この本の次期大統領の行方について以外のテーマ、
アメリカが「偽札事件」の背景を解りやすく説明している。
成るほど、この問題は簡単に片付くわけがない。

ーその要点をまとめてみたー
実際のところ、アメリカ経済はそれほどおかしくはなっていない。すでに述べたように
これまでの不況にくらべると、いまのアメリカには資金があふれている。
アメリカの経済専門家はこう言っている。
アメリカには資金がいまや有り余るほどある。企業もふんだんにお金を持っている。
うまくいっていないのは金融システムだ」 この説明はきわめて意味深長である。
これまでアメリカは常に資金が不足してきた。アメリカの人々はお金が入ればすべて使ってしまう。
消費がアメリカ経済の六十パーセントを占めているのだ。
だがアメリカ自体が強くて豊かな国であるため、世界の人々がアメリカに資金を持ち込み、
アメリカは資金がないにもかかわらず景気を拡大してきた。
 
 歴史的にみてもこの事実は明らかだ。
*1970年代に金本位制度をやめ、円を切り上げさせることによってドル安を実施した。
 実質的なドルのインフレーションによってアメリカ経済は不況を脱し、経済が拡大をした。
*1980年代はレーガンアメリカの国有地をせっせと売ってサウジアラビアなど中東のオイルマネー
 アメリカに取り込み、アメリカ経済を拡大した。
*1990年代には、世界に先んじてクリントンがIT革命をおし進め、世界中の資金を集めて
 アメリカ経済を豊かにした。
*2000年代、ブッシュは強いドルと土地、住宅バブル政策によってグローバル化した世界の金融界から
 資金を集め、アメリカ経済の好況を維持した。 この強いドルと住宅バブルを続けるために
 アメリカ政府が必要としたのが、サブプライム債券である。
 サブプライム債券という言葉が経済用語として確立しているかどうか分からないし、
 この問題について経済専門家が明確に説明をしているわけでもない。 だが政治的に見れば、
 このサブブライム債券は、ブッシュ政権にとって世界中から資金集めるのに役立った。
 「アメリカが偽札で世界をだました」と私が言うのは、このことである。
 その証拠にポールソン財務長官はじめアメリカの財政金融当局に大勢の人間を出している
 ゴールドマン・サックスは、MBSをいち早く売り払って難を免れている。

かってアメリカは三つ子の赤字と呼ばれる財政赤字貿易赤字、所得収支の赤字を抱え込んだとき、
せっせとドルを印刷をして世界の人たちに渡した。 受け取った人たちは紙切れになるのではと、
心配になったが、アメリカ経済が拡大したためにそうした事態にはならなかった。
しかし、アメリカがドルを集めるために使ったサブプライム債権が紙切れ同然になった。
次の大統領はブッシュの「偽札事件」の後始末をしなくてはならない。
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 ブッシュは、最悪の大統領として歴史に残るはずだ。「アメリカ狂乱」は言いえて妙の言葉である。

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