2879, アメリカの住宅金融の惨状とは

 ーサブプライム金融恐慌の構造と意義ー 伊藤 誠  −1
                        (現代思想ー金融恐慌特集)

 これまで20冊近い本を読んだが、住宅金融の実情は如何だったの数字をみることがなかった。
ところが、先日買って読んでいる本に、非常に分かりやすく書いてあった。

・住宅金融は2002年から2006年までの景気回復と住宅ブームを圧倒的にリードする役割りを果たした。
 この時期の米国経済の四割は住宅市場に依存するもので、結果として住宅金融の残高は2006年には13兆ドル
 (ドルを当時、120円とすると15000兆円)になり、当時の米国GDPと同額になっていた。
 このうちサブプライム・ローンが13パーセントを占めていた。
サブプライム・ローンの一戸当たりが20万ドルとされており、850万世帯(一家が三人として)2500万人が
 このローンを背負っていたことになる。住宅ローンが13兆ドルとして、平均40万ドルとすると、
 何と3250万世帯、三人家族とすれば人口の三分の一が、この時期に住宅ローンによって住宅を得たことになる。
 −日本のバブル直後の住宅ローンの残高が140兆円というから、約十倍になるから、それだけでも米国の
 サブプライム・ローンの方が大きいことになる。人口は2・5倍だから、一世帯あたり4倍の大きさになる。
 いかに莫大で、深刻かがわかる。
・それ以前からの値上がりを入れると、10年間で米国の住宅価格が2倍当たりになっていたというから、
 それが半減することになれば、米国人の三分の一が深刻な経済状況に陥るのは明白なことだ。
 特に値上がりを前提で買っていたサブプライム層にとって深刻な問題になる。
・昨年の6月に米国の住宅ローンの8・8パーセント、480万世帯が返済未納か、差し押さえになり
 人口規模では千五百万人近くが、住居を失う脅威に曝されている。
一昨日にオバマが米国住宅市場の再生策を発表したが、そう簡単に解決できるレベルではない。
7兆円を900万世帯を対象にする再生策だが、一世帯当たり単純にわっても80万弱でしかない。

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