「金と口の出し方」−2

ー「金と口の出し方」の問題に対して、更に書き写してみよう。
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「金は出すが、ロは出さない」とか、「金は出すが口も出す」とかいう言葉がある。
それで、この金と口の出し方について、いろいろ考えて見た。
・まず、金を出す方の立場から。
金は出すが、口は出さない、という結構な人。 寄附などこれに当たるだろうが、
ほかにそんな奇特な人はまずいないだろうと思われるが、それが、意外にある。銀行の預金者。
それから、日本の納税者。
ただし、政治献金を出す大企業も、口先ではそんなことをいうが、むろん大嘘で、
ほんとうは次項に属する。金は出すが、口も出すというのは、社員に対する社長。
テレビのスポンサー。それから、たいていのパトロン
金は出さないが、口は出すという勇ましいのは、ろくに税金も払わないで、
何とか国家に文句をつける方々。もっとも一方で、政治家とは公然脱税業であると心得て、
これもほとんど税金を払わないくせに、国防だの教育だのに、大きな顔をして口を出す政治家が
ワンサとあるのだから、アイコである。
金は出さないが、口も出さない、というのは、アカの他人である。

・次に、金をもらう方の立場から。
金は出せ、その代り口を出してもいい、というのは、たいていの場合、女房がそうだろう。
正確にいえば、口を出してもがまんするしかないということだろうが。
金は出せ、口を出すな、というのは、セガレや娘が親に対していいたいせりふだろう。
金を出さなくてもいい、その代り口も出すな、というのは、アカの他人に対しては、
こういうよりほかはない。
金は出さなくてもいい、しかし口を出してくれ、という人。
こんな人はいない。                   『半身棺桶』
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以上だが、
これはゲゼルシャフトゲマインシャフトの混同の話になる。
(この難しそうな話は後日、読書日記で書いてみるつもり)
己と他者の関係の話にもつながってくる。
一般的に、他人の知恵を借りるのはタダというのが一般の通り相場である。
それを如何に他者(本)から引き出し、それを己の知恵に摺りかえるのが読書の効用である。
話は変わってしまったので元に戻す。
「金は出さないが知恵を出してくれ」ってのが、何人かいる。
無料コンサルタントを当然のように求めてくる人。
それも、交互の利益になるならいいだろうが、そうじゃない人の場合・・・

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