読書日記 ~『人間はなぜ<神>を生みだしたのか?』 ~1

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           【『人間はなぜ<神>を生みだしたのか?』】

 神の歴史は人間の文化を象徴したものと解釈した物語りである。
生命の存在を考えると、自然崇拝の呪術師の書いた壁画が思い当る。
獣と人間を結合させた架空の動物! 自然崇拝のアニミズムである。
 10歳の頃、小さな玩具の仏像が手元にあった。子供心に、祈れば叶うか
どうか? 窓の外を見れば雨が降っていたので、仏像を握りしめて…
≪雨よ、晴れよ!≫、と念じるとピタっと止み、降れと念じると、再び
≪雨よ降れ!≫と念じると、再び降り始めた。数日、遊び心地に繰返し、
その話を友人に話すと、≪そんな訳がない!やって見せろ!≫と言うので、
実演をすると、面白いように雨が降ったり止んだりした。≪それを俺に
くれ!という≫ので断った記憶が生々しく残っている。その後の記憶は、
そこで切れている。あれは、決して偶然ではなくて、純真な子供心なるが
故に、効き目があったのだろう。
 ある姉が結婚して新築の新居に遊びに行った時に、真面目な顔をして、
『チョッと聞いてよね。子供の頃より、今の、この景色を夢見ていたの!
新居に、庭があって、花が咲いていて、子供は、未だだけど、男の児と、
女の児の二人。そのままが実現しているの! 兎に角、念じ続けなさい!』
 概ね人生を振返ると、姉の言葉どおり<念じればこそ> …であった!

  * 自然崇拝から人格神の誕生へ   ~Amazonの内容紹介より
≪ 4万年前、人類は洞窟の奥に祭壇と壁画を残した。
 サピエンスと〈神〉の歴史は、そこからはじまる。
 「宗教を知れば世界が見える。宗教を知る一つの方法になる
この書は、知的興奮に満ちています」 池上彰(解説より)
 ―
人類と〈神〉との出会いから数万年。
われわれの知る〈神〉はいかにして生まれたのか。
カリスマ宗教学者が、認知科学、考古学、歴史学の最新知見を総動員して、
サピエンスと〈神〉の歴史をあざやかに紐解いてみせる。

 太古のサピエンスが洞窟の奥深くに残した壁画。それが宗教の始まりだった。
そこには描かれているのは獣と人間を結合させた架空の動物。エジプトの
神々も動物の頭部を持つなど多様な姿を持つ抽象的な存在だった。
それはなぜ今あるような〈神〉になったのか。

 ネアンデルタールの祭壇、初期サピエンスの壁画、メソポタミアの文字の発明。
エジプトとギリシャの神々を経て、ユダヤイスラム教、そしてキリスト教へ―。
〈神〉の姿はサピエンスの歴史とともに変化する、人類の政治や社会の写し絵
でもあった!
全米に衝撃をもたらし、日本でも話題となった前作『イエス・キリストは実在
したのか?』で、「人間としてのイエス」の実像を鮮やかに描き出したレザー・
アスランが、膨大な文献資料の分析から、ついにキリスト教以前のユダヤ教
イスラム教までも取り込み〈神〉のサピエンス史を解明する。≫
 ――
▼ 人は、まず岩場で絵画を書き、それが言葉に、そして、それが自然の働きを
 神として奉っていった。神を信じることは、他の生命との差異の一つである。
そうこう考えると、信心も大事ということになる。 妄信ではなくて、正しく
祈る習慣は、心の芯として欠くべからないことになる。そうか、この年齢で、
やっと、そのことに気づかされるとは! 何だろう、私は! 
 つれづれに、これまでの失敗は、信心が足りなかったことに由来していた!
                            ~つづく
・・・・・・
6808,読書日記 ~具体と抽象 -1
2019年11月04日(月)
              <『具体と抽象』 ―細谷功・著>
    * 知性のしくみ
 毎日、1テーマの随想日記、当初の3年間は大変だったが、1000テーマを超えた
辺りから面白みが出てきた。蓄積した内容が、次のテーマを呼び起すような感覚。
後あと残るのは、文章と、要したエネルギー、写真と映像、それぞれの時節に
手に入れた物質。 なる程と自己納得した知識はちゃんと残るもの。それを
効率よくしたのがブログ。それが年々、蓄積していくと、脳内が少しずつ透けて
くるような感覚になる。書き残すことの秘儀である。 具体的な事象を、言語化
物語化する過程で様々な気づきが、生じる。公表するからには、曖昧さを最小に
しなければならない。 曖昧さは、限界そのものを自ら認めることになる。 
自らを省みると、若い時分ほど具体的思考に縛られていた。しかし年々、経験と
知識が増えるにつれ抽象的になっていく。知性や経験が少ないい人には、己より
高い人の抽象的言語を理解しにくい。 心が純粋であればある程、濁った心を
見通せるのと同じ。ブログを続けるほどに、心が純粋になっている実感がする。 
小さな世界に留まるのは、プラス、マイナスの両面がある。プラスは、純粋性を
保てること。 マイナスは逆に、小さく凝り固まり、淀んでしまうこと。
 ブログを一つとっても、具体的経験を写真、言語に要約したり、逆に時空を
超えた人物が言わんとすることを自らが納得するように具体的に噛み砕き、
近未来の自分と、読み手が理解しやすいように客観視する。その蓄積が自らの
教養となる。 体験という具体的獲物を、抽象化することを通して経験として
据え置く行為こそ人間が人間たる由縁である。それは脳内の外部化につながる。
                            ~つづく
  ~Amazon 内容紹介~
永遠にかみ合わない議論、罵(ののし)り合う人と人。
その根底にあるのは「具体=わかりやすさ」の弊害と、「抽象=知性」の危機。
 動物にはない人間の知性を支える頭脳的活動を「具体」と「抽象」という
視点から読み解きます。
 【目次】
 序章 抽象化なくして生きられない
第1章 数と言葉 : 人間の頭はどこがすごいのか
第2章 デフォルメ : すぐれた物まねや似顔絵とは
第3章 精神世界と物理世界 : 言葉には二つずつ意味がある
第4章 法則とパターン認識 : 一を聞いて十を知る
第5章 関係性と構造 : 図解の目的は何か
第6章 往復運動 : たとえ話の成否は何で決まるか
第7章 相対的 : 「おにぎり」は具体か抽象か
第8章 本質 : 議論がかみ合わないのはなぜか
第9章 自由度 : 「原作」を読むか「映画」で見るか
第10章 価値観 : 「上流」と「下流」は世界が違う
第11章 量と質 : 「分厚い資料」か「一枚の絵」か
第12章 二者択一と二項対立: そういうことを言ってるんじゃない?
第13章 ベクトル : 哲学、理念、コンセプトの役割とは
第14章 アナロジー : 「パクリ」と「アイデア」の違い
第15章 階層: かいつまんで話せるのはなぜか
第16章 バイアス : 「本末転倒」が起こるメカニズム
第17章 理想と現実 : 実行に必要なのは何か
第18章 マジックミラー : 「下」からは「上」は見えない
第19章 一方通行 : 一度手にしたら放せない
第20章 共通と相違 : 抽象化を妨げるものは何か
終章  抽象化だけでは生きにくい

・・・・・・
6444,閑話小題 ~生きる意味とは? -2
2018年11月04日(日)
     * 成田への機内で気づいたこと
 52回の旅ゲームのツアーを重ねるうち、それぞれが、文化、文明、大自然
要素の全てが入っていることに気づくことになった。
  「ケニアタンザニア」旅行を例にとると~
【 まず欧州のハブ空港のあるパリ。そしてエジプトのカイロから、ケニアへ。
 その場合、パリの市内観光でギザのピラミッドに立ち寄り、ケニアへ。…
大型サファリカーで360度パノラマの大草原へ。夜半、耳元1m先から聞こえて
くるハイエナの息遣い。部屋と策で砦のように円形状に囲んでいるため、窓まで
近づいていることなど、深夜到着で、知る由もないため、恐怖のどん底
 『ライオンか、象一匹が見れるかどうか?』と思いきや、翌日のサファリから
ヌ~や象の群れがオンパレード。夕景のキリマンジェロと、ピンクから、黄色、
オレンジ色、そしてどす黒い黄み色、漆黒の黒へと変わっていく中、砦のホテル
に、何処までも続く一本道をサファリカーで突っ走る。 その中は、100年、
200年続いてきたイギリス統治のリゾートホテル。中央がレストランやロビーに
なっていて、部屋はコテージになっており、警備の現地人が長銃を肩に警備を
している。 …そして、早朝6時から、朝食前の一回目のサファリへ。
二時間のサファリの後に、朝食と休憩。二回目のサファリ。サファリは、無線で
ドライバー同士が情報を共有しているため、「ライオンがヌ~を狩って、何処そこ
で朝食」とかの情報で現場に直行。これじゃあ、合理的で面白いわけだ。 
欧米の金持ちがつくり上げた遊びを、20~30万そこそこで、楽しめる。 
帰路のカイロは、エジプト考古学カイロ博物館。館内には、ツタンカーメン王の
黄金のマスクや、カフラー王座像、ラムセス2世のミイラなど驚くべき文化財
陳列されている。そして、最終のホテルは、最高級ホテルの宿泊が組込まれている。 
 帰路の機内のエコノミー席も回数を重ねる度に、その狭さが気にならなくなる。 
この到着するまでの時間こそ、基調と瞑想状態に持っていく。これが可能になるに、
10年近くかかった。人生と、その都度のツアーを重ね合わすうちに、日常が、夢幻で
ないかと? <他の銀河系から80年間、肉体と精神を借りた旅に来ているのでは?>】】
 
 数年前に、この宇宙の他に、10の500乗の他宇宙の存在の有無が言われ出した。
ならば、こんな空想もタワイのないもの。そんなことをしていないで、繭から
出てね、羽ばたいたら。 バカくさいことなど、横に置いてね。 繭って両親、
家族、身辺がつくり上げた、その壁。喰いちぎらない限り、外に出れないと…。
といっている、それ自身も、妄想が成せる業でしかないと! なら如何するか?
 さて早朝のポタリングに出る時間に近づいてきた。
――
 某ブログより
[旅の記録]
10月18日
夜、エジプトのカイロに到着。ホテルはナイル川沿いのラムセスヒルトン。
部屋からのカイロの夜景が幻想的だった。

10月19日
カイロは7年ぶり。ギザのピラミッドとスフィンクスを観光。遠くから見ると
やっぱり大きいな〜と思ってしまう。クフ王のピラミッド入場は限定300名/日に
なっていたが、チケット売り場に並んで入場した。 お昼はピラミッドが見える
レストランで魚料理を食べる。エジプト考古学博物館では前回行けなかった
ミイラ室を見学、気持ち悪かった。その後、ハンハ-リで買い物して、ナイル川
ディナークルーズへ。お決まりのベリーダンスよりも、甲板で風に吹かれながら
カイロの夜景を見るほうが気持ちよい。ナイロビ行きは1時間ほど遅れて、
深夜1時過ぎに出発になり、すごく眠かった。

10月20日
早朝にナイロビに到着。ナイロビからアンボセリまで約260km、途中、悪路を
進み、昼過ぎに到着。昼間は雲に隠れてなかなか見えないキリマンジャロの雄姿
がバッチリ見えた!キリマンジャロを眺めながら昼食、その後ロッジで休憩。
夕方、サファリに出発。キリマンジャロをバックにした野生動物の風景はホント
絵になる。公園内で唯一車を降りて歩けるオブザベーションヒル(展望台)に登る。
天気がよく、キリマンジャロや大草原の眺めがすばらしい。 今日はヌーや
シマウマ、ゾウ、キリン等の草食動物の他、ライオンの親子も見れて、満足な
1日だった。

・・・・・・
5918,閑話小題 ~帰りの宇宙船内で -1
2017年05月29日(月)
   * 帰りの宇宙船で
 「何故に生まれてきたか?」の問いかけの答えを考えるに、
「宇宙彼方の惑星から地球の80年の旅に来ていると想定すると考えやすい」と、
そして、「子猿に纏わりつかれ、殆ど地球上の大自然も、人間も、人間が営々
としてつくり上げた「文化・文明」をみること出来なかったことに後悔する」
と書いた。 秘境異郷ツアーに嵌って、私にとっての世界の果てからの現実
社会からのトリップする経験をしてきた。この感覚を「人間の生死」の極みの
実感から、「人間の生きる目的」を考えるヒントにしている。
 旅行から自宅に近づくにつれ、ホームベースがあればこそ、余裕を持って世界
の果てに飛ぶ立つことが出来た。それを拡大して、宇宙の果てから地球へ、
約80年の時間に色々な条件を与えられた上に、世界と内界を知り、味わい、
宇宙船に乗って帰っていく。宇宙船内で、自問自答するのは、如何だろう?
観て、経験した、感動と、感激と、感涙した極上の感情体験。四苦八苦、四楽
八楽の経験。それを阻んでいたのは、地球のシリアスな小憎らしいが、可愛い
子猿たち。それらも元の惑星に着いたと同時に宇宙の旅として忘れ去られる。
ただ、帰りの宇宙船内には、両親など因縁のある人たちが居る。数年前から、
早朝の仏壇前で、因縁深かりし故人のイメージを繰り返し想い浮かべている。
「末期の死の床での予行演習」の準備の一環ですか、これは。「暗い!」と、
いうアナタ。これは時間をかけ身につける「必須科目」。私だけの話だが… 

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5921,閑話小題 ~帰りの宇宙船内で ~2
2017年06月01日(木)
  * 帰りの宇宙船内で ~まずは父親と~
 宇宙船内に父親の姿が見えたので、隣に座る。
開口一番に聞いてきたのは、<どうだ面白かったか?>である。
 ~その答えは~
≪ お陰様で本当に面白く満喫しました。子供の頃から、色いろ教えて貰った
 知識と経験に加え、20歳時に創業の志を立て、読書など独学していたことが、
そのまま面白さに味を添えたようです。早寝、早起きと、新聞などの活字情報、
知識を収集する姿を幼児期から見ていた要素が大きい。新たな経験を加える
たびに教えを思い出し、参考にして、生きてきた。貴方が亡くなった半年後に
一緒に計画した飲食ビルの立上げと同時に結婚をしました。 悪いことに、
その時に石油ショックに直撃されたが、テナント部分に、居酒屋と、焼き立ての
ベーカリーを立上げ、一応カタチにし、数年後に、投資金額の二倍で売り抜けました。 
恐れていたとおり、動けないとみて、その隙を姉夫婦につかれましたが、
経営委託の奇策で乗り越え、実家にトンボ返り。任された本店に全エネルギー
を投入し支障なしに引継ぎが出来ました。
これも高校の頃、二度、仕入れの現場で、直に見ていたのが大きかったです。
それが、そのまま貴方の分身のように動けた大きな要因です。
 また、質素倹約と、合理的思考の習慣も大きなベースになりました。
分かっていたとしても、姉夫婦には驚いた。シロアリとは、こういう人かと。
貴方の静かな怒りが、そのまま伝わりました。
 地元経済の御仲間の存在にいるためには何でもござれだったということ。
貴方が一番嫌っていた、あの何も考えようともしない紋付羽織人たち…
根性の良い、母と、実兄も… 二人の姿に当初、茫然自失していたが、それぞれ
役割を果たし乗越えました。それも避けて通れない一本の道の現象と割切れば、
それもこれも許すことができます。その後、姉夫婦も、起業準備不足故に、創業
に失敗。最期は凄惨な結果に終わりました。
という私も、手を広げ過ぎて、9・11テロ、リーマンショック、東北大震災で、
遭えなくダウン。教えの通り実行していた幾つかのシェルターのお陰で、生活の
質を落とすことなく、ここに乗込むことが出来ました。この45年間で世界は
大きく変化しました。ソ連が解体してロシアに縮小。東欧など共産圏も消滅。
中国・共産党も、自由経済を取り入れ、今ではアメリカに次ぐ経済大国に成長し、
現在に至っています。さらに情報化社会が到来、社会の激変ぶりに驚きを持って
います。 地元商店街の「イチムラ」「丸大」「丸専」「大和」「長崎屋」
も消滅、当時、セトモノ屋からスーパーに転身をした「原信」が、一部上場
を成しとげたが、これも、10年?もしないうちに、商社か、ネット系の
資本系列下に統合されるでしょう。 
 父方、母方の親戚の商家も、全て廃業し、一軒も残ってません。 
また、地元の地銀の「北越銀行」も、第四銀行経営統合が決まり、風前の灯。
あまりにも時代が激変してしまいました。面白いには面白いが、面食らう日々。
 こうして宇宙船内から、地球ツアーを省みると、地球は豊潤で、奇跡的
世界であったと思います。人間という生き物は、ケッタイで、変わった生物と
実感します。 生れ出た先の地球上の役割と舞台で、丁度よい両親と、時代に
巡りあえたことに感謝しています。特に貴方には! 幼児期から、長期に渡る
定期預金を続け、増えていく楽しみと、それを元手でベストのタイミングの
学生時代に、「30日間の欧州を中心とした世界旅行が出来たことが、人生の
ベースを培ってくれました。それが切っ掛けで、ライフワーク「秘異郷ツアー」
を続けることになりました。その先で、「感謝、感動、感謝」の念を、実感を
持って、報告出来るのは、これ以上の幸運はないと思ってます。 若くして
亡くなった2人の兄の分まで、生きた気がします。「有難うございました!」≫  
 辞世の文みたいだが。  
 
・・・・・・
5924,閑話小題 ~帰りの宇宙船内で ~3
2017年06月04日(日)
  * 母親と供に
 宇宙船内の両親の席の母の隣に座り、一方的に話した内容とは。
≪ 父親も尊敬してましたが、貴女も人間として見上げる存在でした。
 亡くなった時、医師の希望の解剖の結果、心臓の4分の1が壊死していたこと
を知り愕然としました。2人の息子を死なせ、母としての責任と後悔で重度の
ノイローゼに陥ってしまったことは知っていました。それでも、心臓が四分の一
も壊死していたとは。 中学校2年の時に、夜半、心臓発作のため、立川病院の
院長自らが駆けつけて、止まりかけた心臓のマッサージをしながら、大声で、
『堀井さん、自分で生きようとしなければ助かりません。苦しくても生きたいと、
思って自ら立ち上って下さい!』と絶叫していたのを覚えています。
言語に絶する苦しみが当時の私に伝わっていたと思ってましたが、殆ど分かって
なかったということですよね。 白髪が逆立ち、両手を上に突きあげ。私を見て、
「助けて!」と、絶叫していましたね。 その急場を乗越えた後、少しずつ病状が
良くなっていく過程で、新興宗教に助けを求めたり、宗教書や倫理書を熟読する
ことで、苦しみの種を、一つずつ取除いて立上っていく姿を身近で見ることが
出来ました。貴女の生い立ちは、生れて直ぐに父親が亡くなり、男後家の義父に
苛め抜かれたと、ことあるごとに聞いてました。実母も義父に気遣い、表向き
幼女の貴女には冷たくしていたと。 親からの直の愛情を、子供に与えられた
経験のなさが、仕事の忙しさも手伝って、目先、ガムリャラに生きるしかなく、
息子の不幸を招いたと、聞いていました。これは子供の私たちにも影響をあった
ようです。 その反動が、私に集中し、孫のような特別待遇をして貰いました。
結果的に、それが良かったか、悪かったか。貴女は、子供でも分かるような、
宗教書や倫理の本を何気なく、茶の間において、自然に読ませてくれていたのが、
間接的教育だったのですね。
 10年近くの重度のノイローゼの中で気づいたことは、「過酷の環境下での、
『無教養』が、取返しのつかない不幸の原因だった」ということですよね。
私自身も、「知識の絶対的不足」に気づいたのは、地元を離れた学生時代。
オープンハウス的な寮生活で、全国の多くの人と、私生活を共有したためです。
「面白い共同体の寮があって、実に社会勉強になる」と、何処かから聞きつけ、
放り込まれましたが、その実態について、殆ど話した事はなかったですが…
これが絵に書いたような雑多の家庭事情を持った玉石混合の25室の寮。その部屋
には、その友人も多く出入りをしており、良いにつけ悪いにつけ、赤裸々な様々
な品位を垣間見ることが出来ました。これが、面白い別次元の空間。都会の寮や、
アパートなら、こんなものでしょうが… 
 そういう貴女と33年間も同居することが出来、あまりに多くを学ぶことが
出来たことが、この地球ツアーで一番の成果だったようです。両親にならって
何が創業人生を目指してきたのが、この程度で、です。
『ご覧のとおり、そのまま結構!』とは、あなた方を省みると、決して
言えません。何はあれめぐり会えたことが、一番の感謝すべき幸運だったと、
黄昏の日々を過ごしています。≫

▼ 書いて初めて気付くことが、あまりに多い。愛情は与えることであって、
 受けているだけではダメということですね。 

・・・・・・
5959,閑話小題 ―帰りの宇宙船内で ~4
2017年07月09日(日)
   * 人生の元をとったかい
 ふと気づくと、学生時代の友人だったAが、隣に座っていた。30年前に
脳梗塞で亡くなった男だが、突然の死で、当分の間、成仏できなかったようだ。
 開口一番『人生の元を取ったかい?』と問うてきた。
 A君が言うには、
『人生の最も美味しい時節の前に、突然終えたのは残念。成仏出来ないまま、
見えていた情報化時代と、ソ連と東欧の共産圏の崩壊の時代に立ちあえた君ら
が、羨ましい限り。あと、老いた父親から強引に実権を取ったことも。』と。
ここでは故人の愚痴の聞き役になっていた。幸せを絵にしたような男だったが…
『堀井な~。生きている内だよ人生は。それも日常の平凡と、それとは別の
非日常でトリップする経験の組合せを、楽しむことを心掛けることだよ。
それと、孤立でも、孤独でも何でもいい。自分を閉じ籠めて、暗闇の漆黒を
味わうことだよ。そうした分、外の世界の輝きが違って見えてくる。地球は、
広く、深いと、つくづく思うよ。地球は極上の観光名所であり、そこには、
地球自身がつくり上げた大自然と、人間のつくり上げた文明・文化もある。
 それらと可能な限り、触媒し、直感し、味わうことだよ。自分は現実に
溺れ過ぎて、一番大事なこと、平凡の日々と、トリップして現実から離れた
時空を味わうことが、あまりに少なかったよ。』 といって、消えていった。
フッと気付くと、宇宙船が消え、宇宙の漆黒の中、魂だけが独り漂っていた。
30年前に、新潟駅前で事業をしていた時の不動産屋社長で、町内会長だった
酒友で古町を月に一度、10数年、飲み歩いた人と、私の母親の二人への質問
と同じだった。二人とも、「よくぞ聞いてくれた」と?、急に顔色が輝き
だしていた。 老いるに従い、「人生、これ果たして良かったか、悪かった
のか」の自問自答が深くなる。良し悪しとは別に、充実した人生かは、本人
の心の問題になる。2人とも、『とったとった充分とった!』であった。
2人とも、当時70歳後半だった二人の共通点が、何れの時点でも人生を
楽しんでいた。太平洋戦争の最中、何とか家庭を支えて生き抜いてきた。 
その質問を、学生時代の友人が、私に質問をしたのには驚いた。そして、
私の答えも同じ『充分とった!』。
★ 後記= で、偶然だが、以下に続いていく。あの世だけでなく、
 娑婆も漆黒の闇である。