「エリック・ホッファー自伝」中本義彦訳
   * すべてを読書と思索に明け暮れた「沖仲仕の哲学者」
 10年前に購入して流し読みをしたまま、本棚に眠っていた本。
流し読みなど著者に失礼と思わせる内容。いずれの場面も、臨場感があり、
ホッファーの、その時々の世界に引きこまれる。〜アマゾンの商品説明より〜
《「生きる」ことに真摯であるということは、これほどまで波乱に満ちた人生
 を送るということなのか。本書は、数奇な運命をたどりつつ独自の思想を築き
あげた哲学者エリック・ホッファーの自伝である。
7歳で失明、15歳で突然視力を回復。18歳の時に天涯孤独となり、28歳で自殺未遂。
「私は死ななかった。だがその日曜日、労働者は死に、放浪者が誕生したのである」
という彼は、10年に及ぶ放浪生活へ踏み出し、数々の出会いと別れを選びながら、
劇的な生涯を送ることになる。
トマトの収穫、ホップ摘み、砂金発掘などの季節労働。そのかたわらで、
化学、数学、鉱物学などあらゆる学問にまい進し、読書と思索を重ねていく日々。
そんなある日、彼は町のレストランで大学教授と出会い、これを機にドイツ語
翻訳や研究の手助けなどのアルバイトをはじめる。あまりに研究熱心な彼に、
教授は研究所での職を用意してくれるのだが、「本能的にまだ落ち着くべき
ときではないと感じた」彼は、ふらりと季節労働者の生活へ戻ってしまうのだ。
「慣れ親しむことは、生の刃先を鈍らせる。おそらくこの世界において永遠の
よそ者であること、他の惑星からの訪問者であることが芸術家の証なのであろう」。
自己と徹底的に対峙し、自己欺瞞と戦いつづけたエリック・ホッファー
まず学ぶべきなのは「学問」そのものではなく、彼が貫いた学問への、
そして、人生への「姿勢」かもしれない。》
▼ いずれの言葉もシンプルで、鋭く突き刺さってくる。辿ってきた人生が、
 究極の哲学への求道者の姿そのもの。戦場の真只中で、独り、戦う、狙撃兵
のようである。 28歳の時、「今年の終わりに死のうが、10年後に死のうが
、いったい何がちがうというのか」という感覚に見舞われ、自殺を図るが、
未遂に終わる。そこで、「曲がりくねった終わりのない道としての人生を」
を送ることを決意。その後、10年を、季節労働者としてカルフォルニア
徘徊する。青年期に読んでいたら、間違いなく人生が変わったいただろう。
「永遠のよそ者」「他の惑星からの訪問者」とは、言い得て妙。
人生を道として求めれば、この二つは、強弱あっても、当然ついてまわる。
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2014年06月30日(月)
4855,閑話小題 ー完全自動運転の車が
   * ロボットカーが現実に?
 最近、グーグルとか日産が、ロボットカーの公開を始めた。
それも、2020年までに販売?とか。初めてニュースで見たときには、
思わず目を疑った。SFの世界でも、自動運転車など聞いたことが
なかったが、今では、実際に試作車が走り始め、販売時期まで明示している。 
ネット辞書には、『ロボットカーとは、人間の運転なしで自動で走行できる
自動車。日本語では「自動運転車」』とある。それが現実に現れ出るとは・・ 
ウェアラブル・パソコンや、ロボット掃除機にしても、一時代前には考え
られなかった商品が次々と、現れ出てきている。デジタルによるユビキタス
の限りない進化のため。 面白い時代である。
  * つれづれに ースズメとエールの交換
 夕方、庭で一匹のスズメがピイピイと呼びかけてくる。これまで、ベランダ
からのペットのインコが呼びかけに、口笛で答えていたが、今度は庭のスズメ
の呼びかけに、口笛で答えている。実際はインコに興味があるようだが。
エール交換も20分経った後、ドアを開けると、一直線で飛んできて、2Mの
ところで、慌ててトンボ返り。可愛いものである。で、連日、同じ時間帯に
鳴きかけてきている。 よく観察すると、他の仲間もいるようだ。インコが、
家人を求めて鳴いているのがスズメを引き寄せるようだ。
御隠居は御隠居で、日々、面白い発見がある。
  * 考えてみたら、今年も折り返し、ですか!
 明日から、7月。今日で、今年も半分、過ぎてしまった。
例年、前半は比較的、落ち着いているが、後半に、大きな事件が起きている。
今年は、現在、行われているワールドカップが、メインで、それが今年の境目。
再び、アルゼンチンの債務不履行が、出てきている。これまで、ロシアの
クリミア半島の奪取が起きている。韓国も、多くの民度レベルが問題として
表立ってきている。北朝鮮や、経済等の問題から、あの大統領では、ますます、
脆弱になっていく。ある意味で、近未来の日本の姿である。
問題は、中国を筆頭にした後進国と、欧米の経済問題。それに加え、日本の
6年後の東京オリンピック開催の決定が、後で禍根を大きく残すはず。
大震災クラスの経済のクラッシュが、いつ何時、起きても不思議でない
綱渡りの日々が続くことになる。『前半は、経済クラッシュが無かった』が、
隠れ大ニュースかもしれない。 私は、とにかくも、半年、無事!
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2013年06月30日(日
4488, 閑話小題 ー今年も、はや半年
  * 今年も、はや半年
 今年も半分が過ぎてしまった。経済は円安、株高で少し微風が吹いているが
何時、破裂するのか予断が許せない。先日、読書日記の『静かなる大恐慌』で、
既に世界は恐慌に入っているというが、現在の日本には、その認識が少ない。
表面は静かだが、水面下は一日一日と深刻化している。何時、何処で、歴史的
大事件が勃発するのか。これは発生するまで、誰も知るすべがないが、間違い
なく起こるのは確か。 株式の暴落は大方が9月か10月に起こるが、年例行事
にように、何とか翌年に引き伸ばしているのが現状。「数年来、恐慌だ、戦争だ、
と騒ぎだてているが、何にもないじゃないか?」というかもしれないが、表て
立った時には、国家非常事態。とはいえ、膨大は不良債権も、国家間の決め事
なら、静かに沈殿させて先延ばしをしておけば、それはそれで罷り通る。
個人的には、これだけ平穏で落ち着けたのは希。早朝から就寝するまで、
ほぼ同じ日程を繰り返している。
  * 今年に入ってシネマ、28回
 リタイアから三年目に入って気が緩み始める現在が、ストレスからくる
ウツ症が来そうな時期。刺激的?人生を過ごしてきたので、反動は大きいはず。 
早朝から、ネットや、ポタリング、読書、スポーツジムにと、スケジュールを
組み何とか落ち込みを防いでいる。現在はストレスの無いのが一番のストレス
状態? 週に一度の映画鑑賞は、費用対効果という面でも非常に効果がある。
これまでシネマにいった回数を数えてみたが、26週で28回。行かなかった
週が二回。週二回が4回もある。これまで一度も70点以下が無いのが良い。
私の評価として、邦画の平均80点に対し、ハリウッドは90点。デジタル技術
の大画面の迫力は圧倒的である。邦画の見劣りはあるが、3〜4回に一度位が
丁度良いバランスである。卓上型手帳の週単位のページに入場券を貼り付けて
いるが、内容は殆んど憶えてない。これだけはネットの評価そのまま。もちろん、
それを確認していく。家のTVで、シアターで、「デジタルが創り出した
仮想空間の世界に浸かる日々」になる。
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2012年6月30日(土)
4114、財政恐慌
「財政恐慌 ーついに金融と財政の死に至る無限ループに突入した」浜矩子(著)
 昨日、たまたま図書館で見つけた本だが、丁度良いタイミングに知りたい内容
が書いてあった。「これまでは序曲に過ぎない。2012年からが財政恐慌本番
の年である!」と、欧州の金融恐慌の最後の死に至る無限ループが手に取るように
分かりやすく書いてある。「本来の経済の火消し役であるべき財政政策、金融
政策がなぜ現在の金融危機につながってしまっているのか?」 金融危機
お金を刷ってばらまくことで解決しようとする(漏洩金融)財政政策により、
グローバル経済における金融と財政の死に至る無限のループを以下の述べる。
≪グローバル経済において、ヒト・モノ・カネは容易に国境を超え、その飛躍と
 拡散が行く先々で様々な問題を引き起こす。 ところがそれら諸問題の火消し役
を果たすべき国々の財政は、国境を越えられない。このミスマッチが国々の財政
政策にかつてない負担をかけ、金融政策をかつてなく無力化する。そして、
重みに耐えられなくなった時、起こってはいけない 財政恐慌が発生する。≫
≪ リーマン・ショックそのものは金融恐慌だった。国境を越えて暴走が
 もたらした恐慌である。かってなく巨大で、迅速で、複雑で、公域に広がり
をもつカネが、金融の大河に溢れて超弩級の洪水を引き起した。
それがリーマン・シックに他ならなかった。この空前のスケールの
グローバル恐慌に、国境を越えられない国々の財政が立ち向かったのである。
 勝敗は目に見えていた。しかも、国境を越えて大きな過ちを犯した。彼らは、
なにはともあれ、経済活動をリーマン ・ショックによる落ち込み前の段階に
押し戻そうと躍起になった。そのために、空前の財政大盤振る舞いに乗り出した。 
あの時、アメリカの財務長官だったポールソンが何と言ったかをご記憶だろう。
金融恐慌をせき止めるために、彼は「バズーカ砲を用意した」と。
借しげもな火薬をつぎ込んで、銀行の不良権を買い取る。傷ついた金融機関は、
どんどん重荷を軽くしてあげる。負担は連邦政府が全部肩代わりしてやろう。
迫力はあったが、そのおかげで金融機関の痛みが財政の痛みに転化することと
なった。他の諸国においても、同じことが起こった。その道に踏み込むとする
国々もあったが、結局は、金融の痛みを財政が肩代わりする流れに誰もが
巻き込まれていってしまった。そもそも、リーマン・ショック発生前夜に
おいて、国々の経済は明らかに危険すぎる経済的な高みに上りつめすぎていた。 
だからこそ金融恐慌という名の大洪水力発生した。それなのに、リーマン・
ショック後における国々の財政は、あの高すぎ危険な山の上に、経済活動の
水準を押し上げようと必死になった。≫
▼「日本は既に輸出主導、円高対応、成長戦略を目論む局面から、成熟戦略へ
 入っているのではないだろうか」と、今後の日本の進む方向の転換の必要性
を説いている。今だ「成長なくして生存なし」という言葉が支配しているが、
無理な道理を通そうとするため、財政出動の繰り返しになる。結果として
金融恐慌の原因を作り、そして世界恐慌へ 向かっている。
その限界が年内、2012年問題である。
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2011年06月30日(木)
3748, ジャズについて(�) ー「ジャズ完全入門!」� −18
           ー「ジャズ完全入門!」後藤雅洋著 ー �
【 聴き手のほうから音楽に寄り添わなければわからない、という理由は、
 もう一つある。それは、ジャズが異文化に属しているという事実である。
いまとなってはポピュラーミュージック、ロック、それにクラシック音楽
含めて、我々を取り囲む音楽環境はほとんどすべてと言ってよいほどに外来種
のものとなってしまったので、ことさらジャズの異文化性を取り上げても、
ピンとこないかもしれない。しかしアメリカの黒人音楽として誕生したジャズ
は、その文化的な背景が我々とはかなり違っているので、私たちの素地の
ままの感性で判断しても、その狙いがわかりにくいということがあるのだ。
たとえばカウント・ベイシーのバンドなどは、よく演奏のエンディングを一度
終わったように思わせておき、また繰り返すというような芸を見せるが、
その回数はお茶漬文化の僕らの感覚から言ったら、少々「くどい」と思わせる
ほどなのだが、これは黒人音楽の特徴の一つなのである。...  
(以下、字数の関係上カット12年6月30日)
・・・・・・・                           
2010年06月30日(水)
3383, 「だまし」の心理学 ー1
 二ヶ月前にも、この著者・安斎 育郎 (著)の「不思議現象の正体を見破る」
を、ここで書いたことがある。その中で「だまし」に絞って書いた書である。
重なっている部分が多いが、これはこれで面白い事例が次々と出てくる。
固定観念を巧く利用した手法は、なるほどと感心するが、騙していることすら、
意識をしないツワモノに出くわしてきた。倒産で資金繰りのため、我を忘れて
身近なものから借金のために「だまし」を仕掛け、その結果、詐欺師のウワテ
をいく手法で親戚・友人を騙していくのを身近で見たことがある。
浅ましいというか、見事というか、身が凍るようだった。
 ―超能力や心霊現象に、人はなぜ騙されるのかー 
        「だまし」の心理学ー 安斎 育郎 (著)
  =まずは、アマゾンの内容の紹介より=
≪ 世の中には、さまざまな「だまし」があふれています。最近問題になった、
 マンション強度偽装、食品の消費期限偽装、振り込め詐欺、盗作、必修科目
履修漏れ、テレビ番組の捏造などなど、どれも広い意味での「だまし」です。
また、推理小説や手品、トリックアートなど、人を楽しませるエンタテイン
メントとしての、罪のない「だまし」というものも存在します。本書では、
古今東西、さまざまな事例をとりあげながら、人はなぜだまそうとするのか、
なぜだまされてしまうのかという疑問を、図説を使いながら解明していきます。 
自称霊媒師による詐欺行為や、UFOやネッシーのニセ写真などのトリックを
暴きつつ、霊やたたり、超能力は存在するのかを科学的に分析。また、なぜ
人々はスピリチュアルなものに惹かれ、カルト宗教に心を奪われるのか、
心理的、社会的な面からもアプローチします。≫ 
  ー その幾つかを紹介してみる ー
* かって虹の観察で、どこでどんな地震が起こるかがわかると自称していた
 人がいた。その人M氏は、虹の色の濃さや持続時間に基づいて地震の予知を
していた。その予知はハガキで知らされていた。たとえば、8月2日の午前2時に
某地方で震度4の地震があったとする。近所の人が8月2日に郵便受けを見ると、
二日前の消印の付いたハガキがあり、差出人がM氏になっている。
その文面には「8月2日の午前2時に某地で地震が起きる」と書いてある。
それで、予知が本当と信じ込んでしまう。 ところが、これが騙しだった。
M氏は自分宛によく「文面や宛名などをエンピツで書いたハガキ」を出していた。
このハガキこそが、虹による地震予知のトリックだった。これをどこかで、
地震が起こると、自分宛に送られたハガキに書かれたエンピツの文面を消しゴム
で消して、近所の人の名前と、地震の起こった日時と、場所を書き込んでいた。
そのハガキを、自分で入れにいっただけ。知らない近所の人は驚くわけである。
稚拙なトリックだが、騙すに充分である。
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 2009年06月30日(火)
  3008,今年も半分が過ぎた
・新インフルエンザが発生し、パンデミックになったが、弱毒性
 ためかまだ落ち着いている。問題は第二波のくる秋口。
・去年の9月15日に起きた金融危機の直撃の影響が身辺にも影響を始めてきた。
 アメリカのGMとクライスラーが倒産。シティなどのアメリカの金融機関が
 実質国家管理になった。
・1月末にオバマが正式に大統領に就任、その政策転換が具体的に見え出してきた。 
北朝鮮で、原爆の実験が行われたが国内的に不穏な動きが出てきているようだ。 
 毎年の傾向だが、今年も大きな事件は後半に先送りになった。
 去年が、世界的な金融恐慌発生がキーワードなら、今年は新インフルエンザの
 パンデミック。要は秋口からの二波で猛毒になるかどうかだが、後進国で猛威を
 ふるった時の医療体制の不備が最大の問題。この新インフルエンザが、世界的に
 数百万、数千万の死者が出るパンデミックの初期とみるかどうか。
 さらにアメリカ発の金融恐慌を、世界恐慌の初期段階と見るかどうか。 
 この辺の見極めがポイント。歴史的から見ると、悲観的にみる方が正しいようだ。
 去年の9・15が起きた時に、アメリカの恐慌を専門に研究している経済学者が、
 「今回の恐慌は、20世紀前半の恐慌とは比べようもないほど規模が大きく、
 かつ質も悪質である」とコメントしていたのが印象的であった。それが雰囲気と
 して、底をついたような楽観的な空気が一部あるが? まだまだ初期の初期段階
 でしかない。明日からの後半は、更に大荒れの歴史的日々が待っている。 
 近くに自民党衆院選挙で解党的な敗北が決定的。民主党が政権を取った後に、
 本格的な政界の再編成があり、その過程で終戦後の60年の膿が出てくる。
そして、気づいた時には日本は、更に経済的にも、政治的にも大きく縮小。
 (以下、字数の関係上カット12年6月30日)