2530, 千年働いてきました ー2
2008年03月08日(土)
                    ー読書日記
第四章の 日本版バイオテクノロジーの発明
 の「売り手、よし買い手、よし羊よし」が面白い。
  その要約とは・・・
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ベルトコンベアーに送られる前、羊たちは一匹ずつ仰向けにされ、脚の付け根あたりに注射をされる。
オムツ代わりに付けられるのが、テニスのネットみたいな白い網で包まれて、その後に放牧される。
それからひと月ほどして、ネット羊たちはまた作業場に舞い戻ってくる。
そのネットをオーストラリア人の作業員が二人がかりで外してみたら、すっぽんぽんの羊が姿を現す。
羊の形をしたウールのコートが、つるりと出てきたようなものである。SFチックである。
「羊の毛刈り」という重労働を劇的に軽減することに成功した企業の名は「ヒゲタ醤油」。
創業390年という醤油製造業の老舗中の老舗が、伝統的な「醗酵技術」を応用したものだった。
 羊の毛刈りは牧畜関係者にとって、頭の痛い問題だった。中腰で行う重労働で賃金は安いが、腰をやられてしまう。
そこでオーストラリア連邦研究機関が目を付けたのが、ヒゲタ醤油が開発し、大量生産化に成功した薬剤。
そのキッカケが抗がん剤で頭髪が抜ける現象であった。それを逆用した薬剤を作ったのである。
それで、毛が散らばらないようにネットを付けたのである。
その薬剤は毛が直ぐに生えてくるようになっている。薬代は一匹あたり50円位で毛刈り代の10?ほど。
 ーー
面白いものである。 ヒゲタの社長がいうに「醤油は微生物をうまく利用して商品を作るわけだから、
オールド・テクノロジー。同じバイオだから出来るんじゃないかと、バイオに進出したわけです」
このヒゲタ醤油も創業が1616年、あと数年で400年になる。

携帯電話一つを取ってみても、
「折り曲げ部分」福田金属箔粉工業(創業307年)
「振動装置」田中貴金属工業(創業121年)
「液晶画面用鏡」村上開明堂(創業125年)
「人口水晶発信器」エプソントヨコム(創業116年)
と、まさに「老舗製造業」の伝統技術の集大成といった趣なのである。
そんな「老舗企業」21社の5つの共通点を著者は以下のように指摘している。
 1 同族企業だが外部の優秀な人材の登用を躊躇しない
 2 時代の変化に対応して事業内容は変化させてきた
 3 創業以来のコア家業は譲らない
 4 分をわきまえ好景気でも投機をしない
 5 「町人の正義」を実践してきた
「自分の本分を守るり、変化には弾力的に、投機などせず、婿養子などの血を躊躇しないでいれる」ということだ。
そういえば神社仏閣、いや天皇も仕事に一種とみれば・・・・ 宇宙のゴミの中の微生物の話は止めておこうか!

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