ーベストエッセイ〜「中の人・外の人}いしいしんじ著〜
   * 着ぐるみの「中と、外」
 黒いベール(ヒジャブ)で全身を覆ったイスラム教徒の女性。
異教徒が、あれを全身に覆って街中を歩くと、何か透明人間になったような
不思議な感覚になるという。それが動物の着ぐるみなら、尚のことだろう。
ファッションも一種の着ぐるみ。著者が一年間、外出に、これを着ていた感想が
何とも新鮮! 城下町は、家紋の縫ぐるみを街ぐるみ着ているようなもの。
常に、縫ぐるみの外と内を盗み見て、他人と自分を比べ、神経を尖らせている。 
 〜その辺りから〜
≪ 三十になりたてのころ、外出するとき必ず着ぐるみをかぶっていた。
 着ぐるみには目がくりくりで表情がデフォルメされた「ファンシー」タイプ
と、わりとじっさいの動物に近い「リアル」タイプの2種類がある。
僕が着ていたのはすべて「リアル」のほうである。クマ、犬、ウサギほか。
 テレビ局の衣装部につてがあって、使わなくなった中古を安値で譲り受けた。
真夏以外、Tシャツ一枚の上に玄関で胴体をつけ、両足をはめ、すっぽり頭部を
かぶる。ふつうに地下鉄に乗り、書店で本をえらび、頭部をずらしてストロー
で水筒の水をのむ。外見は動物で、めちゃめちゃ目立っているわけだが、誰も
いない穴蔵にじっとひそみ、覗き穴から外界を盗み見ている、という感覚だった。
 着ぐるみのうちにこもって外を覗いているはずなのに、ときどき、巨大な外部
にハジキだされ、世界の外から内側を覗きこんでいるという感覚にとらわれる
こともあった。交差点を渡っているとき、酔ったサラリーマンに「ウサギちゃん」
と頬を殴られ、路上でネクタイをひっつかんだら、むこうは恐怖そのものの
真っ白な表情で、それこそ脱兎のごとく逃げていった。僕の内側と外側は
「からっぽ」ということで一致していた。だからこその着ぐるみだった。
 翌年に心身のバランスを壊し、実家に戻され、そこで、四才半の「いしい
しんじ」が三十年前に書いた原稿を発見した。その驚きをもとに小説を書いて
いくことになる。物語を書く身ということで考えれば、着ぐるみにこもっていた
一年間、僕は「胎児」だったという見方もできるかもしれない。
 いま住んでいる京都のひとは、「うち」と「そと」の使い方が絶妙である。
内面と外面と違うとう単純なことでなく、「うち」「そと」のあわい、中間領域
を共有しながら京都の暮らしが営まれていく。子どもにはみなが目配りするし、
お地蔵さんの掃除、水まき・おみやげにおすそわけ、すべてこの、流動する中間
領域でやりとりがなされる。路上で自転車をとめ、立ち話しているひとがやたら
目立つ。互い量なりあったあわいで、京都のひとはみな、惜しみなく「うち」と
「そと」の光を交換しあう。胎児だった僕が、マンションの部屋にとじこもる
ことをせず、着ぐるみを着ながら毎日に出ていたのは、やはり「うち」「そと」の
循環を、からだで、こころで、希求していたからだろう。そこから物語ははじまる。
「そと」から見える「うち」、「うち」から見える「そと」の世界。
そのあわいに、目にうつらない、ふくよかな世界がある。 (略)・・ ≫
▼ プロの作家のエッセイは、「成るほど」と唸らせる。子供のころ、両親の
 会話の中で度々、『旅の人』という言葉が印象に残っていた。『旅の人』は、
『よそ者』のことで、自分、家族、一族、従業員、近所、近隣、そして外部の人
=よそ者と、ハッキリ色分けをしていた。 それは現在でも地方では同じである。
そして、紋付袴のコスプレを、コスプレの自覚無しで、その中と、外を覗き込む。
 城下町は、ある意味、紋付袴のコスプレ世界。だから、旅の人の視線でみると、
これが縫いぐるみに見えてくる。その「あわい」が、気の毒か、幸せかは紙一重
・・・・・・
4693, 閑話小題 ーがん哲学外来 
2014年01月19日(日)
  * がん哲学外来科なるもの 
 病気の死因が95%、自殺が3%、その他が2%という。
その他の2%は交通事故、転倒事故、災害、犯罪の被害など。自殺の3%で、
その2倍の予備軍が存在するので、人生は苦海を四苦八苦で泳いでいることが
見てとれる。私も、あと一年で古希になる。父が亡くなった歳まで、あと3年。
亡くなる父親の姿から多くを学ぶことができた。「所詮、人生は夢幻、何事も
その時どきを精一杯生き、楽しむしかない。それも正道で・・」というところ。
 で、先日、図書館で『末期がん、その不安と怖れがなくなる日ー樋野興夫著』
なる本を見つけ、借りてきた。副題はーがん哲学外来から見えてきたものー。
がん患者の苦悩を真正面から取り組むもので、なかなかの内容。近日中の随想
日記で取り上げるつちもり?だが、心は重い!もし、余命半年と宣言されたら、
何も考えずに生きてきた多くは大混乱になるはず。従容と死に立ち向かうなど
土台無理。そこで「がん哲学外来」が出来たのだろう。 
 哲学の一番の問題は、知識を持ってしまった人間が、限られた生と、
その終りを予め知ってしまった。 そこで苦悶をし、考えるしかない。
それが哲学の大問題になる。それを具体的に受け止めようというから、凄い!
といえば凄いが、あって当然の専門部門。そこは極限の生々しい哲学的問答の場。
100%の解決でなくとも、70%にすることが出来るが、その差は、当人にとって
膨大である。生への希求の砂漠の中での水を与えるという喩えが言い得て妙になる。 
死んでしまえばゴミ?死ななくともゴミ?
   * パソコン売り場にて
 iPadを購入して2年半近く、今では身体の一部のようになっている。
しかし、ネットで、この文章を書いたり、検索したりするのはディスクトップ
パソコン。それも以前の会社の事務所にあった6年以上も使ったもので、
iMacにWindowsVISTAを乗せたもの。それが書斎と、居間にあり、これに
iPadがあればPCとネット環境としては十分。それも6年もたてば、
この世界は激変している(はず)。それとVISTAのサポートも三月で終了もあり
入替え時期。そこで暇をみては家電のパソコン・コーナーで見ると、面白い! 
春先の新機種の発売が始まるので待つか、昨年の秋の型落ちにするか?
あと一年、現状のまま? その世界に詳しいSEの知人は「机上型も、ノート型
でもタッチ方式が良い」という。しかしiPadがあるため迷いが出る。
次がディスクトップか、ノート型。 現在使っているパソコンをWindowsから
iMacの方に切り替え使うとするとノート型が良いが、iPadに重なり迷いが出る。
やはりギリギリまで待つのがベストのようだ。もしかして最後?のパソコンの
可能性がある。また、現役と違い、年金暮しも躊躇の要因になる。
消費税前の狂乱騒ぎの後の4月末が買い時だが・・それまで待つのが理になる。
これを機会にiMacの画面にするのがベスト? まずは、画面切り替えか! 
・・・・・・
4326, つれづれに ー歯医者
2013年01月19日(土)
  * 歯医者
 歯医者通いも終わった。7〜8年間行かなかったためか4本が傷んでいた。
通院は15回位だろうか。今度からは年に二回は歯垢をとりに行くことにする。
現在のところ無傷は7〜8割。 虫歯は60歳なら6割、80歳なら8割は、
やられているとか。ところで読書歯磨きというのがあるそうな。少し歯磨き粉
をつけて、一日、2〜3回、20分ぐらい、読書をしながらするのがよいとか。
それでも去年の秋口に二本目の電波歯ブラシを交換してから、歯のクスミが
無くなってきた。
  * 血圧計
 ホリデイという近くのスポーツジムと、日祭日と休館の金曜日に市営の小さな
ジムに通っている。ほぼ皆勤もあり、私営の方は一回につき300円、市営は
100円の計算になる。ところで、この二つのスポーツジムの血圧計の結果が、
えらく違う。受付に言っても「うちは狂ってません」と両者。135がライン
というがホリデイでは、完全に高血圧の135〜165。市営は120〜130
の間でクリアー。今もどちらが正しいか分からない。もちろん左右でも同じ。
運動をする前と、したあとでは20は下る・・ 食事と運動量は注意しているが、
晩酌が血圧を高くしているのだろうか。 
  * 大相撲ーつれづれに
 大相撲が面白くなっている。阿吽の呼吸の手抜き?が出来なくなったため。 
そのため怪我が増えている。賭博問題で多くの力士が角界ら追放されことも
あって、若手に個性的力士が出てきた。 ところで一昨日、大関4人が二日に
わたって6連敗をした。7人目に、やっと勝ったが「場内は大関が勝ったことに
逆に驚いている始末」(解説/北の富士)というほど、だらしがない。
横綱と、その他の差は歴然とついているが、大関との差が無くなっている。
10勝が最低ラインだが、8〜9勝を最後の二日でとるのに苦労している。
ということは、今でも暗黙で勝負を配分している? どんどん大関にして、
どんどん落とせば、これまた面白いか? 
・・・・・・
3951, 閑話小題
2012年01月19日(木)
  * 熱川温泉の惨状は、全国の温泉地の象徴
 あれから10ヶ月が経つが、その後の大きな流れはTVや新聞で分かるが、
細部の情報は限られ少ない。特にホテル・飲食業業などは一歩離れてみていても、
本当に大変だろうが、悲鳴すらも聞こえてこない。首都圏から新幹線で二時間
以内の駅前ホテルと、全国のリゾート・ホテル、旅館は3・11以降は倒産
ラッシュのはずだが、どういう訳か静まり返っている。ところが先の日曜日に
伊豆の熱川温泉街の苦境についてのリポートがあった。温泉街の殆どの商店の
シャッターが閉まっていて、「最盛期の人通りの100分の1」と商店主が嘆く。
バブル期に完成したホテルも客数がピーク時の40%。その上に割引セール。 
殆どのホテルが倒産か、倒産直前。リゾート・マンションも入り手がなく・・
 残っているのが老人ばかりで、町長がインタビューで「予算の多くが、
老人福祉費に費やされ、他に予算が回せない。リゾート・マンションに老人
が移転してくると、町が破綻してしまう」と嘆く。長岡の奥座敷と言われる
「蓬平温泉」には、昔から三軒の老舗のホテルがあり、何度か同級会を泊り
込みで開かれた。料理も美味いし、施設も素晴らしいが、その三軒とも今では
銀行管理か、何処かの資本の管理下。そこに詳しい人が言うに、「去年の大雪で
客が皆無だった上に、3・11災害で大打撃。どうして潰れないのか不思議」 
全国の有名旅館街は、どこも似た状態である。不況で個々人の収入は激減
すれば、温泉街でのんびりと温泉に浸かる気分になれない。
おまけに超円高となれば、海外に行きたくなるのは当然である。農業も、
公共事業も、観光も、輸出もダメとしたら・・・
  * 日本に再び大地震があるか?
 去年になるが、週刊誌が東海・東南海・南海連動型地震の可能性について
仰々しく報じていた。 震災直後で神経質になっている国民感情を刺激する
内容だろうと思い殆ど気に留めなかった。しかし考えてみると、中越地震
あった直後、「この地区が全国で一番安全な地区で当分は安心していられる」
と実しやかに語られていた。 ところが三年後に柏崎沖地震である。 
それから考えると、震度7、マグネチュード9の三連動型地震の後に、
その並びにある東海・東南海・南海連動型地震の可能性が充分に有りうる
ことで、それ想定するのは当然である。それに連動したのか、富士山の近くで
起きた地震。これも噴火の可能性もある。東北大地震の三年、六年、八年前に
東北地区に地震続いていた。そうこう考えると、これからは東北大震災クラス
の規模の地震を現実として想定しなければならない。この10年間に世界中に
巨大地震が立て続けに起きおり、世界の地震の活動期に入ったようだ。
・・・・・・・
3586,  閑話小題 
2011年01月19日(水)
  * 何故、ここでタブレット式パソコンか
 昨年、マックがタブレット式パソコンで大ブレーク。今年からは他の
メーカーが、それぞれの特性を持った商品を出してくる。何故ここで薄い
板状のタブレット式PCがノート・ブック式に、とって代わろうとするのか?
を考えてみた。まず無線であり、薄くて嵩張らない。鞄に書類やノートと
重ねて何処にでも気楽に持っていける。そして書籍もネットを通して購入でき、
かつ読める。 更に、ゲームにもってこい。先日、ソーシャルネットの
フェースブック」の創業の映画をみた。 今年はタブレット式パソコンと、
ソーシャルネットがセットでブレイクする。それにツイッターである。
それらがノート型からタブレット型にパソコンを変える大元となる。
無線・値ごろ・薄い・ソフトが豊富、等の要素がノートの大きさに収まった
ということ。新聞、そして出版業界は大転換をむかえる。
  * 迷ったら、やる!
 私の知人に面白い人がいる。3〜4ヶ月に一度位、景気の定点観測?
で私のところに来ているようだ。30数年以上、年に1〜2度は酒を飲んで
いるが、とにかく行動的で、相手の話を聞き分ける能力がある。
そして会う度に一皮二皮、脱皮をしている。人生の節目になる重大な問題が
起こると、神妙な顔をして相談に来る。ノートを開いて二時間ほど私と対話
をして、その数ヶ月後に、ほぼ取り入れて問題解決の報告に来る。
 ところが今では、逆に私の方が教えられている。数年前に重大な判断ミスを
しようとした時に、「本当に、それで、いいんですか!」の一言で、助けられた
ことがあった。年齢は私より4歳下。 先日聞いた話が面白かったので、それは
今度書く。その時に「そろそろ哲学書をジックリ読んだ方が良いのでは?」と
話を向けた。 しかし哲学の意味を「自己哲学=信念」と、勘違いして、
「自分には哲学がある、何か迷った時は、とにかく実行に移し、その中で
判断を変えていくのが自分の哲学で、これで十分」という。「なるほど!」と、
合点をした。 60歳を過ぎると一段と肉体的に下降になると、どうしても
行動面で一歩下がってしまう。そのため、迷ったら兎に角やってみる判断で、
丁度よい。「とりあえず5年、やりたいこと全て前倒し」の為に、
「迷ったら一歩前に踏み出す」信念が必要のようだ。炬燵の中でTVも良いが。
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3221, フリー
2010年01月19日(火)
 「フリー<「無料」からお金を生みだす新戦略>」クリス・アンダーソン著 
 非常に刺激的な考えさせられた内容であり、ビジネスマンや経営者なら
読んでおくべきである。 読後感は、かなりショック。 ビット《情報》の世界
では、今後95%をFreeにして5%から利を得るモデルが世界を方向づける
カタチとしての流れを止められないという。フリーとは無料のこと。 
無料=利他を理解できた者がネット社会では利する世界になる。フリーで
やれるのはネットという膨大な世界があるから。無料といえば、民放のラジオ
やTVは広告を見せられる反面に無料。駅前で配られるテッシュも無料である。 
図書館で借りてくた音楽のCDをパソコンに落とすが、それも無料。気がつかない
うちに多くのフリーに恩恵を受けている。この随想日記も考えてみたらフリー。
私の全てのエネルギーを注ぎ込んで、HPを覗いてくれる縁ある人に情報を公開。 
ただ、それが利他になるかどうかは別だが。この本は「ビジネスモデルの理解」
という表層的なことだけでなく「ビジネスを考えるマインドセットの仕切り直し」
というところまで、考えを深めてくれる。 ひとたび自分のマインドセット
仕切り直すことができれば、自社や競合や新規参入が取り得る価格破壊戦略
のみならず、そのトレンドが業界構造をどのように変えるか考えることができる。
・タダでモノを与える「経済」は今さら新しいものではない。モノが充足された
 文明で、自己実現を満たす行為としてあった。この「贈与経済」は貨幣でなく、
「評価」「注目」という非貨幣的価値を対価としてきた。 ネット以前の時代
では「評価」「注目」は地域限定で「量」が小さく、しかも計量が難しかった。
 しかし、ネットでは「評判」「注目」が広範囲で「量」が大きく、かつ計量
可能であるため、貨幣との交換が可能である。 したがってこの計量可能な
非貨幣的価値を貨幣的価値に換える「やりよう」こそが、ネット時代の
新ビジネルモデルである。
・無料ということについて、心理面からアプローチしているのが面白い。
取るに足らない値段を請求することで圧倒的多数の消費者の手を止める。
チョコを使った実験やフランスアマゾンの送料などを例に紹介している。
  《 0と1 の差は、1と99の差より大きい。》  ー つづく
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2846, 金融大崩壊 −2
2009年01月19日(月)           −読書日記
 この著書の結論は「16世紀に資本主義が始って以来の地殻変動が起きている。
キッカケはサプライムローン問題、20〜30年と激動の時代が続く」である。
16世紀からの近代(資本主義化)が‘変わり目’に来ている。
これは著者が言い出したことではなく、他の学者の論を租借しただけだが、
キッカケはリーマンブラザーの倒産である。更にいえば、松井孝典がいう
「地球システムが、拡大続ける人間システムを維持できなくなったサインの一つ」
とみると、解りやすい! 第一次大戦、金融恐慌、第二次大戦と続く一連の破壊
よりも数倍大きい エネルギーが世界を覆い、一度、西欧中心主義の世界を破壊
しつくすのは必然の流れである。この著書で、1995年から2008年9月まで、
アメリカ「投資銀行」帝国ーが存在した、という。
 それが、去年の9月で、その帝国の象徴的存在だった5つの米投資銀行が全て
破綻してしまった。1995年以降、アメリカ「投資銀行」帝国は、「すべての
お金がウォール街に通じる」システムを築き上げて、資本家達は1995年以来、
100兆ドルの金融資産を増やした。元来、貯蓄が少ないアメリカにとって、
投資銀行」帝国化することで、まさに「無から有」のお金を手にした。
その最終局面で起こったのがサブプライムローン問題。アメリカの資本主義
帝国化に一番に対応したのが、日本である。いや、させられたのである。
金利を下げて円安を誘導し、輸出主導でバブル崩壊後の日本を立ち直らせ
ようとした、米国「投資銀行」帝国に対応した「日本輸出株式会社」が完成した。 
この二つは、コインの裏表一体。したがって、アメリカ「資本銀行」帝国の崩壊
は「日本輸出株式会社」の崩壊でもある。悪いことにECも同じくアメリカの
モデルを真似たシステムをとってしまった。更に、アメリカの毒入り債権を
大量に抱え込んでしまったから、アメリカ同用に崩壊状態に陥ってしまった。 
中国も、アメリカ「資本銀行帝国のシステムに組み込まれ、米国ドルと国債
大量に持たされている。世界中がすべて同時に金融恐慌に陥ってしまったのは、
やはり16世紀以来の地殻変動である。CDO(債権担保証券)で、300兆円だが、
これにCDSがある。CDSは、CDOなどのリスク担保をする保険であり、
4000とも6000兆円ともいわれる。これが今年から表面化することは必定。 
とすると世界恐慌は避けて通ることは出来ない。世界の大手企業が社債
不動産債権などを出しており、実物経済の悪化と同時に倒産が続発する。
その結果、その社債などの債権にかけた保険=CDS不良債権化が表立つ。 
銀行の倒産、企業の倒産、不良債権の発生、とマイナス循環が果てなく続く
ことになる。したがって、20年、30年の激動の時代が続くのは必然のこと
である。クリントン女史が、昨日のTVの画面をみると一挙に老け込んだ
顔をしていた。中国からの献金疑惑もあろうが、アメリカの立たされている
重大局面を深く知ったため??。
・・・・・・・・・
2008年01月19日(土)
2481, 9・11事件について   ー ヾ(´∀`o)+。才ノヽ…
 2001年の9・11事件が、大きく時代の流れを変えてしまったが、その意味に
ついて、日本人の視点で解りやすく、納得した言説に初めて出くわした。
なるほど、知らないうちにアメリカよりの立場で、テロを糾弾する内容の記事
や解説ばかり聞いていたことに、これを読んで気づかされた。アメリカの日本
に対する露骨な植民地的な対応に、そろそろ一歩も二歩も離れなければならない
時節に来たのである。敗戦から60年以上経ったのである。サブプライム問題で
世界にアメリカの正体が露呈してしまった、この機会こそ距離を置くチャンス。
−以下は、説得力のある論で ー「存在の大地」ー高史明+芹沢俊介著 
P−12 
 *上田紀行
ハワイもアメリカの領土とはいい、本土からは遠く離れている。 それでも、
アメリカ人はハワイを日本が攻めたということを今でも忘れない位にショック
を受けたわけですが、とにかくアメリカの本土が攻められ中核が射抜かれる
ことはこれまでなかったわけです。私はそのアメリカが、それもニューヨーク
のど真ん中に攻撃を受けたことに関して、これは文明的な意味があるな、と
思ったわけです。というのは、アメリカ自体は自分が攻められた痛みを知らない
ということが、ありますし、何よりもアメリカの現在の資本主義体制に関わる
問題を突きつけていると思ったからです。アメリカの資本義体制というのは、
世界をどこでも等価にしていくという性格があります。つまり資本主義の
成り立ちを見てみれば、かつての産業資本主義の時代、実際にモノが動いていた
時代の資本主義というのは例えば中近東で石油が採れ、その石油を運ぶのに
何カ月かかかるといった、大地とのつながりがまだしもあるわけ。もちろん
農産物も大地から生まれてくる。しかし、いまのアメリカの好景気を支えている
ITに関していえば、情報がお金を生み出すわけですね。 株などを見ても
コンピユーターの画面上でワンクリックすればロンドンに置いておいたお金が
瞬時にニューヨークに移り、ニューヨークが駄目となれば東京に移り、
第三世界が有利だということになれば、どこかの第三世界の市場に投資できる
というような性格がある。つまり、アメリカを中心とする資本主義が、
まさに大地というか私たちの故郷性といったものから切り離されている。 
私たちはどこから来てどこへ行くのか、どこに出自があり、死んだ後はどこに
行くかというようなことから全く切り離されている。世界中はどこでも等価で
あり、儲かる所であればどこにでも行くように、大地とは切り離された形で
お金が回っている。そこでいくら儲ければ勝ちだ、儲かった者が勝利者だという
ような価値観が主導してきた資本主義がニューヨークを中心に築き上げられ、
繁栄を謳歌してきたわけです。私はテロリストを擁護するわけではありませんが、
そうしたニューヨークに突っ込んだ飛行機というのは、我々には我々の土地が
あり、民族があり宗教があり、アイデンティティがあるのだという主張でしょう。
世界は等価ではなく、国なり民族なり宗教なり共同体なりといった土地の論理
に対して、等価の論理が侵犯してくることは許せないのだという主張が、テロ
という形で打ち込まれたと私は考えたわけです。   
          (以下、字数の関係でカット2012年01月19日)