「魂とは何か」ー池田晶子

 何度か魂については、ここで何度か取り上げてきた。 
先日、「戒名は自分で付けよう」という本を読んで自分と、家内と、二人の息子の戒名を作ってみた。
そのためか? 近くの図書館で池田晶子の「魂とは何か」という本を見つけ借りてきた。
池田は二年前に亡くなっているが、この本は10年前のリメーク版である。
ここで頭脳明晰な池田晶子が、魂となると歯切れが悪い。それもあり、この一週間は、「魂」漬け。
  魂というと、「霊」と「私」「精神」「心」が浮かぶ。 
「心」は、TPOSで変化するが、「魂」は「産まれ、死ぬまで変わらない自分そのもの」。
池田は、ヘーゲルなどの論を借りて、〈魂〉は「考える」より「感じる」ものだと、「思考感覚」という。
魂の表現を、無理を承知で言葉にしている。 
  《その一部を抜粋してみる。》
ーひょっとしたら「〈私」が魂」なのでなく、「〈私〉の魂」という言い方もなく、「魂の〈私〉」に近い。ー
  *この部分も鋭く、というより頭の底からひねり出している。
ー以前、誰だったか神秘主義者の本を読んでいて、ひとりの人間を構成するものは、「肉体と精神と魂」という
 言い回しがあって、深く腑に落ちたのだったが、それは正確だろう。 肉体とは個別だが物体であり、
 精神とは物体ではないが非人称であるなら、その人を他の人ではなくその人たらしめている当のものとは、
 他でもない、〈魂〉ということになる。 なぜそれを〈私〉と、私は言わないのか。
〈私〉とは、おそらく、たんなる形式であろう。 あえて「たんなる」と言うのは、形而上的な形式と形而下的な内容とを、
 思考によって峻別した時、そこに残る内容は、形式からみれば、なお不可解なままだからである。 内容のない形式とは、
 論理としては可能であっても、思考が驚きによって始まったその振り出しへ戻れば、謎は依然として同じである。
 すなわち、なぜ〈私〉は、この人間なのか。 なぜ〈私〉は、この人間なのか。 なぜそれを〈私〉と、私は言わないのか。
〈私〉とは、おそらく、たんなる形式であろう。あえて「たんなる」と言うのは、形而上的な形式と形而下的な内容とを、
 思考によって峻別した時、そこに残る内容は、形式からみれば、なお不可解なままだからである。内容のない形式とは、
 論理としては可能であっても、思考が驚きによって始まったその振り出しへ戻れば、謎は依然として同じである。
 すなわち、なぜ〈私〉は、この人間なのか。なぜ〈私〉は、この人間なのか・・・ー

* 魂を明快に表現出来るなどありえない。 それでも何度か読み返しているうちに、少しずつ、その中心に近づいていく。 
我われは、大自然に触れたり、世界的な芸術作品をみた時に〈魂が振動した〉という。 
実際に私も何度も、いや何十回も経験している。 あの時の「魂の振動」という時の魂とは何だろうか? 
べネゼイラのテーブル・マウンテンのキャンプで見た夕景。 あの荘厳な景色で感じた魂の響き。 
人間を遥かに越えた大自然の時間の蓄積と、美と、荘厳な一瞬に、自分が、その中に融けて永遠と共鳴し、
「私が、いや私の先祖が産まれる遥か前から存在している命と魂が共鳴している」という瞬間の「魂」とは、何だろう。
登山好きの人は、それを直感しているのだろう。 宇宙の響きというのだろうか?

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2649, 閑話小題

2008年07月06日(日)

  *凄惨な事件のあとのマンションは?
昼飯に喫茶店に行って週間ポストを読んでいたら、以前から知りたいと思っていた記事に出くわした。
最近、週間ポストが面白い。 定年を迎えたシニア(団塊の世代)にも客層を広げたようだ。
セレブのバラバラ殺人や、江東区の凄惨なバラバラ殺人事件の部屋が、既に他の住人が入居をしているという。
まずは、セレブの殺人現場になった部屋は、女性が入っているという。
家賃は20万円だったが、5万円ダウンの15万円。江東区の方は、2万引きの7万円で、これもまた入居済み。
こういうイワクつきのマンションの販売価格は、大よそ2割のダウンが相場とか。
こういう事件があると、わざわざ値下がりを期待して部屋探しに来るという。
何とも感じないらしい。家主の方からしたら、事件のほとぼりが冷めるまで待つより、何割か下げて貸した方が得と
判断するようだ。地方なら、嫌がられるかもしれないが、都会は冷めているということだ。
いや借りる方に変わった人がいるということだ。絶対数が多いということか。

  *深刻なスタグフレーションへ突入?
原油穀物などの値上がりで、彼方此方から悲鳴が上がってきた。
イカ釣り漁船は集魚灯の明かりでイカを集めるために燃費が経費の4割もかかる。
さらに漁場が遠くイカも小型のため、操業すれば赤字となる緊急事態。
といって、この不景気の中にあってイカの市場価格をあげられないジレンマに陥っている。
全漁連は「このまま高騰が続けば漁業経営者の3割が廃業に追い込まれ、漁業生産の40%が減少する」
と危機感をあらわにしている。 これは、決して日本だけでなく世界中で大問題。
私の宿泊業も、大よそ売り上げの10?が水道光熱で灯油はその三分の二を占めている。(7?)
もろに純益が吹き飛んでしまうことになる。 同業も同じ条件なので泥縄的に対処していけば、
収まるところに収まるだろうと楽観的にやれるほど、甘くはない。それも、まだ序曲でしかない。

  *ツタヤのネットレンタルに入会してみた
ツタヤの一ヶ月の無料レンタルに借りてみたが、心配したとおり、はまってしまった。
週に二本で、月に送料込みで2000円のレンタル料が高いとみるか、安いとみるかだ。
以前、会社の事務所の至近距離にDVDのレンタルショップ開店してから5年間、週二本を借りていた。
二年前に閉鎖したが、実のところホットした。昼休みの食事の途中にあり、金曜日には寄らずには済まない。
年間100本、5年間で500本はみたことになる。 ネットで、ツタヤのHPをみると、いくらでも観たいものがある。
このレンタルシステムがよい。見終わった後に同じビニールの封筒で送り返すと、やはり二本送ってくるのである。
これとWowowに入っているのだから、ますます馬鹿になる。 
 これ以上は、なりようはないか! コテコテの馬鹿か? ったく。

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007年07月06日(金)
2285, バーナム効果

  詐欺師や占い師や、健康食品のネズミ講などで、相手を信じこませる言葉のつかい方に、
 「バーナム効果」という手法がある。  
   ーネット百科辞書の「ウィキペディア」によるとー
 ー
「誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、
自分だけに当てはまる正確なものだと捉えてしまう心理学の現象」という。
アメリカ合衆国の興行師・バーナム にちなんで(心理学者のポール・ミールによって1956年に)命名された。
アメリカの心理学者バートラム・フォアの名をとってフォアラー効果ともいう。
  ー
被験者に何らかの心理テストを実施し、そのテスト結果を無視して以前に被験者とは無関係に用意した
「あなたはロマンチストな面を持っています」
「あなたは快活に振舞っていても心の中で不安を抱えている事があります」
といった診断を被験者に与えた場合、被験者の多くが自分の診断は適切なものと感じてしまうが、
これはバーナム効果によるものである。 占いや超能力(特に千里眼など)、霊視、血液型性格診断といった
試行や現象が科学的根拠がないにも拘らず持っている説得力の大部分は、このバーナム効果で説明出来るとされる。
 ーー
「フォアの実験」
1948年、フォアは学生たちに性格テストを実施し、そのテストの結果に基づく分析と称して下記の文を与えた。
フォアは学生たちに分析がどれだけ自分にあてはまっているかを0(まったく異なる)から5(非常に正確)の段階で
それぞれに評価させた。このときの平均点は4.26であった。その後、フォアはどの学生にも、
次のようなまったく同じ分析を与えていたと種明かしをした。
『あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります。
また、あなたは弱みを持っているときでも、それを普段は克服することができます。
あなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。
外見的には規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよしたり不安になる傾向がある。
正しい判断や正しい行動をしたのかどうか真剣な疑問を持つときがあります。
あなたはいくらかの変化や多様性を好み、制約や限界に直面したときには不満を抱きます。
そのうえ、あなたは独自の考えを持っていることを誇りに思い、十分な根拠もない他人の意見を聞き入れる
ことはありません。しかし、あなたは他人に自分のことをさらけ出しすぎるのは賢明でないと気付いている。
あなたは外向的・社交的で愛想がよいときもありますが、その一方で内向的で用心深く遠慮がちなときもあります。
あなたの願望にはやや非現実的な傾向のあるものもあります。』

フォアはこの文章を占星術から構成していた。 次のような条件を満たす時、
被験者はテストの正確さにより高い評価を与える事が後の研究でわかっている。