2007年03月10日(土)
2167, 「日の名残り」 ー1    読書日記
            才八∋ウ  _〆(∀`●) 

福田一男著「成熟への名作案内」で紹介してあった本である。
さっそく、インターネットで取り寄せた読んだが、英国在住の日本人作家カズオ・イシグロ(石黒一雄)が
執事スティーブンスにー偉大さの条件は、品格にあるーと言わせているところが良い。

ー2007/01/20 に「2118, 品格について?2 」ーで書いたが、その本の中で、他に幾つかのプロとしてのあり方、
そして品格について、英国的文化にも興味を引かれる。英国の上流階級のマナーと考え方と教養とは何かを、
執事の眼を通して論じている。ホテルのマネジャーの職業に似ているところがある。
何か反省させられるところが多い本であった。
パタゴニアに行ったとき、ツアーの品の良い中年の添乗員が、若い時に何年間か英国暮らしをしていたといっていた。
(大手銀行系から脱サラしたが、事業に失敗して・・・・)「執事のつもりで、何なりと仰せ付け下さい」
という言葉の通り、執事のように自分を押し殺し手際よく役割をこなしていた。
この本を読んでいると、英国の歴史の深さと豊かさが感じられる。
イギリスといっても、その背後にはオーストラリア、南アフリカ、カナダなどの国が連邦をなしていて、
英国人が多く住んでいる。日本とは、その隠れた豊かさのレベルが違うようだ。
 ーー
旅先の最後の日、桟橋で見知らずの老人と話す場面がある。
その老人の言葉がよい!「なあ、あんた、わしはあんたの言うことが全部理解できているかどうかわからん。
だが、わしに言わせれば、あんたの態度は間違っているよ。いいかい、いつも後ろを振り返っていちゃいかんのだ。
後ろばかり向いているから、気が滅入るんだよ。何だって?昔ほど仕事ができない?
みんな同じさ。いつかは休むときくるんだよ。わしを見てごらん。引退してから、楽しくて仕方がない。
そりゃ、あんたもわしも、必ずしも若いといえんが、それでも前をみなくちゃいかん」
その時だったと存じます。男がこう言ったのはー「人性、楽しまなくちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。
足を伸ばして、のんびりするさ。夕方がいちばんいい。わしはそう思う。
みんなにも尋ねてごらんよ。夕方がいちばん一日でいい時間だって言うよ」

男が立ち去ってから20分ほどになります。私はここに残り、いまの瞬間をー桟橋のあかりが点燈するのを待っておりました。
さきほど申し上げましたが、楽しみを求めてこの桟橋に集まってきた人たちが、点燈の瞬間に大きな歓声をあげました。
その様子をみていると、先ほどの男の言葉の正しさが実感されます。たしかに、多くの人々にとりまして、夕方は一日で
いちばん楽しめる時間なのかもしれません。では、後ろを振り返ってばかりいるのをやめ、もっと前向きになって、
残された時間を最大限楽しめという男の忠告にも、同様の真実が含まれているのでしょうか。

 ーーー
執事の自分語りの言葉を通して、イギリスの田舎の光景と文化を浮かびあがらせている。
今年の旅行は、イギリスかアイルランドへ?と誘惑にかられる本である。
品性か?!その視点で自分の人生を振り返ると、それは教養の深さに結びつく。
といって、品性とか教養を信じちゃいけません。ローマ帝国以来、それを自認して来た連中の残虐非道をみれば解ること。
結局は、アブラハムの発明した神に問題がある!といえるのか。(生意気そうに?
これ先日亡くなった池田晶子の言葉!の租借) 
              つづく    (⌒▽⌒)/"”さいなら!

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