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2005年09月14日(水)
1625, 戦略的思考について−2

アインシュタインは、質問の力について、「もし自分が殺されそうになって、助かる方法を考えるのに
一時間だけ与えられるとしたら、最初の55分は適切な質問を探すのに費やすだろう」と述べている。
それだけ最適な質問には、莫大なエネルギーと力が秘められている。 その事態に対する『隠された質問』
を探しだしさえすれば、問題の殆どを解決したことになる。 それは思考についても同じことがいえる。

問答による思考発展として2500年前のギリシャで、ソクラテスの対話による教育手法が生まれた。
現在もソクラテスメソッドとして、主流の教育方法になっている。
18世紀にアメリカで大人数の教育が世界に伝わり、ソクラテスメソッドを破壊してしまった。
これは高等教育を普及させるのに役にたったが、個人の教育の立場ではギリシャ以前に立ち戻ってしまった。
その為に教育とは、生徒に情報ー知識を詰め込むことと考えてしまうようになったが、
教育という言葉の語源の『エデェカーレ』は、本来は‘引き出す’という意味がある。

古代から教育者が、生徒自身から持っている知覚や洞察力を引き出す方法で、
ソクラテスによって名が知れるようになったテクニックである。
先生が鋭い質問を生徒に投げかけ、彼らの持っている知覚を試して、説明するように仕掛けることである。
これは闊達な対話を通して進められる教育形式である。はじめに結論を言わないで、対話の中から結論を見出していく。

私が学生時代に武澤ゼミで訓練された「ケースメソッドーケーススタディ」は正にこれであった。
多彩な事例問題を毎週二回与えられ、それに対して先生とゼミ仲間同士が問答形式
ソクラテスメソッド)で、ある結論に導いていく方法である。
与えられた(一枚の紙の)ケースに対して、はじめはアトラン. ダムに論じ合い、
最終的には全員で一定の結論を導くという方法である。
 その効果は
・不確実性の内容の中で、的確な意思決定ができる
・自由な質問(ソクラテスメソッド)を使い、論理を引き出し問題を明確にしていくプロセスの学習
・ロジック構築のプロセスの学習  である。

内容が「思考」に偏ってしまったが、戦略についてに戻そう。
戦略は鳥瞰としての絵図である。 その絵図の構図を練ることが戦略思考である。
それも地頭で考えることが戦略思考にとって最も要求される。
戦略とは、限られた資源を集中して最大の効率を図ること。
その為には、時流とその方向を見極めることが求められる。
わたしが最近ゲンキがないのは、デフレのすざましさを読み違えたことだ。
インフレ脳でしか考えてなかったことか!戦略思考など偉そうなことは書けない立場のはずだが!
冷静に鳥瞰しなくてはならない時期のおさらいである。

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