ここでも、何度か酒の失敗について書いてきた。 しかし楽しい酒はこれまた格別よい。
致命的な大失敗をしても仕方が無いと割り切れるほど、酒は日常の制約や退屈さから解放をしてくれる。
「酒はモラルの休暇」とは、よく言ったものだ。 世界の人たちは酒の少々の失敗は認めてくれる。
歴史を振り返っても、どの社会でも飲めや歌えの大騒ぎを許容する祭りや行事があり、その日のことは、大目にみられてきた。
ただ酒で抑制が解放されてしまい、殺人や、思ってもいない浮気や、失態も起こる。
「しらふの人間が心の中で思っていることを、酔っ払いはベラベラと話してしまう」ことが、酒の一番の欠点だろう。
そういう不節制にも教育的?価値もあるという。 少し無理はあるが、直接跳ね返ってくる身近な事件?になるからだ。
あまりに真面目くさった人生も、これまた面白くも可笑しくもない。 下戸の人は、酒を飲んで大騒ぎをしている高揚した
楽しさから世界を感じる至福を知らないまま生涯を終えるのである。 
普段の生活の中に、自分を解放する夕時の一時の時間も重要性である。 

一般的にはどの世界もアルコールは日常の生活に入りこんでいる。
だから、どの街にも飲み屋街が繁華街にあり、多くの人が頻繁に出入りする。スペインにはバールが、何処にいってもある。 
値段の安い西欧居酒屋である。 そこには、誰もかしこも入り浸っている。
長い歴史の中で、出来上がった庶民の娯楽施設だが、そこで家族や友人同士が夜遅くまで話し合っている。
カフェテラスのように店の前にも席があって、多くの人が親しそうに話しをしているのを見ると、奇異な感じがする。
バイロンは「理性があるからこそ、人は酔わねばならない。人生で最高のものは、けだし酩酊なり」と、いっている。
  酒に十の徳あり(酒には十種の長所がある)という。
 百薬の長、 寿命を延ばす、 旅行に食あり、 寒気に衣あり、 推参に便あり、
 憂いを払う玉ぼうき、 位なくして貴人に交わる、 労を助く、万人和合す、 独居の友となる。

酒は、つらい日々ほど、その時間だけは美味い酒で、楽しい最高の気分になれる。美味しい酒の味は、その時の酒である。
一時的に天下を取ったような気分に慣れるのである。 達成感など実際の喜びを感じるには長い年月と、汗と涙が必要となる。
しかし、酒は酔いという作用で、その喜びを与えてくれるのである。 だから、恐ろしいのである。

 まあ、よくぞ、これだけ、酒で失態をしたものだ。 しかし、その時々に本当に美味い酒を飲んできた。
これが、もしかしたら、人生で一番の価値あることだったかもしれない。
 たまには大騒ぎをするのも良いじゃないですか、ということだが、「御前の場合は、それさえなければ、な〜」
と何度言われたことか。 そして自戒しとことか! 
 でも、私から、それを取ったら毒の無い河豚みたいなもの。
  棘の無いバラ、それともノンアルコールのビール? それにしても、酒を飲んだ楽しい思い出の多いこと。

先日、亡くなった赤塚不二夫の本を読んだ。 今度書くが、明らかにアルコール依存症
新宿を中心に飲んで騒いだ具体的内容が書いてあるが、想像を絶した酒騒ぎである。
酒を飲んで漫画の世界に入り込んでしまうのである。
カリブ海のホテルの一つや二つ分は飲んだと言うから、数十億円は飲んだのだろう。
 なら、アル中になるわけだ。 でも、面白かっただろうな、う、ら、や、し、い !  そうでもないか?
                 

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