2004年11月10日(水)
1317, ベスト・エッセイ集−1

’03年度版ベスト・エッセイ集「うらやましい人」がなかなか面白い。
何冊か図書館で借りてきた本の一冊で、殆んど読まないで返そうとした本である。
この地震で図書館が閉館していた為に返しそこねて手元にあった。
何となく新幹線の中で目を通したところ、それぞれが面白い。

 そこで、後書きをよく読むと、毎年、日本エッセイスト・クラブ日本文藝家協会が、
前年の日本の雑誌に掲載された膨大な数のエッセイのなかから、それぞれ「ベストエッセイ」を選び、
単行本化しているものであった。 エッセイ好きを大いに楽しませている本で、20年間も毎年刊行されているとか。
なるほど、面白く味わい深いのは当然である。
もっと早く知っていれば、必ず毎年ごとに購入したと思わせる内容である。

 作家のみならず、多くの分野の専門家や素人の作品まで掲載してあってミックス感覚で飽きないのも良い。
著名な作家や経営者や政治家が並び、文章のプロとしての充実感や多くの分野の深い内容が書いてあったで読み応えがある。
 このベスト・エッセイ集のおもしろさは、エッセイという切り口から、
色いろな人の心が浮き上がってくることだ。 まとまった作品群を読んでいると、
それぞれの世界が、それぞれの内側からわかってくるような錯覚に陥ってしまう。
 この本に掲載された文のなかから、たびたび国語の入試問題が出題されていて、
教育関係者では知らない人はない本でもある。 60〜70編のエッセイが収録されており、
多くの世界を味あうことができる。'04年版も刊行されているので、早速図書館で探してみる。
まだ半分しか読んでないので、その後になるが。

 もののプロセスが見えにくい時代の中で、エッセイは、日頃見えないプロセスや
人の感情の機微や揺れを描き、隠れた世界をかい間みることができる。
短文が心に残るのは、それぞれの世界を凝縮して見せてくれるためだ。
                       続く
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