2004年12月25日(土)
1362, 金に泣く人笑う人 −2    読書日記             
第五章の「男と女の金の相関」
ー「ヒモのAとイロのB」の内容が面白く、かつ悲しい。

 まずはヒモの話である。
ーヒモのAはなんの変哲もない二十代後半である。ホストクラブで働くような男ではない。
 むしろ風采の上がらないセールスマンといったタイプである。
 この男に18人の女性がどうして貢ぐのか。いくら考えてもわからなかったが、何回か会っているうちに、
 この男には特殊の偽善性があるのがわかった。虚言癖がごく自然に具わっているのが徐々にわかった。
 その理由は、Aと会う場所がその都度変わっていて、彼はどの雰囲気にも自然に溶け合っているのだ。
 場所は喫茶店という外の店でなく、常に違った女性の部屋であった。
 OL,ホステス、居酒屋の女将、学生、看護婦とさまざまであった。彼はどの部屋にも溶け込む男であった。
 どの部屋にもピッタリと合っていたものだ。 ヤドカリ男は見事なカメレオン野郎でもあった。 
 転々と、2〜3日で次の女の部屋に移っていくのだ。 だから、平均して二ヶ月に一回の割合になる。

 彼は一貫して同じ職業を名乗っていた。外資系の薬品会社のセールスマンであり、二ヶ月に一度は日本の土を踏む、
 という生活をしていると偽っていた。18人の女性はまんまとこの口車の乗せられたことになる。
 大阪、京都、神戸、姫路といった具合に女性たちを分散していて、一日の仕事は、女性の部屋から他の女性に電話を
 短く入れることである。 偽の国際電話であることはいうまでもない。女達はこの電話を頭から信じていたのだ。
 小道具としては、洋書が二冊と外国のマガジン一冊で十分だといっていた。
 海外に出たこともないのに、海外の情報に精通していて、彼女たちに外国の街の模様をさりげなく寝物語にしてやるだけで、
 久しぶりに帰ってきた彼を暖かく迎え入れていた。パリ、ロンドン、ニューヨーク、ベルリン、フレンツェ、サンフランシスコ、
   サンパウロ・・・といった地名が女性たちを操るのはかれは十分に熟知していた。
 女性から見れば、自分の部屋にいる以外は外国暮らしをしていると思えば安心することを知り尽くしていたのだ。

 このAには一つの隠し玉があった。それは女性の部屋を立ち去る時に、必ず女性の宝物「宝石、指輪の類)を
 一個失敬していくのである。大した額のものではない。この持ち出した品物は次の女性のプレゼントをするのだ。
 B子の物はC子へ、C子の物はD子に、とリレーされていくのだ。 香水の場合や、ベルトの時もある。
 このさりげないプレゼントで彼女たちは十分に満足が与えられるという。
 一種の天才色事師といえる。これほど効率的なプレゼントはない。
 このAは現在何をしているかというと、創作に励んでいるいるのである。作家を目指しているようだ。・・・・
 ーーー
 以上だが、この女性版が飲み屋やクラブのママさんである。多くの鼻の下の長い男や、若い男を、そして旦那を操るのである。
 クラブ・スナックの世界は、間接的な仮設自由恋愛の世界である。自分と手伝いと称したアルバイトのスタッフの女性を、
 使い分けて自由恋愛世界を演出して一夜を遊ばせる世界である。

  売春するわけでないし、ただ話をして、歌を歌い、踊るだけの世界である。
  世界広しといえども、日本だけのシステムである。 その中では、ホステスやママは数人の男と??、
  先ほどのヒモのような綱渡りをしているケースも聞くが。 大分は真面目なケースが多いが?
  次はイロの方である。
            − つづく
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