2899, イオンの誤算


大学を卒業直後、ジャスコの創業期に一年在社したことがある。
まだジャスコ・オカダヤという名前で、三社合併の一期生。僅か一年でも全エネルギーをようした記憶がある。
その後のジャスコの躍進は目を見張るものがあったが、地方の郊外型SCに全エネルギーを傾けたことと合併が
最大の戦略ポイントであった。辞めた直後に三菱商事と組んでダイヤモンド・シティを設立したのを憶えている。
その7〜8年後に長岡に立ち寄った元同僚の話によると、「SCが大当たりで、テナント料だけで元が充分とれ
本体の出店はイニシャルコストも、ランニングコストも零になる」という。
なるほど、その後も快進撃を続けるのも肯ける。この10年は常に時代の変動の中で株価は2〜3千円をつけていた。

ところが、去年からイオンに対して「悪質なデマが流されている」というニュースを時どき見るようになった。
株価を意図的に下げるためだという。
先週、たまたま日経ビジネスの去年12月8日号「イオンの誤算」の特集を図書館で見つけた。
それによると、やはり重大な岐路に差しかかっているようだ。 
この時期〈12月)の株価総額が二年前のピーク時の四分の一、10年前の現在の社長が就任時期の二分の一。
さらに現在550円まで下がっているから、さらに25パーセントも下がっているので六分の一になる。
僅か二年余りに六分の一は、重大な事態である。 このままでは第二のダイエーになってしまう。
時代の激流は、あのイオンさえも飲み込んでしまう。
この10数年も拡大路線を続けてきたかというと、アメリカの「ウォルマート」の影に追われたため。
しかし西友を買い取って乗り込んできたウォルマートは、その後、日本の風土に合わずに大苦戦。
意識のしすぎのようである。 その上に三つのマイナス要素が重なった。
・まずは出店拡大にストップをかけた「まちづくり三法」である。
・次にこの金融危機のため、公募募集に対して出資者が激減してしまった。
・さらに稼ぎ頭だったイオンクレジットの金利が18パーセントに引き下げられ金利収入が激減。
  要するに郊外型SCバブルが弾けてしまったのである。
これ以上下がると、恐れていたウォルマートが株を買い集める可能性も充分に出てくる。
 百貨店の大同合併も含めて、流通も氷河期に入ってしまった。