ヌーの河渡り

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 このツアーに参加して13年半になる。
この一連は、私が撮った写真の最高傑作になる。
フィルムのため写真は粗いが、緊迫感がある。

 言葉も、写真も、実際の現場での見聞は迫力が違い、伝えるのは無理と
思っていたが、カメラ機能の進化で、最近の投稿の写真が、私の見た現場を
再現してくれるほど、素晴らしいものがある。2~3%、それでも10~20%は
伝わってくるようだ。出来るうちに出来ることをしておくこと! 

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H1109ヌ-の大移動・河渡り 

プロのついた、それこそ命がけの本格的なサファリであった。
ヌ-の河渡りはサバンナのドラマの究極といってよかった。
ヌ-が河辺に数千頭湧いて出てくるように集結する。
そして先頭のシマウマとヌ-が恐怖と勇気の狭間で渡ろうと岸辺をのぞきこむ。
いざ決行かという瞬間、その周辺の数百頭がその緊張の為、全ての行動が停止する。
時間が止まるとは正にこの事を言うのだ。そして(恐怖の為)ほとんど決行は中断する。
その瞬間よりその集結がくずれて、他の岸辺に各々が散っていく。
それを遠くより見ているのが何ともいえなくスリルがあり面白い。
とある時、終日見ていて一日に一回くらいの割合で、土煙が突然舞い上る!
スワッとサファリカ-に飛びのって河渡の40~50m位はなれたブッシュにかけこみ、
隠れながら生死のドラマを見るのである。茶色く濁った水の中で、ジッとワニたちが
静かに身構えている。彼等は岸の上の崖まで上れきれず何度もすべり落ちて弱っていく
ヌ-を待っている。そして頃合いをみて、突然おそいかかり、水中に引っぱりこんでいく。
反対に何度も滑り落ちながら、それでも最後に助かるヌ-。

 このサファリで都合四回の河渡りをみたが、三回目に見たのがすさましいドラマであった。
シマウマとワニの死闘であった。ヌ-の一群の河渡りに目を奪われていると、向こう岸の少し
手前の岩場で何やらシマウマがもがいている。ワニに襲われていたのだ。
浮き沈みしているうちにだんだん河の中央に引きずりこまれていく。
現地のアフリカのドライバーがもう逃げられないと言っている。そして最後に沈み、
さてとヌーの一群に目をやると、突然そのシマウマが浮かび上がると岸めがけて泳ぎ出した。
それをワニが追いかけ、背後より首に被りつく、それもふりほどき、岸に50cmの差で逃げきった。
自分の目でこれだけの“生”のドラマをこの目で見るのは初めてであった。
そしてもう二度とないのではないかと思った。さらに感動さめやらぬうちに移動しようと
サファリカーに乗ったところ、そのシマウマが一匹、呆然と草原にたちつくしていたのが見えた。
写真をとっていると仲間の二匹が何と!むかいにもどってきたのだ。そして首と首をからめて
喜びあっているのである。まさしくドラマのラストシーンとしてのクライマックスであった。
こういう場面を我々でも見れるのが何よりも不思議であり、その時の実感であった。

 朝八時より夕方の六時のサファリを終えて毎日、ロッジにサバンナの土道を80kmの
スピードで夕日をあび一時間かけて帰る。その時の景色がすばらしいのだ。
サファリカーの後部の座席に立って上半身を車の上より出し、両手を開げて太陽に向かって
つっぱしるのである。50~60kmの地平線が360度みえる。そこに広がるヌーの大群、
そして生まれて初めてみる夕陽の色のすばらしさ、至高そのものといってよい。
タイタニックにヒロインが夜半に舳に立ち太西洋の風を受けるクライマックスの場面があったが、
その時、私のほうがあの気分より上だと、何回も何回も確認した、それも数日にわたり。
私の人生の大きな心の財産になったサファリであった。