2005年06月14日(火)
1533, タイソンの終焉

一昨日の昼、タイソンとマクブライトとの(ノンタイトルだが)、
ボクシング・ヘビー級の一戦がwowowで放映された。

6回終了後、試合放棄でタイソンが敗れたが、試合後のインタビューでは涙を流して、
「もう気力が出てこない!」と言ったのが印象的であった。一時代を築いた男も、これで終わり。

相手のマクブライトは、明らかに2流選手。肉体は贅肉でブヨブヨ、2メートルの巨体で出来る戦術は
小柄のタイソンに覆いかぶさって肉体的な疲れを待つだけ。それに引っかかった平凡な試合であった。
あの肉体に突き刺すようなフックやパンチは影を潜めていた。 終わりはこんなものだろう。

あと数日で39歳というから丁度引退時期。20年前の野獣のような試合も、今は昔の話。
解説者のコメント「野獣が人間に戻ってしまった!」が、言いえて妙である。
日本での、まさかのKO負けや、イベンダー・ホリフィルドの激戦を思い出す。

あるHPに歴代のヘビー級の強さのランキングがあった。もちろん時代が違うので、主観なのだろうが。
タイソンと、ロッキー・マルシャーノが入れ替えれば、こんなものである。

やはりモハメッド・アリは一番である!
そういえば、この試合の前座でアリの娘が女子ヘビー級の試合をしていた。
娘が勝ったが、アリ本人も会場にいた。

このHPのランキングの殆どの選手を子供の頃から知っていた。
当時は、ボクシングと野球と相撲ぐらいしか、スポーツはなかった。丁度、白黒TVが出はじめた頃に、
ジョー・ルイスや、ロッキー・マルシアノなどの過去の映像が流されていた。
 現在は、歴代に残るようなスター選手はヘビー級にはいない。
 ーーーー
ー歴代ヘビー級ランキングー

 1位   モハメド・アリ
 2位   ジョー・ルイス
 3位   マイク・タイソン
 4位   ジャック・デンプシー
 5位   ジョージ・フォアマン
 6位   ジョー・フレイジャー
 7位   ジャック・ジョンソン
 8位   ロッキー・マルシア
 9位   ラリー・ホームズ 
10位   イベンダー・ホリフィールド

マイク・タイソン

スーパースターの光と影。スポットライトを浴びる量が増えれば増える程、影もまた大きくなっていく。
マイク・タイソンほどその影の部分が強調されるボクサーもいないだろう。
マイケル・ジェラルド・タイソンの世界デビューはセンセーショナルだった。
86年11月トレバー・バービックを鮮やかな2回TKOに下し、WBC世界ヘビー級王座へ。
20歳4ヶ月の史上最年少ヘビー級王者が誕生した。
アリ・ボクシングに欠けていたもの−パワーと迫力を再びヘビー級に持ち込んだ
タイソンの登場は、時代の潮流として必然だったのかもしれない。

87年にはWBA王者ジェームズ・スミス、IBF王者トニー・タッカーを破り3団体の王座を統一。
90年2月、”世紀の番狂わせ”でジェームズ・ダグラスに10回KO負けで王座を失った。
私生活の乱れから、ボクシングにも狂いが生じたのだった。
ついには婦女暴行罪で収監され、4年間のブランクまで作ってしまう。
95年に復活したタイソンは、翌年3月フランク・ブルーノを3回TKOで破りWBC王座にカムバック。
半年後にはブルース・セルドンに1回TKO勝ち、WBA王座も手に入れた。
そして11月ホリフィールドの執念の前に番狂わせの11回TKO負けを喫する。
97年の再戦では有名な”耳噛み事件”で失格負け。ライセンスもサスペンドされた。
99年のカムバック後、順調に白星を積み重ねルイス挑戦も視界に捉える位置に上がって来た。
しかし、ここに来てまた私生活のお騒がせが増えている。
ルイス戦の勝敗の行方は、タイソンの”自らとの戦い”の如何によると言ってもいいだろう。
ー52戦48勝(42KO)4敗1NC。

・・・・・・・・