『読書脳 ーぼくの深読み300冊の記録 』立花 隆 (著)
   * 今世紀で人類は終わる?  
 「今世紀で人類は終わる?」マーティン・リース (著)から!ー内容(アマゾン)よりー
< たとえば、致死率の高い危険なウイルスのDNA配列情報は、いまやだれでもネットから
 ダウンロードできる。このDNA情報から、ウイルスを合成し、さらに強力なウイルスへと
改造する技術を持った科学者は、世界に数千人存在し、その数は年々増えている。もし、
通り魔殺人や銃乱射事件を起こすようなタイプの人間がこの技術を習得したら、いったい
何が起きるだろうか。核戦争や地球温暖化といった、20世紀から危惧されてきたものとは
全く別の、予想外の脅威による人類文明終焉のシナリオを、第一線の物理学者が描き出す>
 ー著者・立花の解説が明快である。
≪ 著者は宇宙物理学者。英王立天文台の名誉天文台長をつとめる。話はすべて、科学的に
 ありうる地球滅亡、文明滅亡の話。小惑星の衝突、「温室効果」の暴走、といった自然現象
の脅威もあれば、核兵器の拡散、バイオテロ、カルトの先鋭化といった人間の暴走現象もある。
自己複製する機械ができて、人間より優秀になり、ポストヒューマン文明を築いてしまうとか、
生物を栄養源とする自己増殖ナノマシンが生まれて、爆発的に増殖し、地球上の植物を食い
つくしてしまうなどというテクノロジー未来物語もある。
 驚いたのは、最先端の素粒子実験がもたらしかねない世界の終り。巨大な金や鉛の原子核
光速近くまで加速して衝突させると、原子核がくだけてグジャグジャになり、小スケールだが、
ビッグバン直後の世界を再現する。すると、ブラックホールができて、周りのすべてを
吸いこんでしまったり、複数のクオークが途方もなく圧縮されて、ストレンジレット
呼ばれる奇妙な新粒子を作りだしたりする。ストレンジレットは自分が接触するあらゆる
地球上の物質を片端から奇妙な物質に作りかえていって、アッというまに地球を直径百M
ほどの超高密度天体に変えてしまう可能性がある。 あるいは、この実験え真空に転移を
起こさせ、これまでの空間を空間ならざるものに変貌させてしまい、これまでの空間が
スッポリそれにのみこまれてしまう可能性がある。このような真空の相転移が宇宙規模に
ふくらんでいき、ついには銀河系全体がすっぽり、飲みまれてしまうことも考えられる。≫
▼ 小スケールのビックバン直後の世界の再現の可能性には、驚いた。あるうることである。
 また、狂信的イスラム教徒達が、自分の体に細菌を感染させて、世界各地で、いっせいに
テロに走ることも十分に考えられる。現在、問題になっている『イスラム国』。ネット上の
教団が、世界中の狂信的イスラム教徒に、様々なテロを呼びかけている。そのアメリカも、
考えてみれば狂信的キリスト教国。とすると「目には目」の殺しあい、激しくなって当然。
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4658, 2050年の世界 ー21
2013年12月17日(火)
「2050年の世界ー英『エコノミスト』誌は予測するー」〜英『エコノミスト』編集部 (著)
  * 第四章のまとめ ーソーシャル・ネットワークの可能性
・インターネットが人類に与えた影響は、ソーシャル・ネットワークのくくりでみると
 わかりやすい。コンピュサーブなどのパソコン通信掲示板の世界から、よりIDが実名化
 したフェイスブックの世界まで、その世界は、八億人を超えひとつの国家となっている。
SNSの興隆により、三つのトレンドが将来に予想される。
 一つめは、意思決定において友人の影響力が強まる。
 二つめは、集団の英知を利用したウィキペディア型のサービスを利用する度合いが強まる。
 三つめは、新聞やテレビなどの大マスコミに頼らずとも大規模な運動を起こすことができる。
・社内の協業を促すために、セキュリティの厳しい社内SNSの新しい形が生まれ、それを
 利用する企業が増えるだろう。
トヨタは、自動車間でソーシャル・ネットワーキング機能を持つことのできる車を発売
 するが、車に限らず、日常の電化製品のあらゆるものに、常時接続のものに、
 常時ネットを利用したソーシャル機能が搭載されるようになる。
・一方で、一社支配によるプライバシーの管理への懸念は、政府の規制を招くか、
 あるいは非営利団体によるデータの管理といった方向に向かうかもしれない。
 またSNS上のプライバシーの規定などを共有化する「権利章典」が作られる可能性がある。
・但し一社支配が長く続く可能性は少ない。新しいイノベーションを持った
 ネットワークが参入し、既存のSNSに取って代わる。
・異なるSNS間で、ウェブ上の人格を移動し、共有できるシステムが開発される。
▼ この予測で、ここが一番予測しにくい分野。パソコンが携帯に収まるとは、10年前は
 誰も思ってもなかった。そして、今度はメガネ型パソコンで視覚情報を直接、遣り取り
可能なものまで出てきた。グループチャットが、広島で少女殺人事件を引き起こしてしまった。
 ーその事件をネット検索をするとー
《 広島県呉市の山中に女性の遺体を遺棄したとして16歳の少女が逮捕された事件で、
 警察は男女数人を死体遺棄の疑いで逮捕。この事件では逮捕された少女の友人3人が17日朝、
警察に出頭し、任意で事情を聴かれていた。 また、逮捕された少女が携帯電話の通信アプリ
「LINE」で友人に犯行時の状況などを打ち明けていたことが新たにわかった。 》
この事件に至った具体的内容がTVで放映されていたが、多くの見知らない人が会話に
出入りをしてエスカレートしていく。逆に趣味などの世界の人が簡単に結びつくことが可能。
それぞれのレベルの結びつき強くなり、固定化すると、ネットカーストも出来てくる。
レベルが違うと理解できない世界になる。価値観の違いとレベルの差異は違う!そこが問題。
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4293, 衆院選挙の結果について
2012年12月17日(月)
    * この結果は、ベストに近い! とみるべきか?
 選挙結果が粗方の予想通りになった。小選挙区制度では、こんなもの。これで超保守体制で
難局に立ち向かうことになる。この選挙は民主党の自滅と、第三局の乱立による共倒れと、
尖閣列島などの領土問題や北朝鮮のミサイル発射も日本の右傾化を進める結果となり、まったく
空気が変わる。 民主党の弱者救済のスタンスから、弱肉強食へ大きく舵をきることになる。
グローバル化社会では割り切るしかない。 経済は、今週の株価がどうなるのか? 特に週末に
かけての動きが心配である。まずは来年三月の金融円滑法の打ち切り問題、自民党が果たして
打ち切りが出来るだろうか?地元の高校の同級生が3人続けて、倒産、不祥事、自殺が発生した。 
これ、「地方は既に恐慌が始まっている」という私の説の身近な現象である。
ここで政策の大転換が必要な時節、この結果も悪くはないという見方も出来る。問題は、
自公で三分の二の議席を確保したこと。参院で法案が否決されても、再び可決出来る。
おまけに改憲に反対している公明党と、この夏まで組んで、その後に、改憲賛成の維新の会に
乗り換えれば、それも可能になる。週刊誌などの事前予測の結果に近かったが、まさか60議席
割るとは思っていなかった。タカ派の安部が、領土問題で中国と真っ向から対峙することになれば、
経済に直接、大きく響いてくる。それと、建設国債の乱発による公共事業の拡大も懸念される。
地元の小選挙区では自民党の全勝。建設業界の笑い声が聞こえてきそうである。 
土建王国の宗主だった角栄の娘も、この逆風の中で落選。当然といえば当然。 
政治課題のスタンスは、「消費税増税原発継続、改憲、原爆保持、地方への分権化、賛成。
公共事業の依存化、反対!」。そうこう考えると、最後の公共事業反対以外は、この圧勝は
良かった、ということ。分かってはいたが、民主党への拒否反応が、ここまで大きいとは驚き。 
政治談議が多くなったのは、歳のため? 年末まで、株式か国債の暴落がないことを祈るばかり。
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3918, 精神力ーその偉大な力 ー8
2011年12月17日(土)
  「 精神力ーその偉大な力  ー 」 ダン・カスター著
【 難題にぶつかり、それを理解し、それを乗り越え、超越するとき、そこから多くの力と
 知恵を与えられます。それにより将来においての他の更に大きな問題に取り組めるのです。
世の中には善いもの悪いものもありません。ただ私たちが善い悪いと思うだけです。
もし問題、難題を一つの機会か励ましの挑戦と見るならば、人生に処する私たちを
弱くしたり無能にしたりすることは、ありえません。‘あらゆる事態はつまずく石か、
ぬかるみの中の踏み石’です。すべての進歩は、なにかの問題を征服し、なにかの挑戦に
戦い抜いた結果です。大生命力は、絶えず励ましの挑戦をしてきます。前進を促す体内の
威力を見出すと、私たちは成長するのです。もし挑まれなければ成長が出来ません。
教育さえあればとか、子供の頃の愛情の欠如で、やる気が起きないとかいう人を知っています。
しかし、その逆に、それをバネとして、その中に善を見つけ強くなった人がいます。
「あらゆる逆境は、好機のタネをもつ」といいます。あなたの過去の傷は打撃や損失を癒す
最も良い方法の一つは、その体験の結果として生涯に起こった善いものの表を作ることです。
ものごとが良くしていくには、体験をいかに反応するかにあります。鹿が足がはやいのは、
敵から逃げるために自分の体内の力に頼ったからです。 人間は自然界の挑戦を克服するため
推理と知性を発揮してきました。問題を受け入れ、善さを見、ゆるし、解放して自由にし、そして
前進するか―あるいは怒り、おのれを哀れみ、自分のことだけを思い、みじめに暮らすかです・・】
▼ 先日の新聞記事に「壁を乗り越えようとするな、壁のまわりを動き回れ、そうすれば壁の
 隙間が見つかる。登ろうとするから、登れないと諦めてしまう」というような内容があった。
上記の内容に似ている。 20歳で創業を決意し、準備を始め、結果は、2つの経済震災と
東北大震災で、この結果に終わった。が、創業も倒産も廃業も事業のうちである。
その創業も、まずは精神である。計画し、手順に入ると、まず思いもよらない難題が山のように
次々と行手を阻んでくる。 初めは、それを嫌々取り組んでいたが、慣れてくると、これこそが
踏み台で、難題の中にこそ鍵があることが分かってきて、逆にゲームとして楽しむようになる。
 この難題がゲームの醍醐味と自分に言い聞かせ暗示をかける。下り坂より上り始めは夢はあるが、
厳しい! それも数十倍も。何だかんだあっても、事業人生は面白い。
自分の限界が常に目先に立ち塞がって、自分自身に直面する緊迫感が、である。今もか?
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3553, 「閑話小題」 が一番面白い?
2010年12月17日(金)
 「閑話小題」は書くネタが出尽くして、仕方なくメモがわりに書いた中途半端な文章を
小題として、幾つか重ねたもの。読者からみたらバレバレと思っていた。だから、しゃ〜ない
「B級品」と割り切っていた。その半分手抜きの文章が先日、久々に参加した木鶏クラブの
人から何気なく「閑話小題」が一番面白いと言われ、何かの間違いと、再び聞き直したほど。
それでも「その人が、たまたま、そうか?」と半信半疑。ところが昨日、ある知人が訪ねて来て
「閑話小題」が面白いと全く同じことを言った。この10年間、一度も言われたことがない
「‘しょうがない’閑話小題」が面白いが偶然にも一週間内に、たて続きである。実際、
長い文章ほど時間もエネルギーも要する。書くほうからしたら、その分、自己満足する。 
昨日の友人曰く、「それは、あなたの言葉で、身近かなことを実感で書いているのが伝わって
くるからよい」という。日々の身近な内容はブログ「バード・ウォッチング」に書きとめていた。
要は実感として書いた文章こそ、相手に伝わるのである。記事とか書物の感想文は、自分の記憶
として留めておくためのマトメとして書いている。 さらにいえば一年先、数年先の自分が
読み返し、消化するためのマトメ。 読む方からしたら、それは、それでしかない。
しかし小題は書き散らした短文をマトメタもので要点だけ書いてある。それなら閑話小題を
多くすればよい。書いている方は無我夢中であるが、読んでいる方は、その無意識の本音を
楽しんでいるのである。だから、今さら冷笑も、侮蔑も、「何じゃい、笑うなら笑え、
笑われて何ぼじゃ」と割り切らないと。 ブログは結局は自慢話?の披瀝になる。
読んでいる方は冷静に、その辺が見えている。息抜きの文章が面白いとうと、もう少し内容に
強弱をつけた方が良いということか! 書くテーマが見当たらず、苦し紛れの「閑話小題」が、
逆に、井戸の底から湧き出てくる水の味なのか。 書き、曝すことの恐ろしさと、面白さか。 
ネット・セルフも色いろ考えさせられる。 そこで、閑話小題を遡って調べたら、月に
1〜2度しか書いてない。内容も短くまとめてあり、解りやすく、言われるとおり。 
これからは週一ぐらいは「閑話小題」を書くことにする。
 ところで、「ツイッター」も時々書いているんだけど! 少し軽すぎる?
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3178, アメリカは現在、どうなっているのか ー2
2009年12月17日(木)
 * アメリカの産業の現状は?
 ー以下は、中央公論中岡望のレポート[アメリカ、失われたバラ色の未来」の抜粋ー
アメリカでは金融業界を「ウォール・ストリー」というのに対して、製造業などの産業のことを
「メイン・ストリート」という。現在、ウォール・ストリートは急速に回復しているが、メイン
・ストリーや地方経済の低迷の色はさらに濃くなっている。アメリカ経済の衰退はもはや
避けがたい状況となっている。 デトロイトでは、自動車産業の衰退で都市そのものも機能
しなくなっている。工場労働者だけでなく、高学歴のホワイトカラーの雇用調整もかつてない
スピードで行われている。自動車会社のビッグ・スりーは工場労働者だけでなく、2006年末から
今年の六月までに3万人のホワイトカラーを解雇。かっては最強の労組と言われたUAW
(全米自動車労組)も、雇用維待するための戦闘力を失ってしまっている。
その結果、ミシガン州の6月の失業率は15・6%と.全国平均の失業率を大きく上回っている。
デトロイトの失業率は17・7%とさらに高い水準になっている。同州の労働者の20%がフルタイム
の仕事を探しながらも、パートタイムでしか働けない半失業の状況に置かれている。 
デトロイトの住宅市場に回役の兆しはなく、七月時点で住宅価格はピークを付けた2006年初と
比べて45%下落し地域杜会の荒廃が続いている。 同州では、高賃金が期待できる防衛関係や
代替エネルギー関係や医療関係の企業の誘致を進めているが、目立った成果は見られない。 
職を失った人は悲惨である。あるクライスラーのエンジニアは年収11万ドルを稼いでいたが、
早期退職をした現在はパートタイムで働いており、週給はわずか500ドルである。
クライスラーの製造開発の責任者であった男性は、年収10万ドル以上あったが、早期退職を
して得た現在の仕事の年収は3万1千ドルである。職を失う影響は収人の滅少に留まらない。
アメリカの健康保険制度は企業が提供しており、仕事を失うことは健康保険も失うことになる。
▼ アメリカ社会の深刻な問題は貧困と格差である。最も豊かな国でありながら、貧富の格差は
深刻。その貧者に金融危機が直撃をし、その格差をますます大きくしたのである。貧困率
一年で12・5パーから13・2パーセントへ拡大した。「1人暮らしで100万円、4人暮らしで200万円」
以下で生活する人は4000万人と一年で、250万人も増えたという。医療も、教育現場もガタガタで
日本とは事情が全く違う。あと1〜2年後の地方が、これに近い状態だろう。これらをみると、
アメリカ一極の時代の終焉を示している。それだけ、この金融恐慌の影響は大きい。
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2813, ビッグスリーの救済は正しいことか?
2008年12月17日(水)
 アメリカのビッグスリーを政府が公的資金投入の検討を始めたというが、中長期的に
 見たときに正しい判断かどうか?
アメリカ国内のGMの一人当たりの人件費が、トヨタの1・3倍。
そこまで賃金を下げるべきという議会の案に組合が反対という。
   (字数制限のためカット09年12月17日)
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2007年12月17日(月)
2448, コマツの「コムトラックス」には驚いた!  ('-'*)オハヨ♪
一昨日の朝、何気なくBS・TVに回すと、コマツの社長が出ていた。
見たのは最後の10分位だったが、「コムトラックス」というシステムを紹介していた。
思わず、その内容に引き込まれてしまった。ブルドーザに機稼動管理システム「コムトラックス」
を標準装備し、遠隔での効率的な車両管理やきめ細かなサポートサービスを提供する。
建設機械の内部に組み込んだセンサーで車両のあらゆるデータを収集して自動的に送信する
システム。365日24時間、本社へコムトラックスから絶え間なく送られてくる情報は、コマツ自身、
販売会社、顧客の誰にとっても「宝の山」であるという。それを顧客・販売会社に公開して互いに
有益に使うのがミソである。一種のWeb2.0型企業ともいえるが、そのシステムなどで、現在では
利益率で米キャタピラーを追い越し、今後とも業績の向上が期待できる見込みが高いという。
TVの画像には、宇宙衛星により大きな地図上に世界中の稼動しているブルドーザの現在地が
表示されていた。 更に、それぞれのマシーンの情報 ーガソリンの在庫や、稼動状況、機械の
自己診断の記録、運転状況などのデーターが自動的に情報センターに送られてくる。
それらの記録を販売会社、顧客が交互に使用できるという。運転手のサボりは勿論、ガソリンの
不正使用や、盗難も即座に把握できるという。「何で小松のブルドーザが売れるのか?」と
思っていた矢先、納得をさせられてしまった。顧客にとってブルドーザの状況は一切、機械自身が
発信して本部が管理してくれる。機械自身がブログを持ち、自動的に発信するマシーンといえる。
これも情報化社会の先取りの事例ということ。こういうシステムは今日明日出来ることでない。
長年の企業全体のシステムの構築の結果できることである。ただただ、驚いてしまった。
せめて人間もブログは持たないと!IT革命は人類の20万以来の潮流の変化であり、
身近に感じ取れるのは個人的立場からみればブログと携帯電話だろう。 バイヽ(*´∀`)ノ
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2006年12月17日(日)
 2084, 森の生活         (。^0^。)ノ オッ(*^○^*) ハ〜 ヨウ
 『森の生活(ウォールデン)』岩波文庫     
現在、世界において「シンプルライフの生きかた」が見直され始めているが、
その元祖といえるソローが再び注目され始められている。1817年生まれのソローは、
1845年の独立記念日を機に、故郷のボストン郊外のウォールデン湖のほとりに移り住む。
そこに20代後半の2年あまりの間ひとりで過ごした生活を記したのが『森の生活』である。
シンプルライフの元祖といえよう。ソローは、この森の生活の中で、人間が生きるために
必要なものは「最小限の持ち物と最小限の労働だ」という結論に至っている。
ソローの‘自然のなかで質素に生きる’を至上とする考え方は東洋的である。
自然との共存を図ろうというソローのメッセージは、効率良く、便利な生活になった反面、
混沌として複雑化する世の中にあって、単純化した生活のあり方を提示している。
森林生活や農業の専業の人からみたら、何を今さら!と思うだろう。あちら側(都会)の人が、
二年余り遊びに来た戯言でしかないと。 しかしソローが読んで欲しいと思う対象は、
そういう連中ではない!まあ、そういう穿った理屈はやめておこう。都会生活につかれ
田舎の生活に憧れている自然派にっとは、桃源郷のような生活と思えるのだろう。
ーー
 ーまずは、印象的なところを抜粋してみるー
「私が森へ来たのは、思慮深く生き、人生の本質的な事実のみに直面し、人生が教えてくれる
ものを自分が学び取れるかどうか確かめてみたかったからであり、死ぬときになって、自分が
生きていなかったことを発見するようになりたくなかった。人生とはいえないような人生は
生きたくなかった。 生きるということはそんなにもたいせつなのだから。深く生きて生の精髄を
吸出し、もしそれがつまらなかったら、それをつきとめて、そのつまらなさを世の人々に伝えよう。
それがつまらないものであったら、それを身をもって味わい、その真相を報告できるようにしたい」
(上巻162-164頁)「われわれは存在するように見えるものを、存在するものと思いこんでいる。
 ・・ 永遠の時間には、確かに真実で崇高なものがある。
けれども、そうした時間や場所や機会はすべて、いま、ここにあるのだ。
 ・・『自然』そのものと同じように、一日を思慮深くすごそうではないか。
 ・・一日を精一杯、楽しく生きようと心にきめて。
 ・・生であろうと死であろうと、我われが求めるものは実在だけである」(上巻172-176頁)
「春の到来は、『混沌(カオス)』からの『宇宙』の創造であり、『黄金時代』の到来であるかの
ように感じられる。」(上巻256頁)私は私の実験によって少なくともこういうことを学んだ。
「もし人が、みずからの夢の方向に自信をもって進み、頭に思い描いたとおりの人生を生きようと
つとめるならば、ふだんは予想もしなかったほどの成功を収めることができる、ということだ。
そのひとは、あるものは捨ててかえりみなくなり、目に見えない境界線を乗り越えるようになる。
新しい、普遍的でより自由な法則が、自分のまわりと内部とにしっかりとうち立てられるだろう。
・・生活を単純にするにしたがって、宇宙の法則も複雑でなくなり、孤独は孤独でなく、
貧しさは貧しさでなくなる。・・君の生活がいかに見劣りのするものであろうとも、それに
まともにぶつかり、それを行きよ。  (字数制限のためカット 2013年12月17日