2004年06月08日(火)
1162,  「金融資産が狙われている」
 
ー日本の恐ろしい未来ー     
 ビジネス社 ー長岡中央図書館 2004年0606

高橋乗宣の最新の書が面白い!
ー 概略を書いてみるとー
「2004年・日本経済」で9月以降の経済の後退と国債暴落と、
日銀による国債の直接引き受けによる日本経済の破綻の危険性の増大を指摘しているが、
 この書では、9月以降ドル暴落の見込みが高まっていることを指摘し、現在デフレのど真ん中にあり
地方から疲弊した日本経済もより深刻な状態が予想されると一歩踏み込んだ言い方をしている。

これからの日本では、個人個人が自己防衛しなければならない。
双子の赤字が限界に達し、ブッシュの大減税により無理やり上昇させた
アメリカ経済は9月以降必ず失速し、ドルの暴落を呼び、アメリカ経済は縮小していくだろうとしている。
グローバル市場を管理することは不可能であり市場の実勢に任せざるを得ない。
 
日本経済がデフレから脱出するためには、実質を伴った財政出動と、適切な規制緩和が必要であり、
適切な規制緩和は新しい市場を作り出す。
・今の日本の僅かな株高は、アメリカの演出したもの? あと半年で終了ー大統領選挙まで 
 アメリカの景気は幽霊景気であり、ドル安、株安、国債安というカタチで崩れていく。
 まもなくアメリカ経済の大規模な減税効果は剥げ落ちる
・日本の地方の空洞化は一段と激しさを増す 地方経済はますます土砂降りがつづく
・深刻なデフレ経済はますます激しくなる
・いまの地価の下げ止まりは一部の地区でしかない
・デフレもリストラも激しさを増す人員や設備の過剰感は消えていない
・ドル安基調が本格的になるだろう円が80円をこえる場面もありうる
国債の発行が続いていくと、株価の暴落をまねく株価は7000円割れも考えられる
・地域金融のショックがアチコチで生じて、中央に逆流の可能性あり

ー感想
経済ファッショの足音が聞こえてきたといってよい。
なし崩し的に国民の金融資産を「収奪」「劣化」させようとする政策に切り替えてきているようだ。
国民一人一人が自己防衛をしなくてはならない時代に入ってきたようだ。

「職業を持っていること自体がステータスになる時代になる」というが、そこまで本当にいくのか。
景気悲観論者でバブル期から景気の先行きに警告を発してきたが、流れとしてみていて
彼のいっていることは間違いはない。
徳川幕府から明治政府への転換期、第二次大戦の終戦時期、と比べて今回の方がはるかに大きい
転換期であると考えれば、彼がここで述べていることはけっして誇張ではない。
情報化と、それと伴う経済現象としてのデフレのインパクトは社会の根本を
変えようとしている。情報格差による弱肉強食はますます激しい時代になってきている。
面白いといえば面白いが、大部分の弱者にとっては厳しい時代だろう。
現に、政府系金融機関がかりに融資しても、その資金が大手銀行への債務の支払いへと
還流する仕組みが出来上がっている。大手銀行にしてみても、地価が下がっている以上、
貸し剥がし'をせざるを得ない。そうしないと不良債権になりかねない構図になっている。
地方経済は目詰まりを起こし、壊死をしているのが現状だ。 これがデフレの恐ろしいところである。

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