華厳ノ滝にかかる虹
美しい風景を心で感じる^^
日々の心 行いが問われるような~自然の美しさを素直に感じる心でありたい
日本人特有の精神やルーツも紐解き 壮大なスケールの映像を堪能するまで
見せて下さった映像作家の中野裕之監督。感謝です! 》
――
《 映像作家中野裕之監督が8年がかりで撮り揃えた北から南へと巡る四季折々
な日本の絶景をドキュメンタリー。 打ち上げられた花火にドローンが横切る
近年らしい視点の映像や自然物に神を見出してきた日本らしい侘び寂を感じる
自然や花々、山岳、そして仏閣などジパング日本を堪能出来る作品ではある。
ただ、インスタなど写真系SNSを通して突き刺さる視点で切り取られた日本を
見慣れた昨今、本作には正直もう少し刺さる映像を期待していたかな。》
―
▼ 自分の代わりに、日本の自然を楽しみ
ながら撮影した内容と思える内容。世界は広く、深いが、日本も捨てたものでは
ないと、強く教えられた内容。小笠原から見た宇宙のパノラマは特に必見。
期待しないで、気楽に見る方が、満足感が強くなる映像の山である。
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5606,恋愛心理学 ~⑦ なぜ幼な顔に惹かれる?
2016年07月21日(木)
『美人の正体』~越智啓太著
* なぜ幼な顔が重要なのか
美人顔には、小型犬の幼顔系と、シェパードのような大型犬の丹精顔がある。
幼な顔の無垢性を求める男の心理に何故か納得する。今では、耳にしないが、
「カマトト」という言葉があった。 アニメの美少女は額が広く、目は異常に
大きく、口と顎は小さい。胸は異常に大きく、腰は小さく、脚は長い。これが
男心を擽るようだ。幼顔の女性は、このモデルを目指し変装、いや化粧をする。
何とことはない、男は、その変装にコロリと騙される。 ~その辺りから~
≪ 他の男の子を自分の子供として育てる危険回避の方法の一つは、
なるべく若い個体を配偶者として選択することです。相手の年齢が若ければ
若いほど、性的な経験が少なく、それゆえ自分が配偶者として相手を選択した
場合に、すでに相手が妊娠している可能性は低くなります。とくに相手がまだ
性的な経験がまったくない場合、妊娠している可能性はないので、男性として
自分以外の子どもを育ててしまう可能性はより低くなります。このようなこと
から、若い性経験のない女性を配偶者として選好するという行動が男性側には
進化してきた可能性があります。では、若い個体は何を手がかりに探し出せば
よいのでしょうか。ここで手がかりとされるのが顔なのです。我々が他人の
年齢を判断するときにもつとも重要な手がかりになるのは顔です。
ある程度の年齢までは顔の構造が手がかりになりますし、また一定の年齢
以上になると肌の質感、しわや白髪などによって年齢を判断します。
これらのことから、男性は、顔が若く見える個体、すなわち幼型化特徴を
持った顔を魅力的だと思うようになったのだと考えられます。
確かに、女性は化粧にずいぶん時間をかけますが、そこで行われるのは
肌の質感を若くし(赤ちゃんのような肌にする)、しわを隠すことや、白髪を
染めることです。これは、まさに老化を隠して自分を若く見せるための方法で
あり、これによって女性を魅力的に変身できるわけです。
平均化に加えて目が大きく、顔の下半分が小さいという幼型化という条件が、
特に女性の外見的魅力を向上させるためには重要である。そして、なぜ重要に
なってくるかといえば、それは女性を配偶者として選択する男性が確実に
自分の遺伝子を残すために、女性が若いことが重要な意味を持っているから
だという可能性が示されました。≫
▼ 「清潔感7割、色気3割」が、理想というが、清潔感はリスクが低いと
いう潜在意識のなせる業。メイドカフェの魅力も、近いものがある?
それより、内的魅力を磨けというが、男など、そんなことより、短期的には、
まず美的外形に惹かれる。それにしても、女性の異性に対する視線の反応は
異様なぐらい強い。だから、何があっても、まずは褒めること。出来ないなら、
心の底で、「光輝いているね!」と思ってやること。
・・・・・・
4876,「事業人生を決心して45年」の語り直し ー42
2014年07月21日(月)
* 31年の新潟~長岡間の通勤
老いた母親をおいたまま新潟に引越すわけにもいかず、31年間も新潟~長岡
を通勤になった。しかし、高速の乗物空間の往復一時間は読書の最適環境。
私の性格からみて地方の閉鎖性に同化されない為に、職住分離は必要である。
新幹線車内は一度、県外に出たような感覚になる。だから30年も続いた。
それと、機内や高速鉄道の車内は「ぼんやり時間」としてベスト空間でもある。
長岡住民の7~8割が地元出身者だが、新潟は流入組7~8割。僅か30分で
世界がまるで違う。それも慣れだが流動が少ないのは良くない。それは、この
三年間で、さらに実感している。排他的で、プライドが高く、烏合で、常に人の
目を伺う比較世界の傾向が強い。それも、外部からみれば越後・新潟の差異範囲。
ところで、30年の新幹線交通費の総額は、マンションが一つ買えるほど。
全線開通直後、長距離通勤のための税制が変わり、経費で落すことが可能になった。
何処も所属しないで済んだ代金とみればよい。酩酊しての乗り過ごしは8回。
そのうち3回は湯沢などに宿泊、スナックへ。今から考えると、冷汗もの。
そうこう振り返ると、やはり70歳前半が寿命? 今さら生き急ぐことも、
死に急ぐこともない。今や職住分離の職が無くなり、自宅中心の生活。
新幹線の代りが「ハリウッド映画」と、ポタリング。これで一度、生活圏から
出たような錯覚が、ストレスを最小にしてくれる。
* スラスラと、思ったことを文章化出来る?
知人に「思ったままを毎日、書けるのが羨ましい!」と言われたことがある。
読む方は、2~3分だが、書き上げる方は、この程度の拙文でも、テーマのネタ
探しを含めたら2~3時間は軽く掛かっている。これでである。しかし、書き
上げた達成感と、プレッシャーが丁度良い刺激になっている。その後、読返し、
書いている自分は何者?と、ドキッとすることもある。時間が過ぎると、書いた
時点の自分は、別人のような人。 吐いてしまった、書いてしまった言葉は、
二度と戻らない! 言葉は恐ろしいし、それを文章化して責任を持って公表する
のは、更に恐ろしい。そのままの自分の本音が、そのまま出てしまうからである。
そのため、早朝、何度も書き直す。それが考える訓練と、思考そのものになる。
「日々、是、口実」が、分かっていても?自嘲しながら続けている得体の
知れない自分は「何者だろう?」
・・・・・・
5971,閑話小題 ~ヨガの話 -3
2017年07月21日(金)
☆ ヨガを最初に持込んだ天風
中村天風著『成功の実現』を30数年前に読んで多くの人にも勧めてきた。
天風は初めて日本へヨガを取入れた人で、「積極一貫」の信念が、彼の全てを
現している。この教えを知り、信念の一つに取入れてから人生が大きく変わって
いったようだ。 ~そのの概要といえば~
≪ 結核を治すため世界を飛び回り、「 世界一の大学者ですら助からないと
言うんだからもう駄目だ 」と、失望のどん底で「 せめて日本で死のう 」と
マルセイユの港を後にします が、偶然にエジプトで停泊中、船に同乗していた
ヨガの大聖人カリアッパ師にめぐり会う。
「おまえはまだ死ぬ運命にない。助かる方法がある。 私について来なさい。」
その言葉に「サーテンリー。(かしこまりました。)」と一言答えて、行く
先も知らないのに天風はカリアッパ師一行について行く。このカリアッパ師は、
実は「カルマッパ・カキャブ・ドルジェ」(1871~1922)で、ラマ教カルマ・
カギュ派の第十五世管長でありヨーガの大家だった。
吐血ばかりでやせ細り、死へ向かっていた中村天風はインドと東ネパールの
国境に位置するカンチェンジュンガの山麓のコーグ村で厳しい修行に入ります。
滝の前で瞑想したり、師に出された課題をひたすら考えたり……。
それは、生きるために行なう背水の陣のごとき修行。ヨーガは、悟りや奥義を
師から弟子に口で教える事はほとんどありません。 課題に関しての答えは、
自分で見つけ出さなければいけないのです。初めは、身体の調子にばかり
とらわれていた天風。
師に「元気か?」と問われ、「どうも、調子がすぐれません。」と返す。
「私は、お前の体の状態を問うているのではない。」とカリアッパ師。
瞑想と師とのやりとりの中で天風は、身体ばかりを意識するのではなく、
「心の持ちよう」で生きていると、心身が変わってくる事を体得する。
やがて、インドの山奥で無の境地を悟った中村天風。それを悟ると、身体はみる
みる良くなっていった。≫
―
▼ それまでも、様ざまな精神論の本を読み、日常生活に取入れてきたが、
これほど生々しい体験を背景に説いた論に驚いてしまった。
天風哲学の基本は“笑顔”。悲しい時、つらい時、そんなときは無理にでも笑顔
を、作ってみる。そうすれば自然と楽しくなってくるというのが、天風哲学の
根本にあります。おかしくもないときに、「アハハ」って笑うと、おかしくなる。
【 2005/06/30
1549, 宇野千代
宇野千代が代表作「おはん」を書き終えた後に、一行も書けなくなってしまった。
そこへ中村天風が
「今度ね、自分の頭の中に舞台をこしらえて、その中でいろいろ、あの女と
この男とひっつけよう、この男とこの男とこうしようというふうに躍らせながら
そいつを書いていったらいいだろう」
「出来ないと思うものはできない。出来ると信念することは、
どんなことでも出来る」と言った。
「いい事聞いた!」宇野千代は、それいらいスランプを脱し、書く文章も変った
という逸話がある。
この天風の言葉を、スットンと脳に入れてしまう彼女が凄い。 彼女は中村天風
の弟子であり、その教えの実践者である。天風の言葉が、彼女の中で血肉になって
明るく具体的に噛み砕いているところがよい。】
6年前に改めて読んでおくべきだったが、机後ろの書棚にあったのに、手に取ら
なかったのは何故だろうか。平静を装っていただけで、動転していたのだろう。