2004年09月12日(日)
1258, 人生のセイムスケールとは?

最近、個人のホームページが、注目を始めているという。 
趣味を写真や文章で、個人のホームページに表現し始めてきた。
このHPもそうだ。10年も経てば、(あくまでも私にとってだが)膨大な資料館になる。
自分の情報基地を個々人が持ち始めて、ここにきて時間と供にカタチになり始めてきた。
ネットウエーブをしていると、最近思わず唸るようなものに多く行き会う。

ほぼ毎日、新聞の死亡欄を見ているが、自分の年齢の前後から下を見て、その数を数えている。今日は一人もいないとか、
5人とか。大体15?である。 歳を重ねると間違いなく、その比率がドンドンあがっていく。

山田風太郎の『人間臨終図鑑』に、年齢別に亡くなった有名人と行蔵が分類してある。
山田風太郎が既に先陣をつけていたことを知らないで、2001年7月9日から実行していた人がいた。
途中で風太郎の『人間臨終図鑑』に気がついて、その時から勝手に二代目・風太郎として、その遺志を継いで、その後、
こつこつと書き溜めて1200人以上になろうとしている。 
この人の趣味のようだが、そのプロセスで多くの人の行蔵と魂を知ることが可能になる。実際始めたら病みつきになるだろう。

サロンに、このホームページのアドレスをコピーしておきます。とにかく面白い。
自分と同じ年齢をクリックすると、その歳で亡くなった人が出てくる。何か自分が情けなくなる感が、しないでもないが。
この作業は、膨大な時間とエネルギーを使う作業だ。好きでないと出来ない。

この人の最後の文章がよい
ー「大きな物語」の喪失した現在、「小さな物語」の集積とネットワークによる
「終わりのない人生の森の物語」は、どこへ向かうのだろうか。ボクにはわからない。
ただ言えることは、この「おつとめ」をするためにボクは今生きている。

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セイムスケール(空間のセイムスケール)

建築の世界では、新しい建物を計画する際、よく知られた古今東西の建物の平面図や
立面図を同じサイズ、スケール(縮尺)で並べて空間の大きさや高さ、
そしてコンセプトを比較するセイム スケールというプレゼンテーションの方法がある。

ボクも処女作「仙録苑」が竣工したとき、その処女作とサンピエトロ寺院や
コルビジェサヴォア邸など古今東西の名建築とのセイムスケールのドローイングを
記念に作成した(図-1)。これから建築の世界で生きていく宣言でもあった。 25歳の時である。
空間のセイムスケールを最初に作ったのは誰だろう?日建設計の林昌二さんに聞いてみよう。

ー人生のセイムスケール(時間のセイムスケール)それなら時間のセイムスケールを作ってみようと考えた。
人生のセイムスケールである。時、あたかも2001年7月9日。

古今東西・老若男女の「存在と精神の系譜」を編年体でも、アイウエオ順でも、概念別でも、分野別でも、地域別でもなく、
かといっれ恣意的な序列や順序、ランキング形式でもない、この世に存在した生涯日数のみで再配置してみる
というもの。それにによって絶対的歴史年やジャンルの枠を飛び越える。

当初、人生の生存期間(享年/行年)によるこの分類は、不遜にも世界初のものだと思って自負していた。
しかし、作業を進めて半年後、山田風太郎の『人間臨終図鑑I, II, III』(徳間文庫)に出会ってしまった(図-2)。
愕然とした、すでにやられてしまっているのである。臨終場面においては、先人の名著に敵うものではない。
この日を以て山田風太郎の信者となった。

勝手に二代目・風太郎として、その遺志を継ぐことにした。
できうる限り、即物的にデータベースとして使えるよう二代目は方向転換。「一千一人物語」を目指すことにあいなった。
さりとて、人名辞典を作りたいのではない、「存在と精神の箱」を作りたいのです。
この「人生のセイムスケール」はジョゼフ・コーネルのように実は「箱」を作って
いるのです。それは「私書箱」であり「死所箱」とでも云ってもいいかもしれない。

「1000人供養」のつもりで写経をするようにコツコツ作業を初めて1年半、2004年元旦にはいつの間にか1191人に達していた。
次は「三千世界」(三千世界の烏を殺し 主と朝寝がしてみたい )に向かうことになってしまった。
かわりに、死ぬまでつぶせる最高の「おつとめ」を手にすることになった。
ライフワークである(ボクが死んだら誰か後を継いでくれないかなぁ)。
大きな物語」の喪失した現在、「小さな物語」の集積とネットワークによる
「終わりのない人生の森の物語」は、どこへ向かうのだろうか。ボクにはわからない。
ただ言えることは、この「おつとめ」をするためにボクは今生きている。
 
http://www009.upp.so-net.ne.jp/artrandom/samescale/index.html

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