最近買った「文藝春秋・三月号」や、昨日の読売新聞に、構造改革推進派だった
三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長の中谷巌氏が、新自由主義からの「転向」宣言を寄稿している。
*まずは三菱UFJリサーチ&コンサルティングのブログに、彼のコラムが載っていたので、
 要所をコピーしてみる。
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「なんでも市場に任せるべき」「国がどうなるかは市場に聞いてくれ」という新自由主義的な発想に基づく
「改革」は、無責任だし、危ないのではないかということを強調したいのである。
実際、グローバル資本主義は巨大なバブル崩壊を招来し、世界経済に多大の損害を与えたし、
平等社会を誇っていた日本もいつの間にかアメリカに次ぐ世界第2位の「貧困大国」になってしまった。
そのほかにも、医療難民の発生、異常犯罪の頻発、食品偽装など、日本の「安心・安全」が損なわれ、
人の心も荒んできたように見える。これを放っておいてよいのかという問題意識である。
 新自由主義的改革においては、「個人の自由」を「公共の利益」に優先させ、あとは小さな政府の下、「市場にお任せ」
すれば経済活性化が可能になるという考え方をとるが、それが上記のようなさまざまな副作用を生んでしまった。
したがって、「改革」は必要だが、それはなんでも市場に任せておけばうまくいくといった新自由主義的な発想に基づく
「改革」ではなく、日本のよき文化的伝統や社会の温かさ、「安心・安全」社会を維持し、それらにさらに磨きを
かけることができるような、日本人が「幸せ」になれる「改革」こそ必要であると考えたわけである。
そのための方向性はもっと勉強しなければならないが、とりあえずは、「貧困大国」の汚名を返上する改革が必要だろう。
底辺を底上げし、貧困層が社会から脱落していくのを防ぐこと。 このことが重要なのは、
「日本の奇跡的成長の原動力であった中間層の活力を回復しないと日本の将来はない」と考えるからである。
日本が富裕層と貧困層に2分されてしまえば、社会は荒み、日本の良さが失われるだろう。
 もう一つは、明治以来の中央集権体制を解体し「廃藩置県」に匹敵する位の大きな制度改革を断行することである。
中央官庁に集結した優秀な官僚が今度は疲弊した地方を再生させるために地元に戻り、彼らに自分の故郷が文化の
香り豊かな元気いっぱいの地域にする術を死にもの狂いで考えてもらう。 これくらいの大改革が必要だと思う。
 ー以上だが、
彼は懺悔の書として「資本主義はなぜ自壊下のか」を出版したが、その巨大な「牙」が負わすであろう「傷」に
対する認識を持たないで、グローバル資本主義を更に押しすすめることが愚かであり、危険と指摘。
「傷」とは、第一に「バブル崩壊と世界大不況」、第二に「貧困層の増大と社会の崩壊」
第三は、「地球環境破壊の加速」をあげている。 これからグローバル資本という「モンスター」を
どうやって鎖をつけるかが問題としている。 日本のバブル崩壊時において、アメリカ属国だった日本が
新自由主義に追随せざるをえなかったのは仕方ない。しかし大きな転換期であり、更なる破壊が日本には必要ということ。 
 方向はダウンサイズである。 無理をすることはない、身の程を知れば良い。 チマチマした島国の知恵がある。

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